「ウインブルドンの問題など小さなこと。それよりウクライナの平和を祈ろう!」フレンチ・オープン1回戦敗退のティーム

フレンチ・オープン1回戦でヒューゴ・デリエン(ボリビア)に敗れ、ファンに手を振るドミニク・ティーム(オーストリア)(Getty Images)


 今年2つ目のグランドスラム大会「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦5月22日~6月5日/クレーコート)の男子シングルス1回戦で、ケガから完全復活を目指すドミニク・ティーム(オーストリア)が、ウーゴ・デリエン(ボリビア)に3-6 2-6 4-6で敗退した。

「まったくいい試合ではなかったけど、それが現状だ。この大会に出場している選手たちのレベルは途轍もなく高いが、自分はまだそこに達していない。かなり努力はしているが、まだ足りない。痛い敗戦だが受け入れるしかない。予想以上のことは何も起きず、万が一勝ち進めていたら、それは大きなサプライズだろう。残念だし、苦痛だが先に進むしかない」

まだ痛みがあるのか、メンタルの問題なのか?

「フィジカル面で問題は何もない。フォアハンドにメンタルな問題はなく、何も怖くない。練習ではしっかり打てるけど、実戦はまた違う。特にグランドスラム大会では体が緊張で少し強張ってしまう。フォアハンドのミスが多く、いい感触がまだ得られないんだ。それが現状で多くのミスが起きてしまう」

自分のプレーで一番足りていないのはパワー、我慢強さ?

「問題はひとつではなく複数あるようだ。フォアハンドだけでなく、すべてのショットでパワーが足りていない。ファーストサーブの確率も悪いし、入っても楽に返される。バックなどは悪くないが、まだスピードが足りない。そのような状況では、ラリー中の判断も悪くなってしまう。タイミングの悪いダウン・ザ・ラインへのドロップショットが象徴的だ。30-30や40-40で相手にプレッシャーをかけるべき状況で最適な判断ができていない。あるゲームで4〜5本連続でフォアハンドのリターンをミスした。確実に入れたいのに入らない。それが現状でうまくいくまでもう少し時間が必要だ」

いま挙げた問題を解決するため、具体的にどんな練習をしている?

「トレーニングは何も変えていない。それが大事だと思う。ある程度トレーニングを重ねてきたので、今は通常の状態に戻る時期だ。練習はうまくいっている。でも、僕のケガから完全復帰するのに6〜7週間では足りないんだ。今は我慢強く、うまくいかないプレーに取り組んでいる。時間が必要だ。ここから1週間練習を頑張れば次の大会で劇的によくなる訳じゃない。またトップの選手たちと戦う準備が整うまで、あと数ヵ月はかかると思う」

練習と試合でどのくらい感覚が違うものなのか? またウインブルドンでポイントが加算されないことをどう思う?

「練習ではかなりよくなっているけど、まだ完璧ではない。グランドスラムやツアー大会で自分の頭の片隅に、まだ練習でもすべてが完璧ではないという思いがあるのはあまりいい気分じゃない。緊張の影響でコートに立つとき、10~20%は自分のレベルがロッカールームに置き去りにされてしまう。練習でまだ自分の理想とは程遠いのに、突然試合でうまくいく訳がない。1日1日、やるべきことを完璧にこなすことが大事で、それから実戦に移行していく」

「ウインブルドンの決定はすべての選手にとって厳しいものだろう。特に、マッテオ・ベレッティーニ(イタリア)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)、マートン・フクソービッチ(ハンガリー)にとってはね。しかし、ウインブルドンやテニス界については、もっと大きな絵で全体を見ることを忘れちゃいけない。こんなことは小さな問題で、本当の問題はウクライナで起きていることだ。早く平和が戻ることを皆で祈ろう」

自信を失っているようだが、勝てば戻ってくるのか、チャレンジャー大会にレベルを一度落とすことを考えないのか?

「チャレンジャー大会に落として1、2大会出場することは考えている。もちろん勝利は助けになるが、自分の状態は自分が一番よくわかっている。まだ勝利からは遠いんだ。今はあまり深く考えず、調子を上げていくしかない。よくなれば自然と勝利もついてくるはずだ」

今の現状でメンタルコーチをつけることは考えていない?

「まだ考えてないね。これまでつけたことはないが、今の状況に陥るのも初めての経験だ。すべてのことにオープンな状態だが、一番重要なのは自分に時間を与えることだ。それに、1、2年前自分が絶好調のとき試合でメンタルに問題があるとは感じなかった。実戦に慣れていたし、練習でもフォアハンドや他のショットは完璧に機能していた。多くの勝利を重ねていたから、状況は今よりずっと簡単だった。今は試合のような緊迫した場面で、ショットの感触と自信を取り戻すことが必要なんだ」

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写真◎Getty Images

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