「とにかく1ポイントずつ!」ゴールデンスラム達成のデ グロートがプレッシャーへの対処法を明かす [USオープン車いすの部]
今年最後のグランドスラム大会「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月30日~9月13日/ハードコート)の車いす女子シングルス決勝で、第1シードのディーダ・デ グロート(オランダ)が第2シードの上地結衣(三井住友銀行)を6-3 6-2で倒してゴールデンスラムを達成した。
「過去を振り返ると、私と結衣はもっといい試合をしてきた。プレッシャーが大きく、どうしても感じてしまった。それと同時に東京からすぐニューヨークに移動しなければならず、どちらも少し疲れていたと思う。残念ながら、試合を観てもらえばわかったと思う。一番よかったのは、とにかく結果が出たこと」
結衣はあなたがこの数年間で変わったと言っていた。
「テニスが上達しただけでなく、5年も歳を取ったの。テニスは経験が物凄く重要なパートを占めるスポーツ。経験をプレーに生かせる。自分のショットを磨いただけでなく、試合で役に立つ経験をたくさん積むことができたと思う」
ゴールデンスラムを達成してどうですか? 以前はあまり意識しないようにしていると言っていた。
「今は凄く考えている。正しいところに集中するのが大事で、まずは試合に集中していた。今大会はそれが上手くできた。決勝では緊張もあり、自分の最高のプレーが見せられなかった。このゴールデンスラムへのプレッシャーは誰の目にも見えたと思う。でも達成できてうれしい。オランダに帰って、家族や友人とお祝いするのが今から待ち切れない! この数週間、皆が応援してくれた。多くの人が試合を観てくれた。こことオランダの時差も大きいし、東京とオランダの時差も大きかったのに、皆が夜遅くまで起きて試合を観てくれた。本当に帰るのが楽しみ!」
ゴールデンスラムがこの数年で実現可能になったことについて。
「ウインブルドンで車いすシングルスがなかったから、長い間ゴールデンスラムは可能ではなかった。5年前に導入されて、ようやく実現可能になった。毎年ツアーとプロフェッショナリズムがよくなっているのは素晴らしい。今、目指せるものが増えているのはありがたい。年間グランドスラムを初めて達成できたのは特別なこと。一生忘れない」
プロフェッショナリズムについて。
「このスポーツの注目度のためには、ウインブルドンでシングルスが実施されるようになったことは重要なこと。長い間、大会側は“実現可能だと思わない”と言ってきたけど、選手たちは“トライしたいだけ”と主張してきた。可能だと信じていた。そしてようやく実現した。これが車いすテニス選手として大事な姿勢だと思う。ビッグステージでプレーすること、ルイ・アームストロング・スタジアムでプレーすること。それがプロフェッショナルな動きだと思う。選手として成長するためにも必要な要素だと思う。モティベーションが高まった。人々が私たちのために努力してくれると、選手もさらに努力するもの。それが言いたかったの」
ノバク・ジョコビッチ(セルビア)とディラン・オルコット(オーストラリア)も年間グランドスラムを狙ってこれから決勝に臨む。
「ノバクが、僕らは皆テニスのトップにいると言ってくれたの。年間グランドスラムを勝ち獲るには、冷静に戦うことが大事だと思う。私は、この数週間に自分の最大の目標に掲げてきた。プレッシャーも大きかった。外側からのプレッシャーが大きいから、それを上手くコントロールしないといけない。自分が集中すべきことに集中する必要がある。彼らも上手くできることを願っている」
この数年、私からも含めて何度もゴールデンスラムについて聞かれてきたはず。あなたはノーコメントを貫いてきた。今は喜び、解放、どんな気分?
「すべてが少しずつだと思う。喜びは間違いなく大きい。試合直後は解放感も大きかった。最初に解放、そのあとに喜びがきた。私が言ってきたように、プレッシャーは物凄く大きかった。ときどき、その目標に向かっていくだけになって、その過程を楽しめなくなっていた。今これを達成できたから、残りのシーズンを楽しみたい。プレッシャーは少し和らぐはずだから」
プレッシャー対策でどんなことをしてきた?
「1ポイントずつ、1試合ずつに本当に集中するように意識してきた。決勝ではサービスが入らないときがあり、自分のリズムを掴めなかった。だからそのとき、すべてのサービスゲームを落としても構わないと自分に言い聞かせた。とにかく1ポイントずつ集中してプレーして、1ゲームで何ポイント取れたのか見てみればいいと思った。その思考になってから、15-0、30-0とうまくいき始めた。それが大事なこと。結果を気にするのではなく、その瞬間に自分がしなければいけないことに集中するだけ」(テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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