ジョコビッチがメドベージェフとの頂上決戦を制し、自身の記録を更新する6度目の優勝 [パリ・マスターズ]
ATPツアー公式戦の「ロレックス・パリ・マスターズ」(ATP1000/フランス・パリ/11月1~7日/賞金総額308万4450ユーロ/室内ハードコート)の男子シングルス決勝で第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)が第2シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)を4-6 6-3 6-3で倒し、最多記録となる7度目の年末世界ナンバーワンを決めた翌日にATPマスターズ1000で37回目の優勝を飾った。
グランドスラム大会優勝回数「20」でも並んでいたラファエル・ナダル(スペイン)をマスターズ大会タイトル数で追い抜いたジョコビッチは、同じく四大大会20勝のロジャー・フェデラー(スイス)に9勝の差をつけた。
それはまた彼に最多記録更新となる6度目のパリ・マスターズ制覇をもたらし、自分を王座から引きずり降ろそうとプレッシャーをかけてきている世界ランク2位のメドベージェフとの対戦成績を6勝4敗とする勝利でもあった。
ベテランのジョコビッチは2ヵ月前のUSオープン決勝でメドベージェフにストレートで敗れて以来、大会でプレーしていなかった。
序盤のメドベージェフは力強く見えていたが、オーストラリアン・オープン決勝では彼をストレートで下していたジョコビッチが9歳年下の相手との体力を搾り取るラリーに持ち堪えた。第3セットでのジョコビッチはディフェンディング・チャンピオンのメドベージェフに対して2度のブレークを果たして5-2とリードし、サービスゲームをキープすればツアー通算86勝目を挙げるチャンスを迎えた。
そのゲームで30-40からサービスを打つときにファンが叫び声を上げたあと、メドベージェフはチェンジコートの際にフラストレーションからボールを客席に打ち込んだ。何人かの粗暴な観客が今週を通し、サーブミスやダブルフォールトに歓声を上げたりサービスを打つ直前に叫んだりしていた。
主審のオレリー・トゥルトティ氏は自身も静かにするようすでに何度か頼み、これに先立つ日々に他の審判たちが静粛にするよう頼み続けたこともあってもううんざりだと感じたようだった。
「サービスを打とうとしているプレーヤーがベースラインに立つのを目したときには、意味なく音を立てるのを止めて下さい」と彼女は呼びかけた。
お粗末なサービスゲームをしたジョコビッチがブレークをプレゼントしてスコアは5-3となったが、ジョコビッチは次のゲームで迎えた最初のチャンピオンシップポイントで決勝に相応しいコート左深くに入るフォアハンドのウィナーを決めてスリリングな長いラリーを制した。そのあと彼はネット際でライバルを暖かく抱擁し、お互いの健闘を称え合った。
戦いは出だしから激しかった。第6ゲームで30-40と劣勢に立たされていたメドベージェフはフォアハンドのウィナーでブレークポイントをセーブし、結局キープに成功すると今度はジョコビッチにプレッシャーをかけて0-40と追い詰めた。34歳のジョコビッチはふたつのセットポイントを凌いだが、メドベージェフがバックハンドのドロップショットでブレークしたときには相手に拍手を送ることしかできなかった。
そのあと迎えたサービング・フォー・ザ・セットでジョコビッチのリターンがアウトし、メドベージェフが第1セットを先取した。しかしこの大会で7度目の決勝をプレーしていたジョコビッチは徐々に調子を上げ、第2セットでは先にブレークて4-1とリードを広げた。
第2セット5-3から激しいラリーが展開されて12分かかったスリリングなゲームで、ジョコビッチは3つのブレークポイントを凌いだ。彼はサービスエースでこの競った試合をセットオールに持ち込み、その過程の返すのが不可能に見えるボールの返球やお互いのウィナーで観客たちを魅了した。
しかし悪い一面もあった。ジョコビッチが序盤の第3ゲーム15-30でサービスを打とうとしたときにひとりの観客が叫び、主審のトゥルトティ氏が「選手に対して敬意を払って下さい」と注意を促す場面があった。彼女はまたあるファンに携帯電話でプレーを撮影するのを止めるようお願いし、人の出入りがあったスタンドの上のほうに向かってドアを閉めるよう2度頼んだ。
大会ディレクターのギー・フォルジェ(フランス)は地元選手のユーゴ・ガストン(フランス)と対戦した選手のミスやダブルフォールトを喜ぶような行為があったことを受け、観客たちは熱狂しすぎてしまうしまうことがあると指摘した。ジョコビッチは土曜日の準決勝で、自分のダブルフォールトに大きな歓声が上がることに煩わされていた。
しかしそれでも今週は、ジョコビッチにとって特別なものだった。彼は年末世界ナンバーワンになった回数で子供時代のアイドルだったピート・サンプラス(アメリカ)を追い抜き、単独トップに立つことを確定させた。
3つのグランドスラム大会を制したこの際立った年にジョコビッチは世界1位在位期間でフェデラーの310週を追い抜き(3月8日に実現)、それを348週に伸ばして2021年を終えることになった。
そして次のターゲットとして6度目のATPファイナルズ制覇を視野に入れているジョコビッチは、実現すれば最多記録を持つフェデラーと並ぶことができる。男子トップ8によるシーズン末のエリート大会は、11月14日からイタリアのトリノで開催される。(APライター◎ジェローム・パグマイア/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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