ティームの前に立ちはだかる復活への険しい道のり「マレーは僕のお手本」 [マドリッド・オープン]

写真は1回戦で敗れ、コートをあとにするドミニク・ティーム(オーストリア)(Getty Images)


 ATPツアー公式戦の「ムトゥア・マドリッド・オープン」(ATP1000/スペイン・マドリッド/5月1~8日/賞金総額749万9290ユーロ/クレーコート)の男子シングルス1回戦でドミニク・ティーム(オーストリア)がワイルドカード(主催者推薦枠)で出場した元世界ナンバーワンのアンディ・マレー(イギリス)に3-6 4-6で敗れたあと、ふたりはネット際で暖かい抱擁を交わした。

 ともにこの大会で過去にいい成績をおさめてきたふたりだが、それぞれケガに苦しめられていたこともあって対戦したのは3年ぶりだった。試合後に握手をしたとき、マレーはティームに励ましの言葉をかけた。

 ティームは昨年6月に手首を負傷したため8ヵ月以上も戦線離脱を余儀なくされ、マレー戦はこのクレーコートシーズンに復帰してからツアーレベルでの3試合目だった。

「ネット際で彼が僕にかけてくれた言葉は、思いやりに溢れていた。回復のプロセスを潜り抜けた彼のような人から言われただけに、それは尚更価値のあるものだったよ」とティームは試合後の記者会見で明かした。

「彼は大きなケガをしたあとにカムバックするのがどれほど難しいかを知っている数少ない選手のひとりであり、間違いなく彼は股関節のケガから復帰した選手のお手本なんだ」

 2019年に金属製の人工股関節を入れる大きな手術を受けた34歳のマレーはまだまだレベルを上げたい望んでいるとはいえトップ100復帰を果たし、その過程でカルロス・アルカラス(スペイン)、ヤニク・シナー(イタリア)、ホベルト・フルカチュ(ポーランド)といったトップ選手から勝ち星を挙げ、今シーズンは1月にシドニーで準優勝を飾った。

 試合後にティームのケガについて聞かれたマレーは、「あれほど長い戦線離脱を経て戻ってくるのは簡単なことではない。問題が単に多くの試合をこなすことで克服できるメンタル的なもので、まだ痛みがあったり身体の違和感を引き起こしている訳ではないよう祈っているよ」と答えた。

「彼は時折いいショットを打っていたけど、通常の彼なら決めていたであろう特定のショットをミスしていたことがあったことは確かだ。彼のサービスは相変わらずいいし、キックサーブが素晴らしい。凄くいいバックハンドも打っていたし、彼はフットワークがいい選手でもあるしね」

 マレーは次のラウンドで、ラッキールーザー(予選決勝で敗れたが欠場者が出たため本戦出場権を得た選手)のユーゴ・アンベール(フランス)を7-6(1) 6-3で破って勝ち上がった第14シードのデニス・シャポバロフ(カナダ)と対戦する。

 昨年12月に関係を解消したジェイミー・デルガド(イギリス)の指導を受けているシャポバロフとの2回戦を前に、マレーは「よりよいテニスができ始めていると僕は感じている。間違いなく動きは前よりよくなっており、今夜はとてもよく動けていた」と自身の進歩に関して手応えを口にした。

「それは僕のテニスにとって非常に重要な部分なんだ。それができていれば、もっと戦略面に集中することができるからね。今日はよく動けたし体の感じ方もよかったから、自分の戦いぶりには全体的にとても満足しているよ」

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写真◎Getty Images

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