公益財団法人全国高等学校体育連盟などが主催する「大正製薬リポビタン第44回全国選抜高校テニス大会」（3月20～26日／団体戦：3月21～25日◎福岡県福岡市・博多の森テニス競技場、個人戦：3月23～26日◎福岡県福岡市・博多の森テニス競技場博多の森テニス競技場＆福岡県春日市・春日公園テニスコート／砂入り人工芝コート）の競技初日は、男女団体1回戦が行われた。

　今大会、初出場チームが男女4校ずつあるが、中でも男女揃っての初出場という快挙を遂げた東葉（千葉）に関しては、その躍進の秘密を聞かずにはいられない。

　どこかの強豪校から丸ごと移籍してきた訳ではないのだ。何でも同校は2017年から大胆な“学校改革”に着手し、その一貫としてテニス部の強化にも取り組んだのだという。具体的には、大のテニス好きでもある西村桂校長が自ら中学校の大会に赴いて有望選手をスカウトし、チームの軸となる選手を集めてきたという。それが今の2年生。それ以前は部員数わずか1～2名だったこともあるというから驚かされるが、今では男女合わせて34人が籍を置く。

　しかし部員数の増加だけならまだしも、わずか2年足らずの間に強豪ひしめく関東から男女揃ってセンバツに初出場とは、やはりミラクルと言っていい。自分たちこそがテニス部の歴史を作っていくのだという個々の気概と団結力の効果は計り知れなかった。

　初日の今日、先に関東5位で出場切符を手にした男子が東海4位の日大三島（静岡）と対戦。シングルス1の細野暖（1年）とシングルス2の中村翼（2年）が星を奪ったが、ダブルス2本を落として勝負はシングルス3へ。東葉は市田陽士（2年）がチームの命運を担ったが、ポイントを得るたびに大声を張り上げて気迫を表す日大三島の北野心晴（1年）を前に中盤以降はミスが目立ち、最後まで劣勢から脱出できなかった。

　一方の女子は、“選考委員会枠”の松本県ヶ丘（長野）との初出場対決に。「全国大会は生徒も私も初めてのことなので、どれくらいの緊張感が出るのか想像できなかった」と北原瑞希監督。同校でテニス部顧問を務めて12年になるが、部員数が足りず団体戦にエントリーすらできなかった時代からの急変ぶりに、「私も勉強することだらけです」と苦笑する。

　そんな中、危なげなく5戦全勝の好発進。2回戦の相手は27大会連続出場と対照的な歴史を持つ鳳凰（鹿児島）だ。まずは2回戦突破を目標に掲げている東葉の名は、全国にも轟くだろうか。（ライター◎山口奈緒美）