[浜松三ケ日国際女子] 出場選手紹介④ナオミ・チョン(大会提供レポート)

 21世紀少女ーー最近のテニス界では、そんな言葉が囁かれ出している。21世紀に入ってから生まれた選手が、一般の国際大会でもちらほらと姿を現すようになったからだ。

 今大会最年少のナオミ・チョン(アメリカ)も、そんな21世紀少女の一人である。2002年5月16日生まれの15歳は、台湾人の両親を持ち、生まれたのはアメリカのカリフォルニア州。現在は4歳から住むラスベガスと、日本の大阪の両方を拠点としながら、WTAポイントを獲得すべく北米とアジアを中心にITF(国際テニス連盟)大会を転戦している。

2002年5月16日生まれの15歳、ナオミ・チョン(アメリカ)(写真提供◎大会実行委員会、撮影◎てらおよしのぶ)

 コート上では凛とした表情で大人びたプレーを見せるチョンだが、一旦コートを離れれば、その笑顔はまだ15歳そのものだ。多くの選手が鬱々と過ごす不運な悪天候の中でも、彼女はビキニ姿で全身に雨を浴びて「気持ちいい!」とはしゃぐ。

「日本は食べ物も美味しいし環境もいいし、私はアジア系だから文化的にも馴染みがあるので、凄く過ごしやすいわ!」

 そんなリラックスできる状況も、好プレーの要因かもしれない。先週の牧之原大会では、予選を勝ち上がりベスト8へ。今回も予選3試合をいずれもストレートで勝ち上がり、本戦初戦も快勝した。

 15歳にしてジュニア大会ではなく、年齢規制のない一般の大会を転戦するのは、「私の目標は、いずれ世界のトップに行くことだから」。そのためにはジュニア大会を回るよりも、早い段階からプロの世界でもまれつつ、ランキングポイントを獲得することを選んだ。「経済的にも、ジュニア大会を回るのは厳しいから」との言葉には、早熟な覚悟と自覚もにじむ。

 自らが分析するプレースタイルは「アグレッシブなベースライナー。でもフィニッシュは、ボレーやスイングボレー、スマッシュで決めたい」という攻撃型。「フォアとバック、どちらかが苦手ということはない。どっちがいいかは……その日によるかな?」と言うが、その「日による」波こそが、現在、改善を目指している点だという。

「波がある主な理由は、精神面。私はまだメンタリティがジュニアっぽいから……。世界5位と100位の選手を比べても、ストロークにそこまで差がある訳ではないわ。でも真のトップ選手はメンタリティとフィジカルの安定感が違う。私もそこを鍛えていきたい」

 現在のランキングはまだ1076位だが、今季中に700位以内に入りたいという。その当面の目標を果たすためにも、ここ三ケ日国際で、先週の牧之原を上回る地点を目指す。

レポート◎内田暁(大会オフィシャルライター)

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