「ジョコビッチの年間グランドスラム阻止は重要なことじゃない」決勝進出のメドベージェフ [USオープン]
今年最後のグランドスラム大会「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月30日~9月13日/ハードコート)の男子シングルス準決勝で、第2シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)が第12シードのフェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)を6-4 7-5 6-2で下して決勝進出を決めた。
「タフな試合だった。特に第2セットが苦しかった。落としてもおかしくない場面がたくさんあった。フェリックスのサービスゲームでセットポイントもあった。もしあのセットを落としていたら、どんな展開になっていたかまったく予想がつかない。1セットオールになったら、今大会で自分にとって初めての状況になる。ブレークポイントがあったゲームをしっかりキープできたことに凄く満足している。2つ目のブレークポイントでは彼にネットプレーをさせて成功した。そこから彼のプレーが落ちていったと思う。彼が自分を疑い始めて、そこから形勢が変わった。彼のミスが増えてプレッシャーを掛け始めたんだ。大きなターニングポイントだった。試合を通して継続性を保ちながら、我慢強く戦えたことに満足している。特に自分のサービスゲームで強く戦えた」
今大会ではまだ1セットしか落としていない。
「ある意味間違いなくスムーズな勝ち上がりだと思う。でもグランドスラム大会はひとつもセットを落としていなくても、どの試合もそれなりに難しいポイントがある。タイトな瞬間、タイトなバトルがある。ボティック・ファン デ ザンツフープ(オランダ)との試合では第4セットを7ー5で取れた。あまり余裕がなかったね。簡単な試合はひとつもない。けど、フィジカル、技術面、メンタルのパワーをセーブできたのはよかった。これ重要なことだ。何故なら、グランドスラム大会の3回戦まですべて5セットを戦った選手には、優勝する力が残っていないからね。だからこそ早く終わらせられたのはよかった」
2年前の決勝進出との違い。
「2年前の大会は完全に異なるものだった。特にファンがいる、いないは大きい。それに2019年は2回戦のあとに足が痛くて、勝ちはしたけどほとんど歩けなかった。クレイジーな試合、逆転劇もあった。特に覚えているのがスタン・ワウリンカ(スイス)戦。何とか勝てたけど、左大腿四頭筋を痛めてしまった。何とか勝って、2日間のオフで回復することができた。信じられないことだった。今年はそういうアクシデントがないのがいい。2度に渡るグランドスラム決勝の経験があり、それが大きな助けになる。今言えるのは、自分に残ったものをすべて日曜日の決勝にぶつけるということだけだ」
今年のオーストラリアン・オープン決勝でノバクと対戦したときの経験で生かせる部分はどんなこと?
「間違いなく戦術面だ。彼はそこまでの勝ち上がりとはまったく違う戦術で僕との決勝に臨み、それにうまく対応できなかった。今回は戦術面でしっかり準備ができる。もしノバクが勝ち上がれば、戦術面でもかなり面白い試合になると思う。僕はいつでもベストを尽くして戦う。でもメルボルンでは、気持ちをすべてコートで出しきれなかった。出しきりたかったのに、何かが上手くいかなかった。そこだけは今回のアーサー・アッシュ・スタジアムではしっかり出しきりたい。結果がどうなっても、エネルギーを生かしてメルボルンでの決勝よりもいい戦いを見せたい」
ノバクの記録を止めたら、歴史に残るはず。
「自分の側から見て、もしノバクの年間グランドスラムを阻止することができたら、間違いなく自分の名前が歴史に残るはずだ。でも、そこはそれほど重要なことではない。彼にとっては重要なこと。間違いなく、今日の準決勝でも彼はそのことからプレッシャーも感じるはずだ。だが、その反面プレッシャーは大きな力にもなる。これまでのグランドスラム大会で皆が観てきたように、ノバクはベストを尽くすし2セットダウンからでも盛り返してくる。その術を知っている。まずはサーシャとの試合を見てみよう。面白くなるだろう」
3度目のグランドスラム決勝、過去との違いは。
「もちろん、これまでの経験が自分にとっては大きなカギになる。初めてはラファ(ナダル/スペイン)とのクレイジーな大会だった。すべてを勝ち獲りたいと思っていたけど、当然自分がアンダードッグだった。正直、決勝に出られたことだけで満足していた。自分にとっては最初の大きなブレークスルーだったんだ。当時マスターズ1000の大会で初めて優勝したばかりで、その優勝がかなり大きな出来事だった。すべてが凄くポジティブな状態で、おかげでいいプレーができた。でも、絶対に勝たなきゃいけない“マストな試合”とは思っていなかった。もちろん、今回も年間グランドスラムを狙い、21度目のグランドスラム優勝を狙うノバクが相手なのだから、今回も“マストな試合”ではない。でも勝ちたい気持ちは前回よりも強くなっている。負ける回数が多くなればなるほど、勝ちたい気持ちが強くなる。僕は2度グランドスラムの決勝を落としている。だから、3度目は勝ちたい。テニスでは2人で対戦するから、どちらかが勝つ。何が起こるかわからない。でも最初の2度よりはいいプレーをしたい」
もし、決勝の相手がアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)になったら、どう思う?
「どちらもグランドスラムで優勝したことがないから、どちらかは初タイトルを手にできるから素晴らしいと思う。ノバクと対戦するのとは、まったく違うエネルギーで戦うことになるだろう。今日はサーシャ(ズベレフ)が挑戦して、明日は自分がコートに立つ。僕らが意識しなくても、対戦相手がノバクだと、グランドスラムの決勝でノバクとの対戦になると、湧き出てくるエネルギーは違ったものになる。サーシャとの対戦になったら、彼はずっと連勝中で勢いがあるから難しくなる。でも、この4週間の自分のプレーもそう悪くない。同世代でジュニアのときから対戦してきたから、激しいバトルになる。これから彼と10度決勝を戦うことになったら、そのすべてが違った展開になる。日曜日の決勝ではすべてを出して全力で彼を倒そうとするだろう」(テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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