今年最後のグランドスラム大会「USオープン」（アメリカ・ニューヨーク／本戦8月30日～9月13日／ハードコート）の男子シングルス2回戦で、第3シードのステファノス・チチパス（ギリシャ）がアドリアン・マナリノ（フランス）を6-3 6-4 6-7(4) 6-0で下してベスト32に進出した。

　この試合でセットを落としたあとにまたも長いトイレ休憩を取ったチチパスは、観客から野次を飛ばされた。

　2日前にアンディ・マレー（イギリス）に競り勝った試合で同じことをして受けた批判やこの日のファンから出た反応をものともせず、自分は規則に反することは何ひとつやっていないと指摘した。

　確かにそれは事実だ。グランドスラム大会の規則にはプレーヤーは常識的な時間を取るべきだと書いてはいるが、許容される正確な時間は記されていない。

「もし僕がルールを破ったら、自分が悪い。自分の過ちを認めるしかないよ。でも僕がガイドラインの範囲内で行動しているなら、何が問題だと言うんだい？」とチチパスは語った。

　水曜日のチチパスは、第3セット終了後にまたも8分の中断を生み出すトイレ休憩を取った。戻ってきたとき、彼は不満を声にする観客たちの野次で迎えられた。彼らは間違いなく、グランドスラム大会を3度制したマレーがチチパスの長いトイレ休憩を「ナンセンス」と呼んだことを知っていたのだろう。

　マレーはまた、世界ランク3位のチチパスに対する「敬意を失った」と発言した。

　ウェアを着替えるためにコートを離れたあと、戻ってくるときには気分がすっきりしているように感じるのだとチチパスは説明した。

　観客のブーイングについて尋ねられたチチパスは、「僕は何も間違ったことをしていないから、理解できないよ。観衆はテニスが大好きで、テニスを観に来ている。彼らについて何も言うことはない。僕もファンが大好きだ。でも、理解してくれない人もいる。それだけのことだよ。彼らは高いレベルでプレーしたことがないから、どれほど難しいことをしているのか理解できないのだろう。ときには休憩が必要なんだ」と答えた。

　第4セットの前に対戦相手が戻ってくるのを待つ間に肩の柔軟性保つために少しサービスの練習をしていたマナリノは、責めるべきはルールブックであってチチパスではないということに同意した。

「彼は別に悪いことはやっていない。規則が間違っているんだ」とマナリノは彼を擁護した。

　USオープンはチチパスにとって、まだ16強入りしたことがない唯一のグランドスラム大会だ。彼はウインブルドンで4回戦まで進み、オーストラリアン・オープンで準決勝、フレンチ・オープンでは決勝でノバク・ジョコビッチ（セルビア）に敗れはしたが準優勝を飾っている。

　チチパスは4回戦行きの切符をかけて、アルトゥール・リンデルネック（フランス）を7-6(6) 4-6 6-1 6-4で破って勝ち上がった18歳のカルロス・アルカラス（スペイン）と対戦する。

「彼に対して自分のベストテニスをプレーしたい。僕は彼がグランドスラム大会や他の大きな大会で優勝候補になっていく選手だと見なしているんだ」とチチパスはコメントした。（APライター◎ハワード・フェンドリック／構成◎テニスマガジン）