初戦勝利のキリオスがファンサービスについて語る「誰かにとって素敵な経験になると思う」 [シティ・オープン]

写真はマッチポイントで観客にサービスのコースについて尋ねるニック・キリオス(オーストラリア/右)(Getty Images)


 ATPツアー公式戦の「シティ・オープン」(ATP500/アメリカ・ワシントンDC/8月1~7日/賞金総額210万8110ドル/ハードコート)の男子シングルス1回戦でニック・キリオス(オーストラリア)がマルコス・ギロン(アメリカ)を6-3 6-2で下し、同大会のシングルスで2019年決勝以来の勝ち星を挙げた。

 一度リズムを掴むとキリオスは格違いのプレーを見せ、第1セット3-3以降は相手を圧倒した。

 ノバク・ジョコビッチ(セルビア)に4セットで敗れたウインブルドン決勝以来のシングルスをプレーしたキリオスは、「スタートはややスローだった。言うまでもなく、ウインブルドンとはコンディションがかなり違うからね」と試合を振り返った。彼は前週のアトランタにエントリーしていたが、膝の痛みによりシングルス出場を取り消し、ダブルスのみプレーしていた。

「今日は少しナーバスになっていた。僕は2019年にこの大会で優勝した。スタジアムで自分の名前を見て、昨年ここでまったくいいプレーができなかったことを思い出した。あのとき僕は1回戦で敗退し、人生の中でかなり暗い時期を過ごしていたところだったんだ」とキリオスは心中を明かした。

「僕は今、観客からの愛とサポートを受けてチームと一緒にここにいることができて本当に幸せだ。ふたたびいいテニスをしていることが本当にうれしいよ」

 試合を通して計12本のサービスエースを決めたキリオスはファーストサーブからのポイントを82%取り、数本の股抜きショットも披露した。彼は2019年にここで優勝したときと同じく非常にいいサービスを打ち、マッチポイントでは最前列の観客にどこにサーブを打つべきか尋ねた。キリオスはファーストサーブをミスしてその観客に謝罪したが、セカンドサーブでしっかりポイントを取って試合を締めくくった。

 実際に優勝した2019年のキリオスは、タイトルへの進撃の過程で頻繁にマッチポイントでどこにサービスを打つべきかを観客に尋ねてファンを楽しませていた。

「僕は2019年に、マッチポイントでだけそれをやっていた。観客の中の誰かに尋ねてね。お金を払って観にきてくれた誰かにとって、いい思い出を胸に家に帰れる素敵な経験なんじゃないかと思う」とキリオスは試合後の記者会見で語った。

「対象が若い子供や今日のように年配の女性だったら、かなり素敵なことなんじゃないかと思う。僕は自分がテニスの試合を観ていたときにそういう経験ができていたらよかったのにと思うよ」

 キリオスは次のラウンドで、第14シードのトミー・ポール(アメリカ)と対戦する。シード勢は初戦がBYEで免除されており、2回戦からの登場となる。

 今季のここ5大会で4度準決勝以上に駒を進めるなど好調なキリオスは、シングルスで今季初のタイトル獲得を目指している。同胞のタナシ・コキナキス(オーストラリア)とのコンビでオーストラリアン・オープンと前週のアトランタで優勝した彼は今大会ではジャック・ソック(アメリカ)とペアを組み、月曜日に行われた1回戦で第3シードのマルセロ・アレバロ(エルサルバドル)/ジャン ジュリアン・ロジェ(オランダ)を6-4 6-4で倒す番狂わを演じていた。

「ジャックやタナシは、僕にとって単なる友達以上の存在だ。彼らは僕が彼らのために何だってやるということを知っている。僕は彼らのためにそこにいるし、その逆も然りだ。彼らには本当に感謝しているんだ。そして僕のガールフレンド、フィジオ、僕の親友…。彼らにいくら感謝してもしきれないよ。本当に、彼らがいなければ僕はここにはいなかっただろうね」

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写真◎Getty Images

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