「テニスは紳士のスポーツだが、今日のようなエネルギーが感じられないと滅びる」2回戦でメドベージェフに敗れたキリオス [オーストラリアン・オープン]

ダニール・メドベージェフ(ロシア)との2回戦で感情を爆発させるニック・キリオス(オーストラリア)(Getty Images)


 今年最初のグランドスラム大会「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・ビクトリア州メルボルン/本戦1月27~30日/ハードコート)の男子シングルス2回戦でニック・キリオス(オーストラリア)が第1シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)に6-7(1) 4-6 6-2 2-6で敗れたが、満足した様子で試合を振り返った。

「今日のパフォーマンスにはかなり満足している。ツアーの選手にアンケートを取ったら、彼が現在世界最高の選手だと誰もが答えるはずだ。彼の継続性だよ。すべてのゲームでレベルが落ちることがない。スコアがどうだろうがプレッシャーがかかろうが、彼はまったく慌てることがないんだ。自分のプレーをそれだけ信じられるということだ。昨年はツアーで一番勝っていたんじゃないか。自信に満ち溢れている」

「自分の持っているすべてをぶつけた。3時間半近く、時速220kmのサービスを打ち込み続けた。ベースラインでのプレーもよかったし、リターンゲームでも多くのチャンスを作った。とても、とても自分のパフォーマンスに満足している。この4~5ヵ月間の苦しい時間、数日前にはコロナに感染していたことを考えると、自分がこの逆境を乗り越えたことを誇りに思う。自分のチームがいなければ、ここまでできなかった。すべてを出し尽くしていいパフォーマンスを見せたのだから、顔を上げたいと思う。彼は今大会の優勝候補。残念だとはまったく思わない」


ニック・キリオス(オーストラリア)のプレーに盛り上がるロッド・レーバー・アリーナのファン(Getty Images)

メルボルンの観客の前でプレーしたいと常々言っていた。ジョン・ケイン・アリーナとロッド・レーバー・アリーナでプレーしてみてどうだった?

「ロッド・レーバーは特別だ。自分のキャリアの現時点で、物事がどれほど早く進んで人生の浮き沈みもある中で、今日のような瞬間が当たり前とは思わない。試合が終わりに近づいているのを感じて、そのすべての瞬間が愛おしく思えて噛み締めていた。このスタジアムの小さなライトも含めてすべてが特別なんだ。子供の頃にたくさんの試合を観たコートで、いつかは自分がそこに立ってたくさんの人たちを楽しませた位と思っていた。それが今、現実となっている。今夜は俺にとって特別な瞬間になった」

 ダニールがサービスを打つ間の歓声を嫌がっていた。もう少し敬意を持たないといけないと思う?

「ああ、俺もアンパイアに言ったよ。リアム・ブローディ(イギリス)との1回戦でもうるさかったと言ったんだが、メディアが取り上げてくれなかった。サービスの前は叫ばないようにと観客に伝えたほうがいい。俺がサービスを打つときはあまり気にならないが。40-0のときなどビッグポイントのときだな。アンパイアに観衆を静かにさせるように言ったよ。俺の相手が気に入らないかもしれないから」

「実際、観客をコントロールするのはアンパイアの仕事だ。誰もアンパイアがテニスをするのを観に来た訳じゃないから、アンパイアが目立ってはいけない。観客をしっかり見てコントロールするんだ。例えば、0-40のときにタイムバイオレーションを与えるのは観客をコントロールしていることにはならない。他にできることがあるはずだ」

「それにしても雰囲気が素晴らしかった。観客の素晴らしい反応こそがスポーツの醍醐味だ。もっともエンターテインメント性のある選手が母国のグランドスラム大会をロッド・レーバーでプレーする。観客が盛り上がるのは当然だろう。テニスが紳士のスポーツというのは理解している。でも、人々がこれまでとは違ったエネルギーをテニスから感じられないと、このスポーツは滅びるだろう。そんなものだ」


メドベージェフのドロップショットにダッシュするキリオス(Getty Images)

今日のパフォーマンスにどのくらい勇気づけられる? 今後数ヵ月はもっと高いレベルのことができると思う。

「先のことは何も考えていない。今夜は楽しむつもりだ。あまり計画を立てるタイプじゃないんだ。1ヵ月後にどうなっていようが、あまり気にしていない。これからチームと一緒に夕飯を食べに行く。そういう時間を楽しみたい。明日はダブルスがあるんだ」

「人々が俺のこといくら疑っても構わない。でも彼らは今夜のような試合に俺が現れることを知っている。だから観客はあのような反応を見せ、チケットも売れた。彼らはそう見ている。その結果がすべてを物語っている」

「俺の練習量や試合数が少なかったとしても、このような試合のために自分を上げていく。そこから逃げたりしない。しかし、ランキングが落ちたことによって2回戦でダニール・メドベージェフを引き当てるのは嫌なものだ。自分がプレーすれば、今夜の観客の95%は俺が勝つと思っているだろう」

「だが、それを言っても仕方ない。俺は今日の自分を誇りに思っている。戦い抜き、いいショーを皆に見せた。それがすべてだ。次の大会がどうだとか、まったく考えていない。今は帰って美味しい食事を摂って、いい雰囲気の中でリラックスしたい」


股抜きショットを綺麗に決めて観客を盛り上げたキリオス(Getty Images)

今年が君にとって最後のツアーになるという噂があるとある解説者が言っていた。本当?

「1年後に自分が何をしているか、わからない。多分テニスをしているだろうが、わからない。恐らくプレーしているのだろうが、今は今夜と明日のことしか考えていない。リラックスして過ごすよ」

オーストラリアン・オープンでのコロナ検査についてどう思っている? 君は数日前まで感染していたけど、毎日検査している訳ではない?

「すべての選手には検査キットが送られていて、検査を義務付けられている。俺はシドニーで毎日検査して、陽性になった。1週間の隔離でオーストラリアン・オープンへの準備ができなかった。でも今、オーストラリアでは皆が検査をしている。何らかの症状があったら検査すべきだ。全選手が検査キットを受け取っている。検査はすべきだ。正しいことをするべきなんだ」

次にどの大会に出るか、決めていない?

「ダラス(2月6~13日)」


キリオスのプレーに大盛り上がりだったロッド・レーバー・アリーナのファン(Getty Images)

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写真◎Getty Images

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