マレーがチチパスの長いトイレットブレークによる遅延行為を批判「ナンセンスだ」 [USオープン]

写真はアンディ・マレー(イギリス)(Getty Images)


 今年最後のグランドスラム大会「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月30日~9月13日/ハードコート)が開幕し、初日はボトムハーフ(ドローの下半分)の男女シングルス1回戦が行われた。

 ステファノス・チチパス(ギリシャ)が試合中に長い休憩を取ることで悪い評判が広まっていることについて、アンディ・マレー(イギリス)は認識していた。マレーは1回戦でそのことが問題となることを予想していたが、実際にそうなったときに納得がいかないと感じた。

 月曜日は高温多湿のタフなコンディションだったが、34歳で人工股関節の手術を受けたマレーはそれに十分対処できると考えている。ここ数年の彼は一連のケガに苦しめられ、世界ランクを112位まで落としていた。あるポイントでマレーは汗に濡れたシューズに足を取られて転倒し、汗まみれのシャツで青いコートに染みを残した。

 試合が約5時間近くにも及ぶ中でチチパスが第3セットのあとにメディカルタイムアウトを取り、第4セットのあとに長い時間ロッカールームに引っ込んだことにマレーはいい印象を抱かなかった。非常に見応えのある流れが行き来する試合で第3シードのチチパスに6-2 6-7(7) 6-3 3-6 4-6で敗れたあと、マレーはチチパスによる“スポーツマンらしからぬアンフェアな行為”と彼が見なしたものについて不平を述べ、「彼に対する敬意をなくした」と公言した。

「ナンセンスだ。彼自身そのことをわかっているはずだ」と2度の腰の手術を経て10年近くUSオープンのタイトルから遠ざかっているマレーはコメントした。

 試合後にマレーが不快感を抱いていることを伝えられた23歳のチチパスは、「もし彼が僕に言いたいことがあるなら、2人で話して何がよくなかったのか理解する必要がある。僕は自分がルールに違反したとは思わない」と答えた。

 アーサー・アッシュ・スタジアムに入ることができた幸運なファンたちは、マレーがフォアハンドのウィナーを決めて第3セットを取ったときに大歓声を上げた。彼は右手を突き上げ、それから身体を屈めて「僕はまだ終わっちゃいない! さあ行くぞ!」と叫んだ。

 しかしチチパスもまた、終わってはいなかった。彼はそのセット終了後にトレーナーを呼んで左足に治療を受け、第4セットのあとには数分の間コートを離れた。

 その直後にブレークされたマレーは第5セット0-2とされたあと、「僕がトイレに行くのに、あんなに長くかかったことは決してないね!」と口にした。

 のちにマレーは、それらの中断がある程度の影響を与えたと思ったと説明した。

「試合の結果に影響を与えたと感じているから、とにかくがっかりだよ。もちろん僕は、必ずしも自分が勝つはずだったと言っている訳じゃない。でもあれらの中断は、そのあとに起きたことに影響を与えた」とマレーは語った。

「そんなことに影響されないようにすべきだと言うことはできるかもしれない。でもこのようなコンディションでこれだけ激しい試合をプレーしているときに、ああいった中断を取られるというのは本当に難しいことなんだ。肉体的に影響を受けるのを阻むことはできない。精神面での対処は可能だが、肉体面では無理なんだよ」

 湿度は70%で気温30度の少し手前という気候は、マレーが絞り出せる以上のものを要求した。彼は2012年USオープンに加えてウインブルドンでも2度優勝した元世界ナンバーワンの選手だが、彼の身体は持ち堪えられなかった。

 彼の年齢と健康面での履歴を考えれば、コートに戻れたこと自体が注目に値する事実だった。しかも彼は、もう少しでATPコンピューターランキングが始まった1973年以降のUSオープンでトップ3を倒したもっとも下位の選手になるところだったのだ。

 先月初めにウインブルドンの3回戦で敗退したあと、マレーは自分が望む競争力をつけるための練習がしっかりできなかったことに苛立ちを見せ、自分の将来に悲観的な発言をしていた。

 土曜日の時点でマレーはチチパスとの対戦について「自分のテニスのレベルがどの程度か見るための非常にいいテスト」になるだろうと話していたが、勝てはしなかったとはいえ彼はそのテストに合格したように思える。

 マレーが敗れ、2014年チャンピオンで第30シードのマリン・チリッチ(クロアチア)もフィリップ・コールシュライバー(ドイツ)との試合を第5セット途中でケガにより棄権を余儀なくされたことで、ドローの中でグランドスラム優勝経験があるのはノバク・ジョコビッチ(セルビア)のみとなった。

 男子では1969年のロッド・レーバー(オーストラリア)以来となる『年間グランドスラム(同じ年に四大大会全制覇)』達成と男子の最多記録を分かち合っているロジャー・フェデラー(スイス)とラファエル・ナダル(スペイン)を追い抜く21回目のグランドスラム制覇を目指すジョコビッチは、火曜日のナイトセッションで予選勝者のホルガー ビトゥス ノズスコフ・ルーン(デンマーク)に対して大会を始めることになる。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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