ジョコビッチの次の相手に希望はあるのか? [フレンチ・オープン]

今年最後のグランドスラム「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦9月27日~10月11日/クレーコート)の本戦5日目は、男女シングルス2回戦残り試合と男女ダブルス1回戦などが行われた。
 
 ノバク・ジョコビッチ(セルビア)の名前に言及しただけで、今大会の第1シードで17度グランドスラム大会を制した男と同じコートに立つと考えただけで、ダニエル エライ・ガラン(コロンビア)は大きな笑みを浮かべた。

 彼はその気持ちを表現するのに、「本当にワクワクしている」、「本当に、本当に幸せだ」、そして「本当に特別だ」という言葉を使った。

 結局のところガランは世界ランク153位で、どのグランドスラム大会でもこれまで本戦で勝ったことがなかった。3回戦進出に至っては、今までの彼にとってかなり可能性の低いことだったのである。24歳のコロンビア人はロラン・ギャロスの予選決勝で敗れたが、欠場者が出たためラッキールーザーとして本戦に滑り込んだ。

 そんな訳で、ガランにとって木曜日にテニス・サングレン(アメリカ)を6-2 6-2 6-3で倒したことは非常に大きな出来事だったのである。そしてもちろんジョコビッチと対戦する土曜日について考えることは、より一層大きなことなのだろう。

 2回戦でリカルダス・ベランキス(リトアニア)を6-1 6-2 6-2で圧倒したジョコビッチは、ここまでの2試合でまだ10ゲームしか落としていない。ガランはロッカールームでジョコビッチの姿を目にしたことはあるが、一度も言葉を交わしたことはないと明かした。

 それはテニス界ではよく起きるある種の『ダビデとゴリアテ』の対決だが、今年のパリではその手のマッチアップが特に多くなっている。

 今年の男子シングルスではトップ100圏外の選手9人が3回戦に進んだが、ガランはそのうちのひとりだ。この数字は1994年ウインブルドン以来、実に26年ぶりのこととなる。ロラン・ギャロスで100位以下の選手が9人も3回戦に駒を進めたのは、1985年以来のこととなる。

 女子でも土曜日の3回戦で第7シードのペトラ・クビトバ(チェコ)と世界100位のレイラ・フェルナンデス(カナダ)が対戦するなど、ランキングの差が大きな組み合わせがいくつか発生している。

 もしかしたら以前に実現していなかったこれらの成功は、このフレンチ・オープンが通常と違っていることに原因があるのかもしれない。

 新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックのため、季節は5月から6月のはずが秋に移された。それはいつものようにヨーロッパのクレーコートシーズンを何大会も経て迎えるのではなく、ハードコートのUSオープン終了から2週間という時期に位置付けられている。また木曜日には太陽と青空が現れたとはいえ秋の寒さと雨の中でプレーされており、観客は1日1000人しか許されていない。

 いずれにせよ、ときに石が的に命中することを覚えておくことは有益だ。先を見つめた際のガランの哲学が以下の通りなのは、恐らくそのためだろう。

「ただ勝とうと努力すること。自分のすべてを捧げ、全力を尽くすこと。それだけだ。結局のところ、また別の試合を戦うだけさ」

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