“びびった”ナダルの対戦相手がセットポイントで痛恨のミス「あのとき邪念が…」 [フレンチ・オープン]
パリのレッドクレーでラファエル・ナダル(スペイン)に勝つということは、もちろん途轍もなく難しい。彼はロラン・ギャロスでの100勝2敗の戦績を引っ提げ、火曜日の試合に臨んだのだ。
彼から1セットを取ることすら、ほとんど不可能だ。そんな訳で大会3日目のフィリップ・シャトリエ・コートでアレクセイ・ポプリン(オーストラリア)が2度に渡ってあと1ポイントでセット奪取というところに迫ったとき、その重大さは21歳の彼にとって手に余るものだったようなのだ。重圧に負け、緊張で硬くなってしまったというのが彼の自己分析だった。
21回目のグランドスラム制覇と自身の記録を更新する14回目のフレンチ・オープン優勝を目指すナダルは、ポプリンを6-3 6-2 7-6(3)で下して大会をスタートした。
この結果でナダルは、ドミニク・ティーム(オーストリア)に対する2019年決勝で第2セットを落としてから続いている今大会での連続セット獲得数を「26」に伸ばした。彼は新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより肌寒い秋に開催された昨年の大会で、プレーした21セットのすべてを取っていた。
「昨年の僕はケガをすることを少し恐れていたと思うけど、それはもはや過去のものだ。今年は皆がより心地よく感じているよ」とナダルはコメントした。
例年通りの5月から6月のスケジュールに戻った大会は、マヨルカ島出身のナダルが楽しめるタイプのコンディションの中で行われている。火曜日の気温は26度前後で、コートには陽光が降り注いでいた。そして彼は第3セットで少し揺らぐまで、ポプリンに対してかなりうまくプレーしていた。
第3セットでナダルは一時2-5とリードされ、ポプリンは5-3からの自分のサービスゲームで40-30とセットポイントを握った。しかしそこでポプリンはダブルフォールトを犯し、セットを取りきることができなかった。そのあと彼はアドバンテージでまたもセットポイントを手にしたがジャンピングスマッシュをクリーンヒットできず、ナダルに当たりそうになったボールはベースラインを割った。
そのあとフォアハンドを2本ふかしたポプリンはブレークバックを許し、そこからナダルが試合をものにするのにそれほど長い時間はかからなかった。
「あのとき邪念が頭に入り込んできたんだ。“フレンチ・オープンでナダルからセットを取る”というのはそう簡単なことじゃないよ」とポプリンは振り返り、それから微笑みを浮かべて「彼は凄いよ。何て言えばいいんだい?」と言った。
実際、試合のその時点でナダルが何らかのプレッシャーを感じているように見えなかった。彼がのちに明かしたところによれば、彼の考え方は本質的に「そのセットを落としたからどうだというのだ。僕はすでにセットカウント2-0でリードしている」というものだった。
「マッチポイントはまた別の話だ。マッチポイントでは1点失えばそれで終りだ。もう家に帰ることになる。でもこの場合では、ただセットを落とすだけだ。OKだよ。僕たちはベスト・オブ5セットマッチをプレーしているんだ。相手は僕を倒すため、さらに2セット取らなければならない。そして僕は自分がそこで、すべてのポイントでファイトすると分かっている」とナダルは語った。
ロラン・ギャロスで絶大な強さを誇るナダルだが、今回の彼は第3シードに過ぎない。フレンチ・オープンは厳密にツアーのランキングに従ってシードを決めるため、彼は世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)と同2位のダニール・メドベージェフ(ロシア)の次となるのだ。
ナイトセッションでプレーしたジョコビッチは2時間弱をかけてテニス・サングレン(アメリカ)を6-2 6-4 6-2で倒し、ロラン・ギャロス1回戦での戦績を17勝0敗とした。ジョコビッチは今大会最後の1回戦の試合で直面した6つのブレークポイントをすべてセーブし、試合を通して33本のウィナーを決めた。(APライター◎サミュエル・ペトレキン/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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