女子決勝は川村茉那と光崎楓奈の20歳対決に、男子は今井慎太郎と片山翔が準決勝進出 [第96回全日本テニス選手権]

写真は片山翔(伊予銀行)(撮影◎太田裕史 / YASUSHI OHTA)


 公益財団法人日本テニス協会(JTA)が主催する「大正製薬リポビタン全日本テニス選手権96th」(JTT-4/賞金総額2762万円/本戦10月30日~11月7日/兵庫県三木市・ブルボンビーンズドーム/室内ハードコート)の本戦7日目は、男子シングルス準々決勝残り2試合および女子シングルスと男女ダブルスの準決勝全6試合が行われた。

 ドローを4つのブロックに分ければ、男子シングルスでもっとも想定外に展開したのは第4ブロックだろうか。第2シードの関口周一(Team REC)、第8シードの田沼諒太(橋本総業ホールディングス)がそれぞれ初戦となる2回戦で敗れた。そこで準々決勝に勝ち上がってきたのが、いずれもノーシードの片山翔(伊予銀行)と田形諒平(筑波大学)だ。

 第1セットはサービスキープに苦しむゲームが多かった片山が我慢を重ね、4-3から自身のブレークチャンスを生かした。第2セットは第1ゲームを3度のデュースの末にブレークすると、そのまま1ゲームも与えず大学生唯一の生き残りだった予選勝者の田形を6-3 6-0で下した。

 ベスト4は片山にとって6年ぶり3度目となる。明日は初の決勝進出をかけて、市川泰誠(ノア・インドアステージ)を6-2 6-4で退けてきた第3シードの今井慎太郎(イカイ)との早稲田大OB対決に臨む。

 片山が2013年卒業で今井は2016年卒業。2005年から大学王座15連覇中の早稲田大でそれぞれに世代を引っ張った2人である。

「準決勝は純粋に楽しみたい。現役の早稲田の選手が今ちょっと元気がないので、早稲田はやっぱり強いんだと思ってもらいたい」

 実は今大会、片山を発奮させた出来事があったらしい。世界ランク80位の西岡良仁(ミキハウス)が今大会直前に自身のYouTubeチャンネルで見どころなどを紹介したのだが、そこで「ポテンシャルがめちゃめちゃある。練習通りにプレーすればベスト4に勝ち上がる」と称賛したのが第8シードの田沼で、その田沼の初戦(2回戦)の相手が片山だった。

 現役早大生に代わって自分が母校のために頑張るのだというスピリットを持つ片山が、この西岡評を知って奮起しないはずがない。田沼に6-3 6-2と快勝して勢いに乗り、続いて第9シードの小ノ澤新(イカイ)も破って迎えた今日の準々決勝だった。

 ちなみに西岡が予想したベスト4は、田沼以外は見事に当たっている。

 なお片山に「ちょっと元気がない」と言われた早稲田大の選手では、前日にシングルス3回戦で敗れた白石光(早稲田大学)が田島尚輝(やまやコミュニケーションズ)とのダブルスに望みをかけた。しかし第2シードの上杉海斗(江崎グリコ)/松井俊英(ASIA PARTNERSHIP FUND)に1-6 6-7(5)で敗れ、決勝進出はならなかった。

 出場選手最年長となる43歳の松井の決勝進出も注目に値する。年齢に負けない体作りのために栄養摂取の研究などにも余念がなく、終わりのない試行錯誤こそがエネルギーの源。そして何にせよ“最年長記録”にはとにかく燃える。
 
 女子シングルス準決勝では、まず第7シードの川村茉那(フジキン)が第5シードの荒川晴菜(アオヤマスポーツ)に3-6 6-0 6-2で逆転勝利をおさめた。第1セットは荒川が4ゲームを連取する立ち上がりから難なく奪ったが第2セット以降は荒川が左足を治療するなどして流れは一変し、「最初は緊張と焦りがあったけれど、自信を持ってプレーしたことで最終的に勝ちに繋がった」という川村が初出場にして決勝進出を決めた。


初出場にして決勝進出を決めた川村茉那(フジキン)(撮影◎太田裕史 / YASUSHI OHTA)

 もう一方の試合では、第15シードの光崎楓奈(h2エリートテニスアカデミー)が4年ぶりの優勝を目指した第12シードの今西美晴(EMシステムズ)に6-1 6-3と快勝した。川村も光崎も20歳で、初出場の川村に対して光崎は過去2年出場しているものの勝ち星はない。決勝は実にフレッシュな若手対決となる。(ライター◎山口奈緒美/構成◎テニスマガジン)

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撮影◎太田裕史 / YASUSHI OHTA

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