メーカーが新しい使用球の性能に太鼓判「我々のボールは石ではない」 [フレンチ・オープン]

今年最後のグランドスラム「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦9月27日~10月11日/クレーコート)の本戦4日目は、男女シングルス2回戦と男女ダブルス1回戦が行われた。
  
 0.5g未満、或いは1ドル札の半分の重さ…。
 
 メーカーによれば、それがラファエル・ナダル(スペイン)が昨年の大会で12回目の優勝を飾った際に喜んで叩いていた古いボールと、13勝目を目指す彼が苛立ちをぶつけている新しいボールとの微小な重量差なのだという。

 気温が低く湿りがちな秋のパリで、太陽に照らされた地中海の島の住人であるナダルは新しいボールについて「石のようだ」とクレーコートで最初のボールを打つ前から怒った様子で不平を言った。

 しかしボールの開発とテストを行ってきたメーカーはナダルは間違っていると信じ、ボールに問題はないと証明するためにスペインの『キング・オブ・クレー(クレーの王者)』がふたたび栄冠に輝くよう密かに願をかけている。

「私の一部は、『ナダルが優勝するよう願うよ。そうすればボールに問題はないことを証明できるから』という感じです」とウイルソンスポーティンググッズ社の製品ディレクターを務めるジェイソン・コリンズ氏はAP通信とのインタビューの中で打ち明けた。

「この大会が無事に終了したあと、2020年ロラン・ギャロスに関して覚えられているのはボールではないということに私は自信を持っています」

 昨年11月に大会が試用球について、ナダルのスポンサーでもあるフランスのメーカー『バボラ』からアメリカ・イリノイ州シカゴを拠点する『ウイルソン』に変更すると発表したとき、新型コロナウイルス(COVID-19)の話はまったく耳にされていなかった。そのころまでにウイルソンは通常ならふたつ目のグランドスラム大会が開催される2020年5月と6月のパリを想定し、暖かくてたまに雨の降る気候に合わせてボールを調整する作業に取り掛かっていた。

 しかし思いもかけず、パンデミックがそのすべてを邪魔してしまった。フレンチ・オープンは9月に延期され――ウインブルドンが中止された中――、今年は3大会しか開催されなかったグランドスラム大会の最終戦となってしまったのだ。

 陽気な春の気候のパリの代わりに、プレーヤーたちは雨、寒さ、鉛色の空、そして5月より2時間早く沈む太陽を体験することになった。安全地帯に指定されたオフィシャルホテルに閉じこもっているか風雨にさらされてベタベタしたクレーコートでレギンスや雨除けのウェアを身に着けて仕事に精を出しているかしているプレーヤーの一部からかなりの不平の声が漏れており、新しいボールも非難の矛先を向けられていた。

 特に雨の影響を受けた開幕日に3時間49分かかった5セットマッチに敗れたあと、「僕たちが使用しているボールのいくつかは、犬のおもちゃにもならないような代物だ」とダニエル・エバンズ(イギリス)は酷評した。

「酷いコンディションだ。すごく寒かった。ボールは最大の問題だと思う。ボールに何かまずいことをしたんじゃないか。ボールをどこに打つにも一苦労だったよ」

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