ナダルがジョコビッチとのライバル対決を制して準決勝へ「ノバク、ロジャー、僕は驚くべき物語を紡いできた」 [フレンチ・オープン]
今年2つ目のグランドスラム大会「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦5月22日~6月5日/クレーコート)の男子シングルス準々決勝で、第5シードのラファエル・ナダル(スペイン)が大会連覇を目指していた第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)を6-2 4-6 6-2 7-6(4)で振りきりベスト4に進出した。
ナイトセッションで行われた注目の大一番が終わったときには既に日付は変わり、午前1時を回っていた。
勝利後にコートで目に涙を滲ませていたナダルは、「僕が感情的になったのは、僕にとってのここ3ヵ月半が簡単ではなかったからだ」と試合後の記者会見で語った。
「ここ数ヵ月に僕が通り抜けたすべてのことについて、今となってはもう話すつもりはない。僕は前に進み続けなければならないのだから。でももちろん、楽しい3ヵ月ではなかった。それらすべてのことがあったからこそ、この試合はより特別なものになったんだ。疑いなく」
肋骨の疲労骨折とそれに続く6週間の回復期間に加え慢性的な足のケガなどに苦しめられたナダルは、ロラン・ギャロス前の期間に気持ちを向ける代わりに未来に待つチャンスを見つめるほうを好んだ。
「感動的な夜だった。僕は今日のような夜のために今もテニスをプレーし続けているんだ。でもこれは準々決勝だ。僕はまだ何も勝ち獲っていない。とにかく僕は2日後にコートに戻り、ふたたびここロラン・ギャロスで準決勝をプレーするチャンスを自分に与えることができた。これは僕にとって本当に大きな意味がある」
ナダルは準決勝で、第6シードのカルロス・アルカラス(スペイン)を6-4 6-4 4-6 7-6(7)で破って勝ち上がった第3シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)と対戦する。常に強いメンタルを誇る訳ではないズベレフだが、この日の彼は苦しい局面でも精神的に踏み堪え、目覚ましいプレーを見せて強靭な19歳の挑戦を押し返した。
ズベレフにとっての挑戦は、その状態を次の試合でも維持できるか否かだろう。対するナダルは、自分がその面では問題はないと自負している。
「もし僕が準決勝でいいプレーをしていなかったり負けていたりしたら、それは僕が集中していないからでない。それに関しては、僕には経験がある。僕は感情的に上がったり下がったりするタイプの選手ではないんだ。僕は感情的に、非常に安定していると思う」とナダルはコメントした。
第9シードのフェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)に対する5セットの死闘とジョコビッチとの4時間11分の戦いのあと、金曜日に組まれた準決勝を前にナダルは2日間の休息を得ることができる。
ジョコビッチとの59回目のライバル対決に勝ったナダルは、ロラン・ギャロスでのジョコビッチとの対戦成績を8勝2敗とした。昨年の大会でふたりは準決勝で顔を合わせ、その際にはジョコビッチが3-6 6-3 7-6(4) 6-2でナダルを倒していた。それ以前にナダルがこのクレーの聖地でジョコビッチに土をつけられたのは、2015年に遡る。ふたりがロラン・ギャロスで演じた名勝負の中には、2013年準決勝(6-4 3-6 6-1 6-7(3) 9-7でナダルの勝利)もあった。
「これはもうひとつのエピソードだ。僕らはもっとも重要な大会で、何年にも渡ってもっとも重要な試合をプレーしてきた。彼との対戦は常に特別だ。今日の試合はただの準々決勝で、決勝ではなかった。だから少し違っていたけど、大きなシナリオ上の非常に伝統的な対戦だった」とナダルはジョコビッチとの対決について言及した。
「ノバク、ロジャー・フェデラー(スイス)、そして僕はこれだけ長い間、もっとも重要な試合で互いにぶつかり合いながら驚くべき物語を紡いできた。だから彼らとの対戦は、より一層特別で感情的なものとなる。誰がグランドスラム大会でより多くのタイトルを獲って終わるかとか、誰が史上もっとも偉大かというような議論が常に巻き起こっているけど、僕の観点から言えばそんなことはどうでもいい。僕らは僕らの夢を達成した。我々は以前に起こらなかったことをやってのけたからこそ、ともにこのスポーツの歴史を築いたんだ」
写真◎Getty Images
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