男子は16強が決定、女子は3回戦を終えられず、男女ダブルスはまたしても順延 [インカレ]

田形諒平(筑波大学4年)写真◎BBM


 全日本学生テニス連盟が主催する学生テニス日本一を決める“インカレ”ーー「2021年度全日本学生テニス選手権大会(男子89回/女子65回)」(三重県四日市市・四日市テニスセンター/予選8月12日〜、本戦16~23日/ハードコート)は本戦4日目の19日、男子シングルス3回戦16試合と女子シングルス2回戦32試合のうちドローのボトムハーフ16試合、そして3回戦の一部5試合を戦い終えた。

 この日も朝から雨に降られ、昼過ぎには屋根にぶつかる雨音の大きさに驚くほどとなった。屋根付きコート8面のうち2面は雨が横から吹き込むため使用できず、6面で試合を進行。そのため進行の遅れは否めず、早い段階で男女ダブルス1回戦の順延を決定し、さらにその後、女子シングルス3回戦のボトムハーフ8試合を翌日に持ち越すことを決めた。


会場の四日市テニスセンターは雨のため、屋根付きコートで進行している

 また、女子シングルス3回戦のトップハーフ3試合が日没のため試合途中で順延となり、結局3回戦16試合のうち11試合がまだ終わっていない。

 そして男女ダブルスは本戦が始まって4日が過ぎても、まだ一試合も行えていない状況で、大会は予備日の23日(月)、24日(火)を使用して大会を進行することを決めた。準備をしては試合が行われないという、繰り返される状況に、選手はもちろん、大会を運営する全日本学生テニス連盟などスタッフの疲労も大きくなっている。過去に例を見ない異常事態と言えるだろう。

 そんな中、男子はベスト16が決まった。第1シードの白石光(早稲田大3年)を筆頭にシード勢は10人が4回戦に駒を進め、そこに佐々木健吾(慶應義塾大4年)、小久保蓮(早稲田大3年)、河野甲斐(近畿大3年)、池田朋弥(早稲田大2年)、予選を勝ち上がった中川舜祐(法政大4年)、田中瑛士(明治大4年)が加わった。


池田朋弥(早稲田大学1年)

 シードダウンした中でもっとも上位シードとなるのが第2シードの田形諒平(筑波大4年)で、同じ4年生の中川舜祐(法政大4年)に3-6 4-6で敗れた。


中川舜祐(法政大4年)

 両セットとも先にブレークしたのは田形だったが、すぐに中川にブレークバックを許した。

 両者の対戦はこれが3度目で、過去2度は田形が勝利していた。「(田形に)逆転されるときを思い出して、そこに気をつけながら、自分らしく前向きに、挑戦者として、攻めの姿勢でプレーした」と中川。「一つずつ一つずつ」の気持ちを持っていたと言い、落ち着きを保ちつつ、攻撃の姿勢を持ち続けたことを勝因に挙げた。

 田形は、「悔しい」と涙を浮かべた。大会前に体調を崩し、テニスが十分できていなかったという。それに加え、この悪天候により不安は増すことに。「自分のペースが定まっていなかった。考え過ぎていて、1回戦からいいプレーが引き出せていなかった。リードしても(テニスに)気持ち悪さがあってガツガツできなかった」。


田形諒平(筑波大学4年)

 ふたりは4年生で、卒業後は実業団に進むことが決まっている。選手は続けるが個人で戦う機会はもうわずかしかない。「全国タイトルが獲りたかった」と田形。インカレは1年生でベスト32、2年生はベスト4、3年生は準優勝と一つずつ階段を上ってきた。それを自ら思い返しながら、「もうやり直せない」と言った。気持ちの整理は時間がかかるだろうが、一方でダブルスの戦いはこれから始まる。

 今年2月に行われたインカレ室内で準優勝している、今大会第3〜4シードの高畑里玖(早稲田大2年)は、佐々木健吾(慶應義塾大4年)に6-7(3) 6-4 [10-12]の僅差で敗れた。

 2019年のインターハイ、全日本ジュニア、JOCカップとタイトルを総なめにして大学テニスに進んできた第9〜12シードの藤原智也(慶應義塾大)は、同じ2年生の石井涼太(中央大)に4-6 6-1 [10-4]で逆転勝ちした。


藤原智也(慶應義塾大2年)

 この試合が激しい打ち合いとなったことには一つ理由が考えられ、藤原が優勝した全日本ジュニアの準決勝でふたりは対戦しており、石井にとってはリベンジマッチだった。

 試合の入りから押していたのは石井だった。だが、藤原はそれにひるむタイプではなく、むしろ集中を高めていき、その最たるものが第3セットの10ポイントマッチタイブレーク。最初の3ポイントを確実に奪いにいく。しかも3ポイント目は長いラリーの末、ベースライン上にのるショットを繰り出し、石井はそれに手が出なかった。次のポイントで石井のダブルフォールトを引き出し、みるみる追い込んでいった。勝負強さを目の当たりにした試合だった。

石井涼太(中央大2年)

 女子はすでに行われた3回戦5試合で、第1シードの平田歩(慶應義塾大4年)、第3〜4シードの山﨑郁美(亜細亜大2年)、第5〜8シードの永田杏里(慶應義塾大3年)、第9〜12シードの吉田明日香(明治大4年)、2019年インターハイ・チャンピオンの照井妃奈(筑波大2年)が4回戦に進んだ。

 照井は、今大会の第13〜16シードで2019年全日本ジュニア優勝の山口瑞希(関西学院大2年)を6-3 6-1で破って勝ち上がった。


照井妃奈(筑波大2年)

 大会5日目の20日(金)は、男子シングルス4回戦8試合と、女子シングルス3回戦(ドローのボトムハーフ)8試合に試合途中となっている3試合、そして男女ダブルス1回戦16試合+16試合が行われる。悪天候を想定し、屋根付きコート8面での進行。試合開始は8時15分の予定。

 また試合形式は、男女シングルス3回戦がベスト・オブ・3タイブレークセット(第3セットは10ポイントマッチタイブレーク)で、第1、第2セットはセミアドバンテージ方式(40-40になったらデュースを一度行い、次のデュースはレシーバーがサイドチョイスして1ポイント勝負)を採用。4回戦はベスト・オブ・3タイブレークセット(第3セットは10ポイントマッチタイブレーク)。

 男女ダブルスはベスト・オブ・3タイブレークセット(第3セットは10ポイントマッチタイブレーク)、ノーアドバンテージ方式(40-40になったらレシーバーがサイドチョイスして1ポイント勝負)で行われる。


編集部◎青木和子 写真◎BBM

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