年末世界ナンバーワンを決めたジョコビッチが6度目の優勝に王手、決勝はメドベージェフとの頂上決戦に [パリ・マスターズ]
ATPツアー公式戦の「ロレックス・パリ・マスターズ」(ATP1000/フランス・パリ/11月1~7日/賞金総額308万4450ユーロ/室内ハードコート)の男子シングルス準決勝で第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)が第7シードのホベルト・フルカチュ(ポーランド)に3-6 6-0 7-6(5)で競り勝ち、最多記録となる7度目の年末世界ナンバーワンの座を確実にした。
記録更新となる同大会6度目の優勝を目指しているジョコビッチは1993年から98年に達成したピート・サンプラス(アメリカ)を追い抜き、単独トップに立つことになった。彼はこれまで6度(2011~12年、14~15年、18年、20年)に渡り、世界ランク1位でシーズンを終えていた。
「シーズンをナンバーワンとして終えることを非常に誇りに思う。正直言って、それは夢だ。サンプラスは若かった頃の僕にとって、絶対的な憧れの選手だったからね。ラケットを手に取り、このスポーツにトライするためのモティベーションを僕に与えた選手が彼だったんだ」とジョコビッチは語った。
71回目のマスターズ準決勝をプレーしたジョコビッチに対し、フルカチュは今回がわずか2度目だった。しかしフルカチュは最初のブレークポイントでバックボレーを決めて5-3とリードし、次のゲームでピンチを凌いで2本目のセットポイントをものにして第1セットを奪取した。
第2セットに入るとジョコビッチが圧倒的なプレーで反撃し、第3セットでも力強いサービスゲームで主導権を握ると4-1とリードを奪った。しかしジョコビッチは第7ゲームでダブルフォールトを犯し、ふたつのブレークポイントを与えた。彼は一部の観客がダブルフォールトに歓声を上げると、皮肉を込めて彼らに拍手をする仕草を見せた。
「熱い戦いの最中にはそういったことも起こる。人々は試合に入れ込んでいるんだ。言うまでもなく、うれしくはないけどね。こういうことは初めてではないし、恐らく最後でもないだろう」とジョコビッチはコメントした。
パリの観客たちは木曜日と金曜日、ユーゴ・ガストン(フランス)の対戦相手から出たミスやダブルフォールトにも大声援を送っていた。
「もちろん、フランス人プレーヤーと対戦しているときには雰囲気がまったく違う。カルロス・アルカラス(スペイン)とメドベージェフの2人は観客が入れ込んで大声で応援している中、コートで心地よく感じていなかったことが見てとれた」
そのゲームを落としたジョコビッチは次のサービスゲームを確実にキープして5-4としたあと、チェンジコートのベンチで瞑想しているようなポーズで座っていた。
第10ゲームで25本続いたラリーを制したジョコビッチが迎えた最初のマッチポイントをフルカチュはセカンドサービスから凌いぎ、続いてサービスエースを決めてキープして5-5とした。最後のタイブレークは5-5まで競り合ったあとフルカチュがフォアハンドをネットにかけ、ジョコビッチは2つ目のマッチポイントをものにして勝利を決めた。ジョコビッチは胸を3回叩いて勝利を祝う雄叫びを上げ、それから対戦相手を称えた。
フルカチュは先月に初めてトップ10入りし、11月14日からイタリアのトリノで開催される男子トップ8によるシーズン末のエリート大会「ATPファイナルズ」への出場権を獲得していた。
日曜日にもう一度勝てば、ジョコビッチはATPマスターズ1000の獲得タイトル数でトップに並ぶラファエル・ナダル(スペイン)を追い抜くことができる。ふたりはそれぞれマスターズ大会で36勝を挙げており、3位のロジャー・フェデラー(スイス)を8勝も上回っている。
ジョコビッチはパリで記録更新となる7度目の決勝で、ディフェンディング・チャンピオンのダニール・メドベージェフ(ロシア)と対戦する。9月のUSオープン決勝でメドベージェフにストレート負けを喫して『年間グランドスラム(同じ年に四大大会全制覇)』達成を逃したジョコビッチは、それ以降この大会まで公式戦でプレーしていなかった。
「今度は形勢を逆転させ、リベンジできるよう願っているよ」とジョコビッチは決勝を見据えた。
第2シードのメドベージェフは前年決勝カードのリマッチで第4シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)を6-2 6-2で下し、東京オリンピック金メダリストのズベレフとの対戦成績を5勝5敗のタイに追いついた。
決勝で戦う両者の対戦成績はジョコビッチが5勝4敗でリードしており、今季は1勝1敗と星を分け合っているがいずれもグランドスラム決勝の舞台だった。ジョコビッチは2月のオーストラリアン・オープン決勝で、メドベージェフをストレートセットで破っていた。
「彼は素晴らしいプレーをしているし、ベストの状態に戻っている。彼はあまりミスをしないし、サービスは強烈だ。心身ともに波に乗っているように見える」とジョコビッチは分析し、気を引き締めた。(APライター◎ジェローム・パグマイア/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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