男子早大が前人未到の連覇記録を「16」に伸ばす、女子は慶大が55年ぶりに王座を獲得 [2021大学王座]
大学テニスの日本一を決める団体戦「2021年度全日本大学対抗テニス王座決定試合(男子75回/女子57回)」(愛媛県松山市・愛媛県総合運動公園テニスコート/11月8~12日/ハードコート)は大会最終日を迎え、男女決勝と男子の3位決定戦が行われた。
決勝は男女ともに早慶対決となり、まず女子は第1シードの慶應義塾大学(関東地区第1)が第3シードの早稲田大学(関東地区第2)を5勝0敗で完封して女子の第2回大会に当たる1966年以来の王座を獲得した。男子は第2シードの早稲田大学(関東地区第2)が第1シードの慶應義塾大学(関東地区第1)の44年ぶりの優勝という野望を砕き、16連覇を達成した。
◇ ◇ ◇
前回の優勝が55年前とは信じられないくらい、彼女たちはそれをこともなげにやってのけた。
初戦から最後まで誰ひとり負けずに完全優勝。ライバルの早大との決勝戦はまず平田歩/大川美佐(慶應義塾大学)のD2が、続いて佐藤南帆/永田杏里(慶應義塾大学)のD1がともにストレートで勝利して圧倒的な優位に。
王手をかけたシングルスで勝利を決めたのはS2の佐藤だった。神鳥舞(早稲田大学)を相手に第1セットを6-1で奪い、第2セットは「ちょっと勝ち急いでミスが増えた」と1-5までリードを許すが、そこから立て直して6ゲームを連取。隣のコートで佐藤と同じ3年生の永田が押川千夏(早稲田大学)を6-0 6-3で破ったのは、ほんの少しあとだった。
決着がついてからコートに入ったキャプテン対決のS1も平田が安藤優希(早稲田大学)を6-4 6-2で退け、歓喜の涙はいっそう輝いた。
優勝を決めてチームメイトと喜びを分かち合う佐藤南帆(慶應義塾大学/右)(撮影◎宮原和也 / KAZUYA MIYAHARA)
慶大の女子が前回優勝した1966年は、男子も慶大が優勝している。つまりこの決勝には55年ぶりのアベック優勝の可能性もあった中、同じく早慶対決となった男子は白熱した。
雨天のためインドアで行われた第1試合のD3は、丹下将太/高畑里玖(早稲田大学)がフルセットで白藤成/下村亮太朗(慶應義塾大学)を下して早大が先勝した。残りのダブルスはアウトドアに移り、D1を羽澤慎治/藤原智也(慶應義塾大学)、D2を白石光/池田朋弥(早稲田大学)が奪って星を分けた。
こうしてダブルスは2勝1敗で早稲田。シングルスはS3を白藤、S5を高畑、S4を下村亮太朗(慶應義塾大学)が取り、そこまでのトータルが3勝3敗とこれ以上ない面白い展開に。特に1年生の下村の逆転勝ちは慶大の望みを固く繋いだ。
残る3つのシングルスで2勝を挙げたほうが勝利という状況の中、まずS6で池田が成耀韓(慶應義塾大学)を6-4 6-2で倒して王手をかける。S1とS2の結果が勝敗を決めるというハイレベルで緊迫した終盤戦。慶大のS1は今年のインカレ・チャンピオンの2年生・藤原で、早大のS2は昨年度のインカレとインカレ室内の2冠を持つ白石だ。
試合が先に進んだのは白石と慶大の主将・羽澤が激突したS2だった。第1セットをタイブレークの競り合いで白石、第2セットは羽澤が6-0と圧倒した。激しいラリー戦と互いの巧妙な駆け引き。最終セットは羽澤が第1ゲームをブレークして優位に立つが、第4ゲームでブレークバックした白石が第8ゲームをラブゲームで大きなブレークを果たした。サービング・フォー・ザ・マッチも40-0と羽澤に反撃の隙を許さず、最後はフォアハンドのボレーで決めた。
このとき隣のコートでは藤原に挑む丹下が、1セットアップの5-3からブレークバックを許した直後のゲームを戦っていた。白石の勝利に勢いづくように15-15から3ポイントを連取し、最後までどう転ぶかわからなかったが終わってみれば早大の6-3というスコアになった。
白石は言う。
「関東で慶應に負けて連勝が途切れて、王座も自分たちが途切れさせる訳にはいかないという気持ちは皆強かったし、これが前人未到の16連覇ということも頭にあった。逆に関東で勝っていたら、ここまで戦えなかったかもしれない」
達成された偉業と、完結しなかったもうひとつのドラマ。そしてまた新たな決意が生まれ、思いは未来へ継がれていく。(ライター◎山口奈緒美/構成◎テニスマガジン)
写真◎宮原和也 / KAZUYA MIYAHARA
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