メキシコの観客を味方につけたムグルッサがコンタベイトを倒して初優勝「テキーラを飲んで楽しむわ」 [WTAファイナルズ]

写真は大会初優勝を飾ったガルビネ・ムグルッサ(スペイン)、後ろは準優勝のアネット・コンタベイト(エストニア)(Getty Images)


 女子トップ8によるエリート大会「アクロンWTAファイナルズ・グアダラハラ」(WTAファイナルズ/メキシコ・ハリスコ州グアダラハラ/11月10~17日/賞金総額500万ドル/ハードコート)の女子シングルス決勝で、第6シードのガルビネ・ムグルッサ(スペイン)が第8シードのアネット・コンタベイト(エストニア)を6-3 7-5で倒してチャンピオンに輝いた。

 ムグルッサのメキシコへの旅は先週、テキーラを飲むことで始まった。水曜日にグアダラハラでタイトルを勝ち獲ったあと、その旅は同じやり方で終わるだろう。この勝利で28歳のムグルッサは、これでメキシコの地での戦績を14勝2敗とした。

 大会が始まる前にムグルッサは車に乗って60kmを走り、有名な蒸留酒の生産地であるテキーラの町まで出かけていった。

「私は市街地に行って、試飲をしたの。勝つ前に試しておく必要があるということを、私はわかってたわ」とムグルッサは話した。

「私たちはこれからテキーラを飲んで楽しみ、ずっと抱えていた緊張感から解放されるの。チームの全員が、そうするに値するわ」

 2018年と19年にモンテレイの大会で2連覇していたムグルッサは、同大会のシングルスで優勝した初のスペイン人プレーヤーとなった。アランチャ・サンチェス ビカリオ(スペイン)は1993年に決勝進出を果たしたが、シュテフィ・グラフ(ドイツ)に敗れて準優勝に終わっていた。

 過去にメキシコの大会で好成績をおさめていたことは、ムグルッサにとって大きなモティベーションになっていた。彼女は表彰式で、USオープンで女子テニス協会(WTA)の会長兼CEOであるスティーブ・サイモン氏に“リオ・グランデの南(メキシコ)でプレーしたい”と話したことを思い出した。

「出場権を得るために1年を通し、私は自分のチームの皆に『メキシコでやるのよ。出場権を手に入れなきゃ。頑張りましょうよ』と言っていたの。それが私の最大のモチベーションだったわ」とムグルッサは明かした。

 2015年のWTAファイナルズで準決勝に進出していた元世界ランク1位のムグルッサは、この勝利のおかげでシーズンを3位で終えることになった。これは彼女にとって、2017年以降で最高の成績となる。彼女はまた、2014年のセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)以降で最年長のチャンピオンとなった。

 ムグルッサは大会を通して会場となったエスタディオ・アクロンに集まった騒々しい観客たちに支えられ、まるで自分が地元選手であるかのように声援や拍手を受けて後押しされた。

「面白いわ。この間、マネージャーのオリバーと話していたの。彼は“ガルビネ、君は初めて観客を味方につけて彼らの応援からエネルギーをもらってそれをコートで使っているよ。もっと頻繁にそうするべきだ”なんて言っていたのよ」と最後の2試合でメキシコのサッカーチームのユニフォームを着て会場入りしていたムグルッサは語った。

「私にとっての大きな教訓となったのは、私は周りからエネルギーを得るべきなのだということね。私はここメキシコで、大きなサポートを得ているわ。どこでもそれができるという訳ではないけど、今週は間違いなく応援から得るそのエネルギーに後押しされてプレーしていた」

 敗れたにも関わらず、ここ数ヵ月でランキングを30位からトップ10に上げたコンタベイトは世界ランク7位で年を終えることが確実となった。

 25歳のコンタベイトはオストラバでの優勝を含め、ここ33試合で29勝4敗という驚異的な戦績でシーズンを終えた。彼女はその快進撃を始める前、19勝13敗という前半戦を送っていた。

 決勝でのムグルッサは不安定な調子のコンタベイトに対し、3度のブレークに成功して主導権を握った。コンタベイトは第2セットに入っていいプレーをして第9ゲームでブレークしたが、ムグルッサは怯むことなく続く3ゲームを連取して勝利をもぎ取った。

 WTAファイナルズはWTAツアー最終戦で、今季の成績上位8名(ダブルスは8組)のみで争われる。4人ずつのグループに分かれたラウンドロビン(総当たり戦)を行い、上位2名(ダブルスは2組)ずつが決勝トーナメントに進出する形式で行われる。大会は今年だけグアダラハラで行われ、2022年からは本来の中国・深圳に戻る予定になっている。

 昨年の大会は新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより、開催中止となっていた。(APライター◎カルロス・ロドリゲス/構成◎テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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