9・11に“マジカル”な2週間を準優勝で終えたフェルナンデスが立ち直りを誓う「ニューヨークが強さをくれた」 [USオープン]
今年最後のグランドスラム大会「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月30日~9月13日/ハードコート)の大会13日目は、女子シングルス決勝などが行われた。
レイラ・フェルナンデス(カナダ)は大会を通し、ニューヨーカーたちの声を聞いてきた。そして彼女は今、彼らに自分の言葉を聞いて欲しいと思っていた。
ニューヨークの観客たちはフェルナンデスが『マジカル』と呼んだテニスの思い出深き2週間を通し、彼女を応援し続けた。そして9・11(ナインイレブン)同時多発テロの20周年の日にそれが終わったとき、フェルナンデスはニューヨークの強さが自分をより強くしたのだということを人々に知って欲しいと思った。
そんな訳で土曜日のUSオープン女子シングルス決勝でエマ・ラドゥカヌ(イギリス)に4-6 3-6で敗れたあと、彼女のオンコートインタビューが終わったかに思われたときにフェルナンデスはマイクを取ってさらなる言葉を口にした。
「この日がニューヨークとアメリカ全土にとって特別に辛いものだったことは知っています。私はただニューヨークがここ20年間そうだったように、強く立ち直って奮起する力を持てるようでありたいと願っています」とフェルナンデスは語った。
のちに行われた記者会見で、フェルナンデスはこの発言の理由を説明した。
「彼らがここに戻ってきて、以前のように幸せそうで生き生きしていた。苦しい瞬間に応援してもらえたことで強くなれたし、そのおかげで私はずっと強く自分を信じることができたの」
2001年の同時多発テロからわずか1年後に生まれたフェルナンデスは、今週の月曜日に19歳になった。彼女は『9・11』に関する映画を観て、彼女と一緒にカナダからフロリダに引っ越した両親にもっと様子を話して欲しいと頼んだ。
「もちろん、私はそこで本当に何が起きたかについてはあまりよく知りません。でも私が持っているいくつかの情報から、それが起きたときにニューヨークが何年にも渡って非常に苦しんだことは知っています。私はただ彼らが本当に強いということ、苦境に負けず奮起する力を持っていたということを知って欲しかったのです。彼らはただただ信じられないほど素晴らしいです」とフェルナンデスは話した。
そして彼らは、フェルナンデスのプレーを観るのが大好きだ。
次々に番狂わせを生み出していく中でずっとそうだったように、彼女の左腕から繰り出すフォアハンドのパワフルなストロークのあとには輝くような笑顔がついてきた。彼女は腕を動かし、観客たちにもっと大声で応援するよう促した。本人によれば、これは過去にいつもやってきたのとは違う彼女らしくないやり方なのだという。
「もっと若い頃、私はいつもロジャー・フェデラー(スイス)のようにできるだけ落ち着くようにしていたの。自分の中のこういう一面を発見できてうれしいわ。私は自分が感情を表に出して観客を自分の味方にしているときにずっといいプレーができることがわかったから」
その方法で世界ランク73位のフェルナンデスはタイトル防衛を目指していた第3シードの大坂なおみ(日清食品)、2016年チャンピオンで第16シードのアンジェリック・ケルバー(ドイツ)を倒した。それから東京オリンピック銅メダリストで第5シードのエリナ・スビトリーナ(ウクライナ)と第2シードのアーニャ・サバレンカ(ベラルーシ)を破り、彼女はトップ5に対する3つの勝利を記録した。
しかしこれらの試合はすべて3セットにもつれ、おかげで決勝でのフェルナンデスにはラドゥカヌに対してまたも挽回劇を演じて見せるためのエネルギーが不足していたのかもしれない。ラドゥカヌは予選から勝ち上がってきた分だけ試合数は多かったが、すべての試合にストレートセットで勝っていた。本戦だけを見ると、フェルナンデスはラドゥカヌよりも5時間長くコートで過ごしていた。
しかしフェルナンデスはトライした。第2セット2-5からフェルナンデスはいくつかのマッチポイントをセーブし、それから次のゲームでラドゥカヌが最終的にとどめを刺す前にいくつかのブレークポイントその手に掴んだ。
「もちろんレイラは常に素晴らしいテニスをプレーし、常に戦うでしょうね。彼女はファイターよ」とラドゥカヌはコメントした。
今回は勝つことができなかったが、フェルナンデスはニューヨークで過ごした時間について以前に使った表現に固執した。
「ええ、間違いなく“マジカル”だわ」(APライター◎ブライアン・マホニー/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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