「日曜日のコートで会いたいとメールがきた」ジョコビッチとの関係を語るキリオス [ウインブルドン]
ウインブルドン決勝の前にニック・キリオス(オーストラリア)がノバク・ジョコビッチ(セルビア)との関係、オーストラリアのレジェンドたちとの関係などを語った。
――グランドスラム大会でここまで勝ち進む経験は初めてだが、この10日間で自分の中で何か新たな発見はあった?
「オーストラリアン・オープンのダブルスで優勝した経験が、今かなり助けになっている。ダブルスだし、フィジカル的にそれほどきつくないが、2週間を通して試合に勝つ・練習する・また試合をするというパターンをメルボルンで経験して、かなり長い時間だということがわかった。同じ場所で2週間は本当に長かった。街を探検して見て回ることもできない。自分が楽しみたいようには楽しく過ごせないんだ。家に留まり、なるべくおとなしく過ごす。あまり他のことを考え過ぎない。やるべきことを素早く、冷静にやり続けないといけないし、しっかり休まないといけない。若い頃は気付かなかったが、オフの日に練習することが本当に大事なんだ。1回戦でポール・ジャプ(イギリス)に5セットにもつれながらも勝って、今はウインブルドンの決勝にいる。この流れに乗っていくしかないんだ。あと4ポイントで敗退というところから、11日後には決勝にいる。何が起きるか誰にもわからないんだ。以前よりも落ち着いていられるよ」
――1月にノバクが大変だったときに、君は彼をサポートした。彼との関係について少し話してくれないか?
「不思議なことに、今は親密な関係だ。以前はあまりいい関係ではなかったが、テニスにとっていいものだった。俺たちが対戦するたびに盛り上がったからね。メディア、観ている人たちにとっても面白かった。オーストラリアン・オープンであれだけのドラマが起きて、彼の側に立っていた選手は俺だけだった。リスペクトを得るのは、ああいうことなんだなと思った。テニスコートでの話じゃない。人生の大きな危機に陥ったときに、誰かが自分の味方として立ち上がってくれるという話だ。今はダイレクトメール、インスタグラムなどで、たまに連絡し合うようになった。本当に変な感じだ。実は、今週の初めには、“君と日曜日のコートで会いたいよ!”とメールをくれたんだ。彼は準決勝でキャメロン・ノリー(イギリス)を相手に厳しい試合を戦った。ノリーはとてつもなく強く、成長著しい。彼とはU-10の大会で対戦したときからよく覚えているよ。いつもボコボコに倒したんだ。今、彼はウインブルドンの準決勝まで勝ち上がり、この大舞台で対戦するチャンスが近づいている。とにかく楽しみだ。話を戻すと、キリオス対ジョコビッチの決勝はよだれが出るほど魅力的だ」
――この2週間でテニスに対する気持ちに変化が見える?
「変わるのかわからない。本当に嫌いだと思うときがある。でも、今まで出会った人たちの中で、自分が一番の負けず嫌いだ。ニンテンドーのゲーム、バスケットボール、何をやっても負けず嫌い。だから、テニスも好きだと感じる。戦うのが好きだからね。誰かに挑戦すること、勝ち負けを決める側面が好きなんだ。変わるかどうかはわからない。ただ一つ言えるのは、日曜日の決勝で勝っても負けても、満足だと言うこと。決勝に進んだこと自体が物凄い成果なんだ。決勝に自分が出られるなんて思わなかった。27歳というキャリアの中でかなり遅い時期と感じるけど、ここにいられるとは思わなかった」
――オーストラリアはウインブルドンで素晴らしいチャンピオンたちを生み出してきた。その中に自分が入ることを想像したことがある?
「オーストラリアのレジェンドたちは、いつも優しく接してくれた訳じゃない。いつもそうだし、この2週間もサポートしてくれなかった。彼らが自分についてコメントしているのを読むのが辛いんだ。アッシュ・バーティ(オーストラリア)が決勝に進んだとき、俺はとにかくうれしかった。オーストラリア人が決勝に進出したことに対して、自分が悪い言葉を浴びせることは絶対にない。そんな中で唯一いつもサポートしてくれたのがレイトン・ヒューイット(オーストラリア)だ。彼はデビスカップ代表チームのキャプテンで、自分の扱い方がよくわかっている。距離の取り方がうまくて、自由にやらせてくれる。メッセージもくれるんだ。“おめでとう、このまま勝ち進め!”とね。その他のオーストラリアの過去のレジェンドたちからまったくサポートを受けられないのは悲しいね。何故かいつも否定的で自分を引き裂くようなことを言う。自分のことが嫌いなのか、怖がっているのか、わからない。最悪だ。理解できない。もしアレックス・デミノー(オーストラリア)、ジョーダン・トンプソン(オーストラリア)、タナシ・コキナキス(オーストラリア)が決勝に進んだら、自分のことのように喜ぶよ。興奮する。試合を見てたら熱狂するだろう」
――インスタグラムで子供の頃の写真を投稿したが、あの頃の君はどんな子だった?
「ハングリーだ。キャンベラの酷いコートで練習していた自分がウインブルドンの決勝にいることは、見捨てられたような子供、ネガティブなニュースしか周囲にないような子にとっては大きなインスピレーションになる。いろんなことで失望させられてきても、何か特別なことを成し遂げることができる。俺は一度も自分を信じることをやめなかった。自分の周りの人間のほとんどは、人生のどこかで自分を信じられなくなった。グランドスラムの決勝に出られることもね。周りは自分を疑っていた。でも自分は信じ続けた。自分を信じられない子供にとって、強烈なメッセージになるはずだ。前を向いて進み続けろとね。あの写真を見てみろよ。アニメに出てくるような子だ」
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