田中佑(湘南工科大学附属高)が圧巻のVでジュニアのラストを飾る、石川真輝(東海大学菅生高)は雪辱果たせず [第42回全日本ジュニア選抜室内]
公益財団法人日本テニス協会(JTA)が主催する「JOCジュニアオリンピックカップ第42回全日本ジュニア選抜室内テニス選手権大会」(12月16~19日/兵庫県三木市・ブルボンビーンズドーム/室内ハードコート)は最終日を迎え、順位別トーナメントの決勝と3位決定戦が行われた。
この大会は男女各16人(全国選抜個人戦、全日本ジュニアU18&U16、インターハイ個人戦シングルス優勝・準優勝者および全国9地域のテニス協会から選出された選手など)で争われる18歳以下のジュニア全国大会で、1組4人の1次リーグ(グループ内総当たり戦)で組内の順位を決めたあとに順位別のトーナメントを行い優勝者を決定する。
◇ ◇ ◇
男子は田中佑(湘南工科大学附属高)が石川真輝(東海大学菅生高)を6-3 6-2で退け今年3つ目の全国タイトルを獲得し、3位決定戦では丹下颯希(新田高)が野坂迅(秋田商業高)に6-1 6-0で快勝した。
気負わずに普段通りに楽しんで、勝つことを第一に考えながらも自分のやりたいプレーを大切にする———。優勝候補の筆頭だった田中は、この3日間で望んでいた通りのことをやり切ったのではないだろうか。
決勝の相手はインターハイと全日本ジュニアの準決勝で下している同学年の石川だったが、彼がリベンジに燃えていることを想像しないはずがない。しかし、「どちらがチャレンジャーとか考えず、普通に試合に入って楽しめた」という田中は1ゲーム目でブレークの好発進。第4ゲームでブレークバックを許すが、2-3から4ゲームを連取して第1セットを奪った。
かなり緊張していたという石川は「0-2からかなり攻めのテニスができるようになったんですけど、3-2にしたらテンションが上がって余計な力が入った」とのちに表彰式も終わったリラックスムードの中、苦笑いで振り返った。
夏以降、特に力を入れて取り組んできたショットはライジング。そのスピーディーな攻撃力には田中も「夏にやったときとは全然違った」と驚いた。しかし対応力はさすが高校生トップの実力者。速いショットと重いスピンを使い分けて相手のペースを崩す。第2セットは1-1から4ゲーム連取で5-1と一気にリードを広げた。
2度目のブレークに成功した第6ゲームでは、鮮やかなバックハンドのダウン・ザ・ラインが飛び出した。まさに課題の一つとしているショットだというが、次のゲームではバックハンドのミスを量産。正直にこう打ち明ける。
「前のゲームでいいのが出たから、続けていけるかなと調子に乗ってしまった(笑)。前のは、たまたま決まっただけでした。集中力も切れて、全然入らなくなった」
40-15のマッチポイントからブレークバックを許したが、終わってみればそれもご愛嬌。次のゲームをブレークして6-2で締めくくった。
高校選抜個人戦優勝、インターハイ準優勝、全日本ジュニア18歳以下優勝と、すでに文句のつけようのない実績を手にしていたが、この優勝は来年へ一層の弾みになるだろう。
国内トップのジュニアの多くが「世界」と口にする中、田中はそこを目指してはこなかった。次に挑む舞台は大学テニスだ。この大会の優勝者が翌年のインカレやインカレ室内を制覇したケースは少なくない。その事実を知ると、ノリよく「やったぁ!」と言って顔をほころばせた。(ライター◎山口奈緒美/構成◎テニスマガジン)
撮影◎宮原和也 / KAZUYA MIYAHARA
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