[浜松三ケ日国際女子] 出場選手紹介⑤村松千裕(大会提供レポート)
両親ともに青春時代をテニスに捧げ、父方の祖母は全日本選手権で上位進出したほどのトッププレーヤーーー。
そんなテニス一家の出自と聞くと、情熱的で勝気なアスリート像を連想するかもしれない。だが当の本人は、そんなステレオタイプから遥かにかけ離れた印象を周囲に放つ。
「よく人からは、おとなしそうって言われたり……私のことをよく知っている人たちからは、ぬけているって言われます」
はにかみながら小さな声で語る村松千裕(グラムスリー)は、確かに、シャイな女の子像そのものだ。
しかしそんな彼女がひとたびコートに立つと、左腕から放つフォアハンドを武器とする、アグレッシブなプレーヤーへと豹変する。今年19歳を迎える1998年生まれは、日本女子テニス豊作の年。その中でもジュニア時代から常にトップを走ってきたのが、村松だ。
そんな彼女も、同期の清水綾乃(Club MASA)や小堀桃子(橋本総業ホールディングス)同様に、高校卒業が近づくと、プロ転向か進学かで胸を詰まらせ頭を悩ませた。それでも最終的にプロを選んだのは、ジュニア時代に立てた「グランドスラム・ジュニアでベスト8以上」の目標が果たせなかった、その悔いをテニスコートに残したため。同時に「まだまだ改善しなくてはいけないところがいっぱいある。それを直すことが出来たら、もっと上に行けるのでは」との手応えもあり、その希望に彼女はかけた。
具体的には、どこを改善したいーー? 村松にそう問うと、「サーブもフォアハンドも……全部です」と間髪入れずに返ってくる。穏やかながら熱を帯びたその語り口からは、完璧主義者で負けず嫌いな彼女の本質が透けて見えた。
目指すプレーヤー像やテニスキャリアの夢は、先が長すぎて「まだ想像できない」と彼女は言う。しかしランキングや数字上の当面の目標は、「350位あたり」と明確だ。
ジュニア時代に、グランドスラムのコートに残してきた忘れ物を取り戻すためにも、今は、一つでも多くの勝利を追い求める。
レポート◎内田暁(大会オフィシャルライター)
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