ジョコビッチが準々決勝でベセリに敗れる番狂わせ、世界1位の座から陥落へ「新しいページが開かれた」 [ドバイ選手権]
ATPツアー公式戦の「ドバイ・デューティーフリー・テニス選手権」(ATP500/アラブ首長国連邦・ドバイ/2月21~26日/賞金総額294万9665ドル/ハードコート)の男子シングルス準々決勝で、第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)が予選から勝ち上がってきた世界ランク123位のイリ・ベセリ(チェコ)に4-6 6-7(4)で敗れるという波乱が起きた。
さらにこの結果により、大会後に更新されるATPランキングでジョコビッチがダニール・メドベージェフ(ロシア)に世界1位の座を譲り渡すことが確定した。
メドベージェフは水曜日にアカプルコの大会で準々決勝進出を決めており、ジョコビッチは世界1位の座を保持するにはドバイで準決勝に進出しなければならないことを知っていた。
しかしながら、この日のベセリは不思議な波に乗っていた。強力なサービスと力強いストロークに加えて要所でのボレーでジョコビッチにプレッシャーをかけ続けた彼は、勝利のあと「素晴らしい感慨だ。ノバクに対して勝つチャンスがあるなんて、本気で思ってはいなかった。彼は史上もっとも偉大な選手のひとりだ。ここ12ヵ月に僕が潜り抜けてきたことを考えると信じられない。内部で多くの感情が逆巻いているけど、言葉で表現するのは難しいよ。とにかく驚くべきフィーリングだ」と語った。
奇跡的にケガはごく軽かったものの、ベセリは昨年の夏に深刻な交通事故を起こして車を廃車にしていた。
2016年4月にモンテカルロの2回戦で初対決したときに勝っていたベセリはジョコビッチに2戦全勝となったが、そのことを指摘されると「正直に言って、前に一度勝ったからといってノバクを相手に連勝するなどということは期待していなかったよ」と返答した。
「ノバクは途轍もなく偉大なグラウンドストローカーだ。彼は動きが非常によく、素晴らしいディフェンス力を擁している。彼を相手にしたときにはすべてのポイントで身を粉にして戦い、それを奪い取らなければならない。僕は今日、素晴らしい仕事をしたと思う。僕はラリーを短くしようとした。ノバクは当然ながら観客の大きなサポートを得ていたけど、僕は世界最高峰の選手との対戦が大好きだ。満員のスタジアムでプレーすることは、人生を通しずっと夢見ていたことだったからね」
週明けの月曜日、メドベージェフはエフゲニー・カフェルニコフ(1999年)とマラト・サフィン(2000年~01年)に次いで世界ナンバーワンの座に就いた3人目のロシア人男子選手となる。これ以前にジョコビッチ、ロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)、そしてアンディ・マレー(イギリス)の『ビッグ4』以外でその座に就いたのは、2003年のアンディ・ロディック(アメリカ)まで遡る。
「新しいページが開かれた。テニスのためには、新しい誰かが世界1位になるというのはいいことだよ」とベセリはコメントした。
「ノバクは偉大なチャンピオンだ。361週間も世界1位だったんだからね。でもテニスは新しい世界1位を必要としており、今は新世代が台頭しつつある。素晴らしいことだと僕は思うな」
2020年2月に1位の座を奪い返して以降のジョコビッチはツアーで8つのタイトルを獲り、そのうち3つはグランドスラム大会でのものだった。ワクチン未接種の問題でオーストラリアでの一連の大会に出場できなかったジョコビッチにとってこれは今年最初の大会であり、錆びつきは少なからず見て取れた。
ジョコビッチは第2セット4-5からブレークバックして5-5と追いつくことに成功したがタイブレークではアンフォーストエラーも出てリードされ、最後はベセリがフォアハンドのウィナーを決めて勝利をその手でもぎ取った。
ここに至る過程でマリン・チリッチ(クロアチア)と前週のドーハでタイトルを獲得した第8シードのロベルト・バウティスタ アグート(スペイン)の強豪2人に勝っていたベセリは準決勝で、予選勝者のリカルダス・ベランキス(リトアニア)を7-6(4) 6-3で破って勝ち上がった第6シードのデニス・シャポバロフ(カナダ)と対戦する。
そのほかの試合では第2シードのアンドレイ・ルブレフ(ロシア)がマッケンジー・マクドナルド(アメリカ)を2-6 6-3 6-1で倒し、第5シードのホベルト・フルカチュ(ポーランド)は第4シードのヤニク・シナー(イタリア)を6-3 6-3で退け、勝ち上がった両者がもうひとつの準決勝で顔を合わせることになった。
写真◎Getty Images
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