3戦全勝で準決勝進出のフェデラー、今シーズンは「自分の期待を完全に超えた」 [ATPファイナルズ]

 世界トップ8が競う「Nitto ATPファイナルズ」(11月12~19日/イギリス・ロンドン/賞金総額800万ドル/室内ハードコート)のラウンドロビン(2グループに分かれて総当たり戦)を戦った初出場のジャック・ソック(アメリカ)が、ロジャー・フェデラー(スイス)とともに準決勝に進出することになった。

 今大会で週末まで勝ち残った2007年のアンディ・ロディック以来のアメリカ人となったソックは、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)を6-4 1-6 6-4で下し、2勝1敗の成績で勝ち上がりを決めた。

「第一に僕は、ロンドンでプレーすることを予想してはいなかった」とソックは言った。彼は、今月のパリ・マスターズで優勝することにより、大会直前にATPファイナルズ出場権を手に入れていたのだ。「パリは僕にとって大きなステップだった。今、週末にプレーする立場に自分を置いたというのは、もうひとつの大きな前進の一歩、自信をさらに大きく膨らませる出来事だ」。

 ソックは、またも見る者を楽しませるプレーをした。彼は今回も股抜きショットを放ち、ボールを客席に打ち込んでポイント・ペナルティをとられさえしたのだ。

 しかしソックに勝利を与えたのは、最後のゲームでのズベレフのいくつかのミスだった。ズベレフは、4-5、30-30とリードされていたところで、この試合8度目のダブルフォールトをおかし、ソックにマッチポイントを献上する。そして20歳のズベレフは、次のポイントでフォアハンドをサイドアウトし、自らの手で試合を終わらせてしまった。

「ああ、僕はプレッシャーからミスをしてしまった」とズベレフは言った。「第2セットを6-1で取り、ワンブレークして1-0とリードした。彼はポイント・ペナルティを食らった。ところが僕がボールをあまりコートに入れられなくなった10分間のうちに、1-4とリードされてしまったんだ」。

 ソックは土曜日の準決勝で、もう一つのグループから2勝を挙げて準決勝進出を決めているグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)と対戦する。

 2勝1敗の成績のソックは、唯一の黒星が対フェデラーの初戦でのものだ。

 一方フェデラーは、3勝0敗でグループの勝者となった。彼は土曜日の準決勝で、ドミニク・ティーム(オーストリア)かダビド・ゴファン(ベルギー)のどちらかと対戦する。

 この日、ウインブルドン決勝の再現となった対マリン・チリッチ(クロアチア)戦で、フェデラーはまたも勝者となった。世界2位のフェデラーは第1セットを落としたが、それでもマリン・チリッチ(クロアチア)を、6-7 (5) 6-4 6-1で倒すことに成功した。

「容易な試合ではなかった」とフェデラーは言った。「これは速いコートで、インドアだ。ご覧の通りこの大会ではチャンスを逃しすぎると、その高い代償を払わせられることになる」。

 しかしこの日の結果は、いずれにせよそう重要なことではなかった。フェデラーはラウンドロビンの最初の2試合に勝つことによって、すでに準決勝進出を決めていたからだ。反対にチリッチのほうは、すでに敗退が決まっていた。

 7月のウインブルドン決勝で、チリッチをストレートで破っていたフェデラーは、第1セットでは4本のブレークポイントを手にしたが、そのどれをもものにできなかった。チリッチはタイブレークを通し、そのセットを終わらせた。

 フェデラーは第2セットの出だしにもブレークポイントを握ったが、またもそれをものにし損ねた。しかし6度目のトライは違う結果となり、そのワンブレークで、フェデラーは第2セットを勝ち取ることになる。

 第3セットでのフェデラーは、出だしでブレークを果たして3-0とし、それからふたたびブレークすることで5-1とリードを広げた。

「最初、第1セットでの僕は重要なポイントで辛抱強くプレーするかわりに、おそらく過剰にアグレッシブだった」とフェデラーは言った。「第2セットの後半に形勢を逆転させることができた。その後、第3セットではフィーリングはずっといいものになっていたよ」。

