40歳ビーナスが左膝負傷と右足首捻挫でも最後まで試合を続行 [オーストラリアン・オープン]
右足首と左膝を負傷した40歳のビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)が足を引きずり、激しく息をして呻く姿のを目にするのはある意味で辛いことだった。
またある意味では、インスピレーションを掻き立てられることでもあった。ビーナスは痛みに屈することを頑なに拒み、プレーを止めることを拒否して踏ん張り抜いた。彼女は2度に渡ってメディカルタイムアウトを取ったあと、その体がいかに傷ついていようと勝利の可能性がどれほど皆無に等しかろうと試合を最後まで戦い抜いたのである。
水曜日の女子シングルス2回戦の第1セット1-5からボレーするためネットに向かっているときにケガをしたビーナスはもはやゲームを取ることはできず、予選勝者のサラ・エラーニ(イタリア)に1-6 0-6で敗れた。
2012年フレンチ・オープン準優勝者のエラーニは「彼女はもう走れなくなっていたから、リタイアするだろうと思っていたの。彼女は歩くこともままならない様子だったしね…。私は自分がどうプレーすべきかを考える以上に彼女のことを心配していたわ」と振り返り、「もしかしたら、ある時点で彼女が『もう十分よ』と言うのではないかと私は思っていたの。でも反対に彼女は最後まで戦い続けたのよ」と説明した。
確かに疲労と関節痛を引き起こすことがある自己免疫疾患であるシェーグレン症候群に対処しながら何年にも渡ってプレーしてきたビーナスの中に、途中棄権の考えはなかった。
21回目のオーストラリアン・オープンに臨んだビーナスは、ドローの中で最年長の女子選手だった。今大会でのビーナスは、プロ化以降の時代では最多記録となる88回目のグランドスラム大会をプレーした。彼女は四大大会のシングルスで7つのタイトルを獲得し、妹のセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)とのダブルスでさらに14回の栄冠に輝いていた。
長く際立ったそのキャリアを通し、ビーナスはケガについて話したり失敗を体の問題のせいにするのが好きではなかった。そして誰が見ても試合続行は無理と思われたエラーニ戦でも、彼女がプレーを止めることはなかった。
負傷していた左膝にしっかりとテーピングを施してプレーしていたビーナスが右足首を捻ったとき、エラーニは試合をコントロール下に置いていた。ビーナスは脚をチェックしようとしてコート後方で足を引きずって動き、苦痛のあまり周りの者が驚いてしまうくらいの唸り声を上げた。彼女はどちらの足にも体重をかけることができないように見え、杖のようにラケットを支えにしようとしていた。
「私はちょっぴりショックを受けていたわ」とエラーニはそのときの心境を語った。
プレーは中断され、トレーナーがベンチでビーナスの治療に当たった。まずは捻った足首にテーピングを施し、それから膝のほうに取り掛かった。15分以上中断してからプレーが再開されたすぐあとに第1セットは終わり、ビーナスはコートサイドのベンチに戻ってうなだれた。
歩くのも辛そうだったにも関わらず、彼女は試合を続けた。通常は速い彼女のサービスは時速160km以上のスピード出ない代わりに時速100km以下に落ち、エラーニがポイントを取るため使い続けた多くのドロップショットをまともに追うことすらできなかった。(C)AP(テニスマガジン)
All heart ?@Venuseswilliams left it all on the court ?#AusOpen | #AO2021 pic.twitter.com/22G6ZJZUYf
— #AusOpen (@AustralianOpen) February 10, 2021
写真◎Getty Images
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