男子も決勝は早慶対決に、15連覇中の早大に過去2回連続準優勝の慶大がリベンジを期す [2021大学王座]

写真はD1で勝ち星を挙げた羽澤慎治(左)/藤原智也(慶應義塾大学4年/2年)(撮影◎宮原和也 / KAZUYA MIYAHARA)


 大学テニスの日本一を決める団体戦「2021年度全日本大学対抗テニス王座決定試合(男子75回/女子57回)」(愛媛県松山市・愛媛県総合運動公園テニスコート/11月8~12日/ハードコート)の大会5日目は、男子の準決勝2対戦(決着後打切)および女子の3位決定戦が行われた。

 男子準決勝では第1シードの慶應義塾大学(関東地区第1)が第4シードの関西大学(関西地区第2)を、第2シードの早稲田大学(関東地区第2)は第3シードの近畿大学(関西地区第1)をそれぞれ撃破し、女子に続いて男子も早慶が決勝進出を決めた。また関西対決となった女子3位決定戦は、第2シードの姫路大学(関西地区第1)が第4シードの関西大学(関西地区第2)に3勝2敗で逆転勝ちした。

     ◇     ◇     ◇

 2つの準決勝が決着したのは、夕方のほぼ同時刻だった。昨年の中止を挟んで3回連続の早慶決勝対決というシナリオを書き換える力は、あいにく関西の2強にも備わっていなかった。ただ、少なくとももっと接戦に持ち込めそうな気配は微かにあった。

 2日連続で降り続いた雨は朝まで残り、スタートは今日も室内コートからとなった。早大と慶大がそれぞれ1試合目のダブルスをものにしたあと、2試合目からは久々のアウトドアへ移動した。

 15連覇中の早大と、かつては5連覇の全盛時代もあった近大のカードはD2で近大の松田龍樹/中屋敷勇人(近畿大学)が白石光/池田朋弥(早稲田大学)に対して立ち上がりから8ゲームを連取。池田は「自分たちが悪かった訳じゃなく、向こうが強すぎた。気迫も感じたし、もう手がつけられない感じでした」と振り返る。第2セット第3ゲームのサービスも0-30と追い込まれていたが、「そこで相手がちょっと落ちて、その隙をうまく攻めることができた」という。このキープで何とか逆転の望みを繋ぎ止め、実際に0-6 6-3 6-4と逆転勝利をもぎ取った。

 しかし、D1では逆に早大が逆転負けを許す。畠山尚/増田健吾(早稲田大学)を3-6 6-4 6-0で破ったのは田口涼太郎/河野甲斐(近畿大学)だが、結局これが近大の奪った唯一の勝ち星となった。シングルスは早大が渡部将伍、高畑里玖と危なげない勝利を挙げて王手をかけ、チームの勝利を決めたのはS6の池田だった。ダブルスの展開とは打って変わり、池田は新出悠月(近畿大学)を6-2 6-0と寄せつけなかった。

 慶大のほうはD1が苦戦し、インカレ優勝の羽澤慎治/藤原智也(慶應義塾大学)がそのインカレの準決勝でも接戦を強いられた相手である松田康希/大植駿(関西大学)に第1セットを4-6で奪われた。第2セット中盤まで我慢のキープ合戦を経て、ようやく慶大が第7ゲームをブレーク。このラブゲームのブレークが弾みとなり、その後はサービスキープを崩さず最終セットは第5ゲームをブレークしてそのまま逃げ切った。

 こうしてダブルスで3戦全勝した慶大は、シングルスでも底力を見せた。S4で4年生の伊藤竹秋(慶應義塾大学)が1年生の堀川莞世(関西大学)をワンセットダウンから2-6 6-2 6-1と逆転し、最後はS3の白藤成(慶應義塾大学)が主将の高橋勇人(関西大学)をやはり5-7 6-3 6-4の逆転で下した。

 試合ごとに見れば決して楽勝という訳ではないが、終わってみれば5勝0敗の一方的な勝利となった。過去2回連続して決勝で涙を飲んでいる慶大は、今年は男女アベック優勝という大きな目標を掲げる。慶大の羽澤主将は、「王座の決勝の早稲田はほかのどの場所よりも強いと感じている。結果も大切ですが、自分の大学テニスの集大成というつもりで、すべて出し切れるように頑張りたい」と語った。

 慶大のリベンジなるか。それを受けて16連覇という途轍もない記録に挑む早大だが、畠山主将も気負いは見せない。

「歴代の先輩たちが一つひとつ積み上げてきたもので、自分たちが凄い訳ではない。(連覇を)気にしていないといえば嘘になるが、のびのびと自分たちのプレーをすることを一番に考えている」

 男女で繰り広げられる早慶対決。ドラマチックな歴史の1ページが追加されそうだ。(ライター◎山口奈緒美/構成◎テニスマガジン)

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撮影◎宮原和也 / KAZUYA MIYAHARA

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