松岡隼が今年2つ目の全国タイトルを獲得、女子は齋藤咲良が執念のV [2021全日本ジュニアU16]
公益財団法人日本テニス協会(JTA)などが主催する「DUNLOP全日本ジュニアテニス選手権'21 supported by NISSHINBO」(大阪府大阪市・ITC靱テニスセンター、江坂テニスセンター/8月23~30日/ハードコート)の大会最終日は、靱会場で全年代男女の単複決勝が行われた。
16歳以下の男子シングルスは第1シードの松岡隼(関東/桜田倶楽部)が第2シードの眞田将吾(東海/四日市工業高)に6-1 5-7 6-3のフルセットで勝利し、同女子シングルスでは第1シードの齋藤咲良(関東/MAT TA)が第6シードの木下晴結(関西/LYNX TA大阪)を7-6(1) 6-3で退けた。
◇ ◇ ◇
トップ2シードの頂上決戦となった16歳以下男子シングルスは、4月に行われたMUFGジュニアの決勝と同カードでもあった。松岡が第1セットを6-1で先取するまでは、そのMUFGジュニアでの対決と同じ展開。そのときは第2セットも松岡が6-2と眞田を寄せ付けなかったが、今回は「とにかく食らいついて自分から先に攻めることを意識した」という眞田が反撃に出た。
第2セットは4-0と眞田がリードを広げる。1-4からふたたび松岡が流れを奪い4ゲーム連取でイーブンに戻すが、5-5からブレークに成功した眞田が第2セットを7-5でものにした。
最終セットは「得意のフォアからの展開で先に攻めていけた」という松岡が第8ゲームをブレーク。眞田にとっては15-30からのダブルフォールトが悔やまれるが、終始気迫を失わなかった松岡がサービスゲームをきっちりと締め、全日本ジュニアでは初となるタイトルを獲得した。
コロナ禍で不自由な状況ではあるが、そんな中でも5月から6月にかけてマケドニア、アルバニア、モンテネグロ、ジョージアと東欧のITFジュニア大会を転戦した。特にアルバニアのITFグレード5大会では、ヨーロッパの選手を相手に全試合フルセットと揉まれながらベスト4入り。そんな武者修行もこの酷暑の大阪を戦う下地になったことだろう。
一方の女子は、ここまで1セットにつき2ゲームまでしか相手に与えず省エネで勝ち上がってきた齋藤に大きな試練が待っていた。相手は全国大会では過去ベスト8が最高だったという躍進中の木下だ。
第1セット、両者ワンブレークで迎えたタイブレークを7-1と一方的に制した齋藤は、木下の落胆に付け込むように第2セットも3-0と序盤でリードする。しかし灼熱の太陽の下で体力の限界が訪れ、4-1としたあと熱中症と見られる嘔吐に見舞われた。ルールに従い、わずか3分間のメディカルタイムアウトを経て試合は再開。その後、第7ゲームでブレークバックを許した。
「ファイナルにいったら最後までやれるかどうかわからなかったので、絶対ここで終わらせるっていう気持ちだった」と第8ゲームでふたたびブレークして突き放した。ここまではリードして追いつかれるという展開で苦しんできたが、最後は40-15からデュースにされながらも残る力を振り絞ってブレークバックを許さなかった。
全国大会での優勝は3年前の全国選抜ジュニア12歳以下以来。一昨年は14歳以下で準優勝、RSK全国選抜ジュニアでも準優勝と、このところタイトルに一歩届いていなかった。過酷な状況で頑張り通したプロセスは「全日本初優勝」をさらに特別なものにしたに違いない。(ライター◎山口奈緒美)
撮影◎牛島寿人 / HISATO USHIJIMA
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