 世界5位となったチリッチは、昨シーズンの終わりに定めたゴールを達成した。しかしながら彼は、ここ3度のATPファイナルズ出場で、プレーしたラウンドロビンの9試合のうち、1試合にしか勝つことができていなかった。

 2014年USオープン・チャンピオンのチリッチは、自分の2017年について「全体的に見て、僕は自分が新しいレベルに至ったと感じていた」と言った。「だから来年には、いっそうよくなっていくよう願う。もう少し高いところを目指すことができるように。トップ選手に挑戦するポジションに立ち、グランドスラム・タイトルを狙って競えるよう願っている」。

 記録的8度目のウインブルドン・タイトルを獲得し、グランドスラム大会優勝歴は総じて19回のフェデラーは、ATPファイナルズでもうひとつの記録を刻むことを目指している。36歳のフェデラーは、この大会のタイトルを、すでに6回――ヒューストンで2回、上海で2回、ロンドンで2回――勝ち獲ってきた。

 フェデラーはATPファイナルズ準決勝に14回進出しており、ラウンドロビン全勝はこれで10回目だ。

 ここロンドンでの最終結果がなんであれ、フェデラーは今季をラファエル・ナダル(スペイン)に次ぐ2位で終えることになる。ちなみにナダルは、ラウンドロビンの第1戦をプレーしたあと、右膝の故障のため欠場し、今シーズンを終えた。

「僕は自分がこのプレーレベルに至れたこと、いまだ年の終わりにプレーできていることを、本当にうれしく思っている」とフェデラーは言った。彼は今季、ウインブルドンのほか、オーストラリアン・オープンでも優勝していた。「僕は自分の期待を完全に超えた。だから、後悔は何もないよ。今、故障がまったくなく、健康で、変わらず楽しんでいることを、ただただ幸せに思う」。(C)AP(テニスマガジン)

シングルス準決勝

グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)[6] vs ジャック・ソック(アメリカ)[8]

ロジャー・フェデラー(スイス)[2] vs ドミニク・ティーム(オーストリア)[4] or ダビド・ゴファン(ベルギー)[7]

シングルス ラウンドロビン

グループ・ピート・サンプラス

ドミニク・ティーム(オーストリア)[4]、グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)[6]、ダビド・ゴファン(ベルギー)[7] 、パブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)
※カレーニョ ブスタは、ラファエル・ナダル(スペイン)[1]が右膝の故障により欠場したため代替出場

○ディミトロフ 6-3 5-7 7-5 ●ティーム
○ディミトロフ 6-0 6-2 ●ゴファン
○ゴファン 7-6(5) 6-7(4) 6-4 ●ナダル
◯ティーム 6-3 3-6 6-4 ●カレーニョ ブスタ

グループ・ボリス・ベッカー

ロジャー・フェデラー(スイス)[2]、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)[3]、マリン・チリッチ(クロアチア)[5]、ジャック・ソック(アメリカ)[8]

○フェデラー 6-4 7-6(4) ●ソック
○フェデラー 7-6(6) 5-7 6-1 ●ズベレフ
○フェデラー 6-7(5) 6-4 6-1 ●チリッチ
○ソック 5-7 6-2 7-6(4) ●チリッチ
○ソック 6-4 1-6 6-4 ●ズベレフ
○ズベレフ 6-4 3-6 6-4 ●チリッチ

※トップ写真はロジャー・フェデラー
LONDON, ENGLAND - NOVEMBER 16: Roger Federer of Switzerland looks on in his Singles match against Marin Cilic of Croatia during day five of the Nitto ATP World Tour Finals at O2 Arena on November 16, 2017 in London, England. (Photo by Julian Finney/Getty Images)

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