テニスツアーがコロナウイルス終息後の日程再編成を検討
男子と女子のプロテニスツアーは、新型コロナウイルスの問題が治まったあとの日程再編成について緊急時対応計画を検討している。その中には、2020年シーズン終了を遅らせる可能性も含まれている。
WTAとATPの責任者は月曜日、両団体のグループは新しいカレンダーを作るために協力し合って取り組んでいると話した。現在考慮されている案の中には、延期された大会をすでに他の大会が入っている週に移し、通常11月に終わっていたツアー終了予定日を延長させるというものもあるという。
現時点では新型コロナウイルス感染拡散のため、すべてのプロツアーの大会は少なくとも7月13日まで休止となっている。それは、ウインブルドンが終了するはずだった日の翌日に当たる。オールイングランド・クラブは先週、今年のウインブルドンをキャンセルすることを決めた。この最古のグランドスラムが中止となったのは、第二次世界大戦(1940~45年)以来のこととなる。
WTAの会長兼CEOであるスティーブ・サイモン氏はAP通信への電子メールの中で、女子ツアーは「テニスのプロサーキットが再開した際に、収入と収益を得る可能性を最大限にするために各大会主催者たちと懸命に働いる。できるだけ多くの大会を開催できるよう、現在の44週のシーズンを延ばすことも考慮している」と説明した。
ツアーはこの休止期間がどのくらい長く続くかについて、大会開催者、プレーヤーやテニスファンたちに定期的に報告している。次の情報更新は、5月の半ばに予定されている。
ATPチェアマンのアンドレア・ガウデンツィ(イタリア)は男子のツアーについて、もしツアーを7月に再開できるならシーズンを予定通り11月に終わらせるのが理想であると語った。しかし彼はまた、「この時点では、どんな案も除外されてはいない」と言い添えることも忘れなかった。
「我々は現在、できるだけ多くの大会を入れ込むことを目指している。いくつかのツアー再開期日を想定した上で、それをベースにいくつかの再検討した日程を検討している」とガウデンツィ氏はAP通信への電子メールの中で述べた。
「ツアーを安全に再開することができることが前提となるが、我々は可能な限りシーズンを救済しようという共通の目標を持って、他のツアー運営組織と緊密に連携している」
ジョンズ・ホプキンズ大学によれば、世界中で130万人の人々が新型コロナウイルスに感染していると診断され、7万人以上の人々が命を落とした。テストを受けられる人々の数が限られていること、国によって死亡者の数え方が違うこと、またいくつかの国の政府が意図的に感染者や死者の数を抑えて公表していることを考慮すると、真の感染者と死者の数は間違いなくこの公表されている数字よりもずっと多いはずだ。
ここ数週間の間に世界中のほとんどすべてのスポーツイベントが中止や中断となっており、日程変更や無期限の延期を余儀なくされている。
テニスは週ごとに選手が様々な国に旅することが必要とされるツアーの仕組み、いわばフリーランスのような個人事業主としてのプレーヤーのステイタス、ひとつの包括的な統治機関がないことなどが原因で比類ない立場に立たされている。
セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)、ロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)のようなスーパースターたちが賞金より多いスポンサーシップ契約で長年に渡って何百万ドルという大金を稼いでいる一方で、ランキングの低い選手たちは収入を得るために一貫して大会でプレーし続ける必要がある。
「WTAは残念ながら、特にもっとも助けを必要としているレベルのプレーヤーに対して彼らが期待しているほどサポートできる財政的立場にいない」とサイモン氏は苦しい胸の内を明かした。
「ファン、プレーヤー、大会主催者や運営スタッフのことを思うと心が痛む。彼らの期待に応えられるだけのものが何もない状態なのです」
5月1日から10日まで行われるはずだったATPとWTAの共催大会であるマドリッド・オープンは月曜日、プレーヤーがラケットの代わりにコントローラーを振るビデオゲーム・バージョンの大会を4月27日から30日に開催すると発表した。
この大会では、約32万5000ドルの賞金が優勝者に渡されることになる。優勝者はその後、そのうちの何%を助けが必要なテニスプレーヤーに寄付するかを決めることになる。この伝染病で被った社会的打撃を軽減するため、さらに5万5000ドルが使われることになる。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
※写真は昨年のマドリッド・オープンの女子シングルス表彰式の様子(左からWTAのスティーブ・サイモン会長兼CEO、シモナ・ハレプ、キキ・バーテンズ、大会ディレクターのフェリシアーノ・ロペス)
MADRID, SPAIN - MAY 11: Kiki Bertens of Netherlands celebrates with the winners trophy after her final win against Simona Halep of Romania with Steve Simon WTA CEO and Feliciano Lopez tournament director during day eight of the Mutua Madrid Open at La Caja Magica on May 11, 2019 in Madrid, Spain. (Photo by Julian Finney/Getty Images)
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