パリで完璧なナダルがジョコビッチを圧倒、グランドスラム優勝回数でフェデラーとタイに [フレンチ・オープン]
今年最後のグランドスラム「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦9月27日~10月11日/クレーコート)は大会最終日を迎え、男子シングルスと女子ダブルスの決勝が行われた。
ラファエル・ナダル(スペイン)がロラン・ギャロスで13回目の優勝とロジャー・フェデラー(スイス)に並ぶ20回目のグランドスラム制覇まであと1ポイントと迫ってノバク・ジョコビッチ(セルビア)に対するサービスの準備に入ったとき、何年にも渡る努力や多くの勝利がこの瞬間に繋がっていた。
右足でベースライン沿いをこすり、第2シードのナダルはこれまで何度もやってきたように赤土を払った。彼は靴底をラケットでまず右、それから左、また右と叩いた。彼はボールをひとつ後ろに捨て、もうひとつを青い短パンのポケットに入れた。
それからついに打つ準備が整った彼は非の打ちどころのないパフォーマンスを仕上げる時速170kmのサービスエースを打ち込み、世界ランク1位のジョコビッチに対して驚くほど一方的な6-0 6-2 7-5の勝利を決めたのだ。ナダルは膝をついて満面の笑みを浮かべ、それから両腕を突き上げた。
この日はジョコビッチとフェデラーのどちらとも、この情け容赦のないナダルに耐えきるチャンスは擁していなかった。
世界2位のナダルが1セットも落とさずにこのお気に入りの大会に勝ったのは、これが4度目だ。そして彼はこの日、フレンチ・オープンでの戦績を100勝2敗とした。
「僕がこの町、このコートと育んだラブストーリーは忘れがたきものだ」とナダルは感慨深げに語った。
2005年から08年の4連覇、2010年から14年の5連覇に続き、34歳のナダルはこれでこのお気に入りの大会にここ4年連続で勝ったことになる。彼はこれに加えてUSオープンを4度、ウインブルドンを2度、オーストラリアン・オープンも1度制している。
フェデラーに追いつくという考えに没頭したことは一度もないと明言した上で、ナダルは自分が達成したことの重要性に感謝していた。
「グランドスラムでより多くのタイトルを獲った選手としてキャリアを終えられたらいいとは思う。それは疑いのないことだ。でもその一方で、『OK、僕は自分の道を進まなければならない。ノバクはこれに勝った、ロジャーはあっちに勝ったなどと四六時中考えるようなことはしない』という自分もいる。隣の人が自分より大きい家を持っているとか大きな船を持っているとかで、常に不満を抱いてはいられないからね」とナダルは話した。
「これらの記録については、もちろん大事に思っている。僕は一般的に言って、スポーツの歴史の大ファンだ。僕はそういうことに、大きな敬意を抱いている」と彼は続けた。「僕にとってこの数字をロジャーと分かち合うというのは、大きな意味を持つことなんだ」。
2度に渡る膝の手術のあと、39歳のフェデラーはUSオープンとフレンチ・オープンを欠場した。彼は日曜日、インスタグラムにナダルを祝福するメッセージを投稿した。
「僕は友人であるラファに人間として何年にも渡るもっとも素晴らしきライバルとして、最大の敬意を払ってきた。我々はよりよい選手となるため、互いに切磋琢磨し合ってきたと思う。だから彼に20回目のグランドスラム優勝を祝福することは、本当に栄誉あることだ」とフェデラーは綴り、それからこう締めくくった。
「“20”が我々双方にとって、続いていく旅のもうひとつのステップに過ぎないことを願っている。よくやった、ラファ。君はそれを手にするに値する」
一方で敗れたジョコビッチは、17タイトルのままとなった。もし彼が勝っていればフェデラーが「20」、ナダルが「19」、ジョコビッチは「18」と並んだはずだったが、この日はそうするためのチャンスがほとんど見えなかった。グランドスラムで14よりも多くのタイトルを持つ男子選手は他にいない。
これはナダルとジョコビッチが戦った56回目の対戦で、プロ化以降の時代では最多のものだ。ジョコビッチは2019年オーストラリアン・オープン決勝での6-3 6-2 6-3の勝利も含め、まだ29勝27でリードしている。
「オーストラリアで彼は僕をこてんぱんにやっつけた…。今日は僕の番だったね」とナダルはコメントした。
この日のナダルがアンフォーストエラーを14本に抑えたのに対し、ジョコビッチは52本だった。このカギとなる統計は誰に対する試合であっても印象的だが、相手がジョコビッチのような選手であれば特に際立つ。
「彼は驚異的だった」とジョコビッチは舌を巻いた。「特に彼は、最初の2セットでは完璧なプレーをしていた」。
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