オーストラリアン・オープン実現に向け、前哨戦のメルボルン集中開催を計画

写真はオーストラリアン・オープンの会場となるメルボルン・パーク(Getty Images)

シーズン最初のグランドスラム大会であるオーストラリアン・オープンと同大会前に行われるすべての前哨戦は、1月にメルボルンで開催される予定になっている。主催者は新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの間、プレーヤーがオーストラリア国内を移動したり検疫期間を取ったりするリスクを最小限に抑えることを目指している。

 通常であれば国内各地(シドニー、ブリスベン、パース、アデレード、ホバート)で行われている大会を、メルボルンに場所を移して開催することをテニス・オーストラリア(豪州テニス協会)は計画している。メルボルンには隔離された環境が整えられ、練習と試合が可能な拠点が設置されることになる。

 しかしそれは、まだ正式な決定事項ではない。オーストラリアの海外との国境の大部分は閉鎖されており、州をまたぐ国内移動の規制は州ごとに違っている。

 月曜日にテニス・オーストラリアはドローのサイズや日程などを含む細部に渡る計画について、1月18日に開始予定のオーストラリアン・オープンに先立つ数週間で練り上げられることになるとAP通信に明かした。

 しかしメルボルンのあるビクトリア州の首相であるダニエル・アンドルーズ氏は、その後の記者会見ですべての大会をメルボルンとその周辺で開催するというプランは「決定事項には程遠い」と釘を刺した。

「これはすでに決まったことで、すべてのテニスプレーヤーがここにやって来ると考えているようだが――いいや、それらの事柄はまだまったく解決されてはいない」

 オーストラリアAP通信(AAP)によれば、「公衆衛生チームがそれらすべてに関して打合せして合意し、細部を取り決めた上でサインしなければならない。そしてそれらは、まだ解決されてはいない」とアンドルーズ氏は説明した。

 ATPカップのゼネラルマネージャーでブリスベン国際の大会ディレクターであるマーク・ハンドリー氏は、すべての大会を安全な環境を整えたメルボルンに移すというテニス・オーストラリアの計画は、選手に確実性を提供するためにデザインされたものだと述べた。

 ハンドリー氏は何百人という選手たちと彼らのチームが世界各地からやって来るという事実が大会の開催地を移動させることを決める『決定的要因』であり、地元の主催者は今もATP(男子プロテニス協会)とWTA(女子テニス協会)と協力して大会のカレンダーを調整している最中だと話した。

「我々にとって、オーストラリアン・オープンを守るというのは本当に重要なことです。それは我々の利益の90%を生み出し、活動資金源となるのです」とハンドリー氏はオーストラリアの公共ラジオ放送の中で発言した。

「この決断に関するもうひとつの鍵となる要素は、例えブリスベン国際が(従来の会場で)開催されることになったとしてもクイーンズランド州でウイルスが拡散するようなことがあればビクトリア州が州の境界を閉じる危険があるということです。そうなれば選手たちは立ち往生し、オーストラリアン・オープンに出場することができなくなってしまいます」

 テニス・オーストラリアのプランでは、海外から入国するプレーヤーは14日間の検疫期間を取るため12月中旬からオーストラリアに到着し始める予定となっている。

 ナショナル・ラグビー・リーグ、オーストラリアン・フットボール・リーグ、スーパーラグビー、サッカーのAリーグを含めたオーストラリアのプロスポーツ大会のいくつかは、3月に実施された最初のロックダウンのあとにシーズンを通してウイルスから守られた安全な拠点に選手が住んでプレーするという方法で競技を再開させていた。

 ヘラルドサン紙の取材を受けたオーストラリアン・オープン大会ディレクターのクレイグ・タイリー氏は、「テニスの大会はこれらのリーグの開催とは違う。何故なら海外から多くの選手たちと彼らのチームを迎え入れることになり、彼らが厳しいロックダウンを尊重して間違いなく規則を厳格に守るように取り計らわなければならないからだ」と答えた。

 すべての大会をビクトリア州に移動させれば、感染拡散などによって土壇場で州の間の移動に関する規制が変わっても大会への影響はほとんどないだろうとタイリー氏は考えている。ある州は新規感染者17人が出たことを受けて、月曜日に南オーストラリア州との境界線を閉鎖した。ビクトリア州はつい最近、2ヵ月以上続いた厳格なロックダウンを解除したばかりだ。

 メルボルンに大会を集中させるプランは、パンデミックでスポーツが世界的にシャットダウンされたあとに開催された最初のグランドスラム大会であるUSオープンが作り上げたものに似通っている。USオープンでは、従来であればオハイオ州シンシナティで行われる前哨戦をニュヨークの同じ会場に場所を移して開催した。

 大会を通してメルボルン・パークに観客を迎えることについて、オーストラリアン・オープン主催者はビクトリア州政府の許可が得られるように願っている。現時点で州政府は、12月26日にスタートするオーストラリア対インドのクリケットの試合で10万人収容可能なメルボルン・クリケット・グラウンドに最大で全体の25%までの観客を迎えることを許可している。

「我々はクリケット同様、大会の実現を願っています」とアンドルーズ氏はコメントした。「しかしながら、テニスと比べればクリケットは規模が小さいと言えます。クリケットであれば、我々は十分に検疫できると考えています」。

「オーストラリアン・オープンは非常に大きな大会であり、我々皆が愛しているイベントです…。しかしそれは世界の他の地域が災害に襲われているときにやってくる大会でもあるのです」(C)AP(テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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