男子団体は橘学苑(神奈川)が初出場初優勝![2021全中]

橘学苑は「初出場初優勝」の偉業を成し遂げた(写真◎菅原淳)


 福島県会津若松市を舞台に開催されている「第48回全国中学生テニス選手権大会」(会津総合運動公園テニスコート/団体戦:8月18~20日、個人戦:8月20、21日)の大会3日目は団体の3回戦、準決勝、決勝、個人戦シングルスの1回戦が行われ、男子団体は橘学苑(神奈川)が初出場初優勝を果たした。

 2ダブルス・3シングルス、各試合1セットマッチで行われる団体戦。初出場ながらトップシードに推された橘学苑は準々決勝で第5~8シードの岡山大教附(岡山)、準決勝で名経大市邨(愛知)をいずれも3勝1敗で撃破して決勝に進出。一方の山からは2019年大会に続く大会連覇を狙う第5~8シードの聖徳学園(東京)が勝ち上がった。

橘学苑はキャプテンの上田が先勝(写真◎菅原淳)

 決勝は一気の5面展開。まず飛び出したのは橘学苑のエースでキャプテン、S1に配された上田頼だ。「僕が勝たないとチームが乗れない。絶対に勝つという気持ちで臨んだ」という言葉どおり、聖徳学園の高井優有を6-0で圧倒して1勝目をもたらした。

 聖徳学園もチームのエース格であるS3高橋朝陽が小林大空を6-1で退けてタイに持ち込むも、橘学苑はD1で藤川昂/鈴木瑛太が久保哉人/田中陽太を6-3で撃破。一気に優勝へ王手をかけた。

D1藤川/鈴木で橘学苑は優勝に王手をかけた(写真◎菅原淳)

 残るD2、S2とも橘学苑の優位は変わらない。D2赤羽志道/三井和琉は聖徳学園の上田純平/富澤直人を5-1と追い込み、リターンゲームの第8ゲームでは3度のチャンピオンシップポイントを握るも取りきれず。上田/富澤の粘りの前に不穏な空気が漂ったが、その間にS2の2年生・石ケ森鉄平が一気に勝負を決めようとしていた。

「D1が勝っていて安心していたが、追い上げられているのを見て焦った」という石ケ森。その言葉とは裏腹に、「相手(田口大貴)がパワーヒッターなのでスライス、ロブをまじえて粘りながら」とスローな展開に持ち込む冷静な試合運び。第1ゲームでブレークを許しながら、第2、4でブレークを奪い返し、第8ゲームでもふたたびブレークを重ねてチームに「日本一」の称号を運んだ。

橘学苑はS2石ケ森が優勝を決めた(写真◎菅原淳)

 石ケ森は「自分が決めるなんて思っていなかった。勝った瞬間はびっくりして、仲間が喜んでいるのを見て優勝を実感した」と驚きの優勝を振り返り、主将の上田は表彰式を終えても「今でも信じられないくらい。うれしい」と声を弾ませる。

 橘学苑を5年前から指導する谷澤英彦コーチも「優勝できるとは思っていなかった」と驚きを隠さない。「実績がないメンバーも関東中学から大会が進むごとにうまくなっていき、勢いに乗っていった。初出場というノンプレッシャーの中で、頑張りながらものびのびプレーしてくれた」と選手たちの成長を称えていた。

 一方、敗れた聖徳学園はディフェンディング・チャンピオンとして臨んだものの、試合メンバーはすべて1・2年生という若いチームな上に、シングルスの一角を担う田口創梧を準決勝までの疲労のために決勝で起用できない誤算もあった。

あと一歩で大会連覇を逃した聖徳学園(写真◎菅原淳)

 聖徳学園の小野和彦監督は「発展途上のチームなので決勝までくることができたのは上出来。ただ2年越しの連覇、勝ちを意識してやってきただけに、プレッシャーがかかっていたのかもしれない」と話す。それでも「全中は最高の成長の場。関東中学でも敗れた橘学苑に、次はリベンジしたい」と先を見据えていた。

 また個人戦シングルスの1回戦も行われベスト16が決定。明日21日は個人戦シングルスの2回戦~決勝、個人戦ダブルス(16ドロー)の1回戦~決勝が行われる。試合開始は9時10分の予定。

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編集部◎杉浦多夢 写真◎菅原淳

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