「ラファと出会い、プレースタイルを変えざるを得なかった」初対戦を振り返るフェデラー [ノベンティ・オープン]

グラスコートでの初戦はイバシカに競り勝ったロジャー・フェデラー(スイス)(Getty Images)


 ATPツアー公式戦の「ノベンティ・オープン」(ATP500/ドイツ・ハレ/6月14~20日/賞金総額145万5928ユーロ/グラスコート)の男子シングルス1回戦で、第5シードのロジャー・フェデラー(スイス)が予選勝者のイリヤ・イバシカ(ベラルーシ)を7-6(4) 7-5で破った。

 「いい感触だよ。1回戦はいつも危険で難しい。特にビッグサーバー相手だと難しいが、落ち着いて対処できた。ブレークポイントでもいいプレーができた。速いサービスにも徐々に慣れてきた。よくなっていったけど、最後まで安心はできない試合だった。グラスコートに戻ってこられてうれしいよ」

  フレンチ・オープンで3回戦まで戦い、実戦経験を十分詰めた。

「今週はプレッシャーが少ない。パリで3試合戦うことができたのは大きい。どうしても勝たなければならないという気持ちでプレーする必要がなかった。今日勝ったのはよいこと。2試合戦えるんだから。ここでの目標はもう1試合勝つことだ」

  最大の目標はウインブルドンに定めている。

「ウインブルドンでは先まで勝ち進みたい。それが今シーズンの目標だ。今週はリカバリーして、ウインブルドンで目標を達成するためにここにいる。ここの試合で得られる経験はウインブルドンを戦うために、すべてポジティブなことばかりだ。サービスもいいので、フットワークの部分で順応できればいい。ベースラインからアグレッシブに戦うプレーが自動的にできるようにしたい。今週、そこまでクリアできそうだ」

 自身はグラスコートに慣れるのに時間は必要ないという。

「芝にはすぐ慣れた。頭の切り替えがポイントだ。ここハレの芝は屋根に守られていて、滑りやすく、球足も速い、イレギュラーもある」

 グラスコートでは自分にアドバンテージがある。

「この大会は非常に難しいから、トップ選手がどのようにプレーできるかを注意深く見てみたい。ここの1、2回戦をどう乗り越えるかが大事だ。試合開始から2ポイント目で滑っている選手もいた。思い通りに動くことができず、難しいんだ。この2年近くは誰もグラスコートでプレーしていないから、もしかしたら順応に苦労しない自分にとっては大きなアドバンテージかもしれない」


ハレでの1回戦イバシカ戦でベンチに座り水分補給をするフェデラー

 ノバク・ジョコビッチ(セルビア)、ラファエル・ナダル(スペイン)との出会いを振り返った。

「ノバクのことを初めて知ったのは2006年のモナコだったかな。ジュニアの頃は聞いたことがなかった。ラファと初めて対戦したのは2004年のマイアミだと思う。当時からいい選手だった」

 ナダルのプレースタイルには順応する必要性を感じた。

「ラファはいつかフレンチ・オープンで優勝するだろうと、彼に負けたときから思っていた。僕はハードコート仕様のクラシックなプレースタイルだったが、それでは彼に勝てないと分かった。彼のスタイルに順応しなければならなかった。そのとき自分は世界1位だったから、相手のスタイルに合わせないと勝てないことはほとんどなかった」

 2005年からナダルとのライバル関係がスタートした。

「そこから現在までのようなライバル関係が出来上がるとは、まだ思っていなかった。自分の結果のほうが気になっていた。その翌年の決勝で5セットを戦った。クレー、ハードどこでも彼と対戦する機会が増えるだろうと確信したよ。彼とのライバル関係が始まったのは2005年だね」

  フレンチ・オープンの準決勝、決勝はチェックした。

 「今回のフレンチ・オープンの決勝は、一部は見たよ。ノバクはラファとの準決勝も素晴らしかった。あの2つの試合は本当にタフだったはず。みんな忘れているかもしれないけど、ノバクはセルビア・オープンでも素晴らしかった」

 準優勝のステファノス・チチパス(ギリシャ)も称えた。

「チチパスも素晴らしかった。ノバク相手の決勝はプレッシャーも大きい中で、2セットアップになった。優勝が一瞬見えたのかもしれないけど、同時にそこから終わらせることの難しさもある。それでも凄くよかったと思う」

  チチパスのプレースタイルはグラスコートに合うという。

「チチパスがグラスコートでどんなプレーを見せるのか楽しみだ。彼の片手バックハンドは有利に働くと思う。今はテニスのスタジアムを満員にできないけど、それでもテニス界は盛り上がっていて、いい時期だと思う」

 ウインブルドンでは早くポイントを終わらせてきた。

「ウインブルドンではイレギュラーに対応するのが難しくなっている。自分がウインブルドンに初めて出てきたことを思い出すよ。サーブ&ボレーをして、チップ&チャージをしてネットに出てポイントをなるべく早く終わらせようとした。自分の哲学はパッシングショットを狙うよりもボレーで決めることだった。今はパッシングショットももちろん使う。相手がネットに出てきたら、パッシングショットを狙うさ」

 ウインブルドンの思い出を語った。

「ウインブルドンでサーブ&ボレーを多用して優勝できたのはよかった。3度目の出場でピート・サンプラス(アメリカ)と戦って勝つことができた。2度目はほとんどのポイントでサーブ&ボレーをするエフゲニー・カフェルニコフ(ロシア)に負けた。古い時代のグラスコートの戦い方を経験できたのは貴重なものだった」

 時代の変化も経験してきた。

 「今はストリングが変わり、どの選手もハーフボレーが上手になってラリーをニュートライズできるようになり、プレースタイルがかなり変わった。リターンの上手な選手も増えている。ウインブルドンでは今はかなり後ろに下がってリターンできるけど、90年代後半は考えられないことだった。この変化は面白い」

 ハレのグラスコートは独特の弾み方をするという。

「ここハレは外で芝生を育ててコートに植え込むから、完全に平坦ではない。継ぎ目があって、しっかり弾まないこともある。芝生を生かして、コートの奥を狙ってイレギュラーを誘発することもできる。昔に比べてかなりスローダウンしたことは確かだ。毎年、ハレからウインブルドンにうまくアジャストできているから、今年もそうしたい」

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写真◎Getty Images

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