テニスの賭けに関する疑わしい動きの数が急増

テニスの試合への賭けを監視し不正を罰する団体であるテニス・インテグリティ・ユニット(以下TIU)は、2020年の最初の3ヵ月の間に疑わしい賭けの動きがあった試合を昨年の約2倍近く見つけたという。これはコロナウイルス拡散にも匹敵する増加である。

 TIUは水曜日に4半期調査報告書の最初のものを発行し、年の初めから3月22日にかけてレベルの低いツアーの大会で「38」の疑わしい動きがあったという報告を合法な賭けを行う業界から受けたと発表した。2019年の同時期の警報が「21」だったことを考えると、かなり増加したことになる。

 年の最初の3ヵ月にあった「38」の警報の内訳は、6試合がATPチャレンジャーツアーの試合、そしてITFワールドテニスツアーの試合が男子と女子それぞれ16試合ずつということだった。

 警報とは“やや異常な賭けのパターンが認められた”ということで、必ずしもそのすべてが八百長だったということではない。それは調査の引き金となるものであり、場合によってはTIUによる本格的な取り調べに発展する可能性もある。

 水曜日のTIUのレポートは、疑わしい試合の件数が大きく増加したのは「新型コロナウイルス(COVID-19)の問題勃発による休止に向けてスポーツが動いていた中、プロテニスの入門段階のレベルが不正を行っている者たちによって意図的に標的とされていたのだ」と結論付けていた。他のほとんどのスポーツ同様、テニスは伝染病の世界的流行の影響を受けている。

 オールイングランド・クラブは先週、世界最古の歴史を持つウインブルドンの中止を決めた。ウインブルドン中止は第二次世界大戦(1940~45年)以来のことであり、他のすべてのプロテニスツアーの大会も少なくとも7月半ばまで休止となった。

 男子と女子のプロテニスツアーは2020年に活動を再開できたときのために、この緊急事態に対応するプランを現在検討している。

 さらにTIUは、「ツアーが再開したときに公正さへの懸念が高まることを見越して」さまざまなテニスの統治団体と協力し合い、「プレーヤー、オフィシャル、大会スタッフたちに情報を提供し、サポートする教育また問題を意識させるための啓発キャンペーンを行うべく取り組んでいる」と続けた。

 新型コロナウイルス拡散のため、大会は3月初頭から次々と中止となっていった。ジョンズ・ホプキンズ大学によれば、ウイルスは世界中で140万人の人々に感染し、死者の数は8万人を超えている。テストを受けられる人々の数が限られていること、国によって死亡者の数え方が違うこと、またいくつかの国の政府が意図的に感染者や死者の数を抑えて公表していることを考慮すると、真の感染者と死者の数は間違いなくこの公表されている数字よりもずっと多いはずだ。

 ほとんどの人々にとって、ウイルスは熱や咳といった中程度の症状を引き起こす。しかし高齢者や、すでに他の病気を病んでいる人々には、肺炎などのより重い症状が出ることがある。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

写真◎Getty Images

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