モンテカルロでの復帰を目指すワウリンカ「ふたたびATPツアーで優勝したい」
ケガで戦線離脱を強いられていたスタン・ワウリンカ(スイス)が今、モンテカルロ・マスターズでの復帰を目指している。フランスの日刊スポーツ新聞『レキップ』はワウリンカが製作に関わったフランス映画『Maison de retraite(老人ホーム)』のプレミア試写会でパリを訪れた機会を利用してインタビューを行い、ワウリンカは現状を説明した。
ワウリンカがケガをする前に最後に公式戦でプレーしたのは、2021年3月のドーハまで遡る。そこでロイド・ハリス(南アフリカ)に6-7(3) 7-6(6) 5-7で敗れたあと、彼は戦列から離れていた。
「2019年以来、僕は左足の強い痛みに苦しめられていた。酷い炎症を起こしており、試合後には歩くことさえ困難だったんだ。2021年に入ると、もはやプレー不可能な状態に至った。この並外れた痛みを堪えてプレーしようとできる限り頑張ったよ。一般的に言って僕は痛みに強いほうで、プレー自体は何とか切り抜けられていたので(2020年は)1年を通して耐え抜いたが、最後には止めなければならなかった」とワウリンカは休止に至った経緯について話した。
スイスの医師に痛みを軽減するために勧められてワウリンカは2021年3月に手術を受けたが、うまくいかず練習再開後も痛みは続いた。彼は6月に同じくスイスで再手術を受け、アキレス腱のクリーニングや骨を削るなどの大規模な施術を行ったため昨年中の復帰は不可能となった。ワウリンカはそのあと施設や専門家のサポートが充実しているという理由から、フランス・パリに拠点を置くサッカークラブ『パリ・サンジェルマンFC』の施設でリハビリを行った。ちなみにパリ・サンジェルマンの会長を務めるナーセル・アル ヘライフィー氏は元テニスのツアープロで、カタールのデビスカップ代表だった人物だ。
復帰できるか否かを知る前に多くの過程があり非常に長くかかったと認めた上で状態はずっとよくなったとワウリンカは認識しており、今はモンテカルロでの復帰を目指してフルにコートでテニスのトレーニングをしていると明かした。
「目標はクレーコートシーズンに復帰することだ。9月から僕は肉体的な回復を可能にするためジムで毎日3~4時間を費やしていたから、それなりのベースはできている。しかしほとんどプレーしていなかったので、出場する最初の大会は100%ではあり得ないだろう」とワウリンカは語った。
「しかし僕は今、肉体的にそこそこいい状態に至った。テニス的には実戦が不足しているので、出だしに負けたとしても大した問題ではない。目標はモンテカルロ(4月10~17日)であり、その前の前哨戦にも出るかもしれない。でも予定は変わるものだからね。僕のプロテクト・ランキング(ケガなどで長期休養を余儀なくされた選手への救済措置)は20~25位くらいだろう」
もうすぐ37歳になるワウリンカはレキップ紙に「何のために復帰するのか」と尋ねられ、「まだテニス界でやってのけたいと思っていたことをやり遂げていない」と答えた。
「僕はケガのためにキャリアを終えたくない。ケガによる休止の前、まだツアーで喜びを味わうことができるだけのレベルでプレーできていると思っていた。僕はキャリアをいい形で終えるために復帰するとも言えるけど、6ヵ月以内に辞めるという訳ではないよ。僕は今年カムバックして直ぐにテニスに別れを告げるために復帰の準備をしている訳ではない。あの感動を再発見したい。僕の中では変わらず、僕にテニスを愛させた炎が燃えている。僕はテニスをプレーするのが好きだ。トレーニングをすることも、戦いに伴う厳しさも好きなんだ。これがある限り、僕はプレーを続ける。何故ならテニスプレーヤーでいられるというのは、大きな幸運だからね。僕はまだ、自分のテニス選手としての章を終えてはいない」
2017年5月にジュネーブで最後のタイトルを獲得したワウリンカは、「もちろん、自分のレベルが来たる数年の行方に影響を与えるだろう。もしハイレベルでプレーできなかったら楽しめなくなるからね。僕はふたたびタイトルを獲りたい。約5年前に膝をケガして以来、僕の夢はテニスを辞める前にもう一度ATPツアーで優勝することなんだ」と打ち明けた。
「ATP250でも500でも1000でも何でもいい。ケガをする前の僕は、それを目指せるレベルにあった。それが僕の目標だ。その先のことはわからない。僕はまだ、すべてから遠すぎるからね」
写真◎Getty Images
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