エドマンドがセッピを倒し、待ちわびたタイトルを獲得 [ニューヨーク・オープン]
ATPツアー公式戦の「ニューヨーク・オープン」(ATP250/アメリカ・ニューヨーク/2月10~16日/賞金総額80万4180ドル/室内ハードコート)の男子シングルス決勝で、第8シードのカイル・エドマンド(イギリス)がアンドレアス・セッピ(イタリア)を憔悴させた末に7-5 6-1で下し、待ちわびたタイトルを勝ち獲った。
まずは5試合の連敗の時期があり、そのあとエドマンドにとって状況はさらに悪くなった。彼はランキングを転げ落ちた難しい2019年の間に、最長で7連敗を喫したのだ。それは彼にとって、テニスで自己最大の成功を謳歌した1年後にやってきた苦境だった。
それゆえにエドマンドは、ATPツアーで獲得したふたつ目のタイトルを一層ありがたく感じたのだという。
「今ここでトロフィーを手にできた理由は、その苦境があったからだと言っても過言ではない。この勝利が格別に素晴らしく感じられるのは、それらの低迷の時期を経験したからだ。そのような経験を積んだからこそ、成功を当然のものであるように受け取ることはできないということに気付かされるんだ」とエドマンドは語った。
「苦境に陥ることから成功を得る。なぜなら人は、メンタル的に落ち込んだり試合に敗れた失望から学ぶからだ。それらは、人が幸せになったり成功したり、試合に勝つということに至る手助けをしてくれるんだ」。
彼は試合後、イギリスにいる父に誕生日おめでとうのメッセージを送った。
試合が進むにつれよりパワフルになっていくように見えたショットをきっちりコントロールしたエドマンドは最初のセットを取ると、第2セットでも大きなリードを奪った。
自分が打ったときよりも力強くボールが戻ってくる中でセッピはしばらくの間は踏ん張り続けていたが、2012年以来のツアー制覇に向けての挑戦において力足らずに終わった。
セッピが最後に優勝した翌年まで、エドマンドはツアー初勝利を挙げてさえいなかった。彼は最終的に、オーストラリアン・オープンで4強入りするとともにツアー初優勝を飾った2018年に、世界ランク自己最高14位への道を切り開いた。
左膝の故障に苦しんだエドマンドは、そのせいで基準以下の成績に終わった2019年の間に3大会を棄権しなければならなかった。しかし彼は今週のロングアイランドで、自らのテニスを軌道に戻した。エドマンドは今大会、1度しか3セットにもつれ込んでいなかった。
第1セットではお互いが問題なくサービスゲームをキープしていたが、最後のゲームでエドマンドが突如攻撃に出た。エドマンドのパワフルで深いボールはセッピにプレッシャーをかけ続け、彼はバックハンドのダウン・ザ・ラインを決めてブレークを果たすとセットをもぎ取った。
第2セットでセッピの最初のサービスゲームをブレークしたエドマンドは、たちまち3-0とリードした。セッピは次のゲームで4つのブレークポイントを凌いで何とかキープしたが、エドマンドはすぐにまた攻撃態勢に入ると3本のサービスエースを決めて4-1とリードを広げた。
「言うまでもなく、彼はツアーを長く回っている経験豊富な選手だ。彼はコート上で何をすべきかを知っている」とエドマンドはコメントした。「だから厳しかったけれど、この大会でのここまでの自分のプレーぶりを考えれば、特によりフォアハンドを使うことでポイントを取っていくチャンスを手にできると分かっていた」。
そのあと治療を受けるためにコートから離れたセッピは脚の故障によりやや動きが遅くなったように見え、それゆえエドマンドのショットを追いかけるのがさらに難しくなった。
今大会でのセッピは、ツアー4勝目を目指していた。もし日曜日に勝っていれば、彼は1980年代にふたつのタイトルの間に7年と5ヵ月を要したロバート・ヴァンホフ(アメリカ)に次いで長い7年と4ヵ月タイトルなしの時期に終止符を打っていたはずだった。
ナッソー・ベテランズ・メモリアル・コロシアムでのタイトルへの道は、ニック・キリオス(オーストラリア)や錦織圭(日清食品)といったトップ25の選手たちが故障で出場を取り消したため、大会が始まる前から開け始めていた。それから第1シードのジョン・イズナー(アメリカ)と第2シードのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)、そして2018年優勝者のケビン・アンダーソン(南アフリカ)が初戦で敗退した。
1回戦でマッチポイントを凌いだ末に何とか勝ちをつかんだセッピは、そこから勢いを上げるとエドマンドに当たるまでよい進撃を続けていた。エドマンドはセッピに対して今年2度目となる勝利をおさめ、彼との対戦成績を5勝1敗とした。
2019年シングルス優勝者のライリー・オペルカ(アメリカ)は同胞スティーブ・ジョンソン(アメリカ)と組んだダブルスの決勝で、ドミニク・イングロット(イギリス)/アイサムウルハク・クレシー(パキスタン)に6-7(5) 6-7(6)で敗れて準優勝に終わった。
(APライター◎ブライアン・マホニー/構成◎テニスマガジン)
※トップ写真はカイル・エドマンド(イギリス)
UNIONDALE, NEW YORK - FEBRUARY 16: Kyle Edmund of Great Britain celebrates with the winners trophy after winning his Men's Singles final match against Andreas Seppi of Italy on day seven of the 2020 NY Open at Nassau Veterans Memorial Coliseum on February 16, 2020 in Uniondale, New York. (Photo by Steven Ryan/Getty Images)
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