アルカラスがティアフォーに競り勝ちグランドスラム初優勝と最年少世界1位に王手「決勝では持てるすべてを出し尽くす」 [USオープン]

写真は5セットに渡る準決勝を戦い終えて健闘を称え合うカルロス・アルカラス(スペイン/右)とフランシス・ティアフォー(アメリカ)(Getty Images)


 今年最後のグランドスラム大会「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月29日~9月11日/ハードコート)の男子シングルス準決勝で第3シードのカルロス・アルカラス(スペイン)が前ラウンドに続いてまたも5セットの死闘から勝者として浮上し、第22シードのフランシス・ティアフォー(アメリカ)を6-7(6) 6-3 6-1 6-7(5) 6-3で倒してグランドスラム初制覇にあと1勝と迫った。

 今年に入って大きく飛躍した19歳のアルカラスは今やすべての大会で優勝候補の一角と見なされるようになったが、グランドスラム大会で決勝に進出するのはこれが初となる。

 母国のレジェンドである第2シードのラファエル・ナダル(スペイン)を4回戦で退けてきたティアフォーに競り勝って決勝行きの切符を手に入れたアルカラスは、「グランドスラム大会の準決勝では、すべてを捧げならない。最後のボールまで戦わなければならない。5時間戦っていようと6時間だろうと問題じゃない。コートですべてを振り絞らなければならないんだ」と試合後にコメントした。

「フランシスもコートで全力を出しきった。素晴らしい試合だった」

 この日の戦いは4時間19分だったが、アルカラスはここ3試合連続で5セットマッチを戦っており、5時間を超える死闘だった第11シードのヤニク・シナー(イタリア)に対する準々決勝を含む3試合だけで合計13時間28分を費やしている。

 アルカラスは決勝で、第27シードのカレン・ハチャノフ(ロシア)を7-6(5) 6-2 5-7 6-2で破って勝ち上がった第5シードのキャスパー・ルード(ノルウェー)と対戦する。この試合の勝者はグランドスラム初タイトルだけでなく、世界ランク1位の座を勝ち獲るというビッグマッチとなる。

「大きなものを目指して戦うことができるというのは素晴らしいことだよ。初めてのグランドスラム決勝だ。世界1位の座が見えるけど、同時にそれは凄く遠い」とアルカラスは話した。

「僕には素晴らしい選手に対するもうひとつの試合がある。彼(ルード)は決勝をプレーするに相応しい選手だ。彼はロラン・ギャロスで既にこの舞台を経験している。僕にとっては初めての挑戦だ」

 試合を終えたばかりの興奮も冷めやらぬ中、アルカラスはいつも通り「僕は決勝で持てるすべてを出し尽くすつもりだ」と決勝に向けて意欲を燃やした。

「グランドスラム決勝を戦うという緊張感に対処しなければならないけど、言うまでもなく僕は本当に本当に幸せだ。そしていつも試合前に言っているように、僕は楽しむつもりだよ。その瞬間を楽しみ、何が起きるか見てみよう」

 4回戦でのナダルに続いて準々決勝で第9シードのアンドレイ・ルブレフ(ロシア)に勝って気炎を吐くティアフォーは、母国の大声援に支えられてこの日も素晴らしいファイティングスピリットを見せた。第1セットと第4セットのタイブレークで競り勝つ勝負強さを見せた彼は、試合中に「僕はハートをラインに乗せている!」と誰にともなく叫んだ。

「僕は今夜、すべてを捧げた。カルロスがよ過ぎたよ。君とこの大舞台を分かち合うことができて幸せだ」とティアフォーは試合後に語った。

 試合には多くの見せ場があった。アルカラスのドロップショットをティアフォーがより厳しいドロップショットで切り返した場面、ネットに詰めるティアフォーの頭上を抜いてベースラインの内側ぎりぎりに落ちたアルカラスのロブ…。熱戦に観客は沸き続け、ティアフォーが放った最後のバックハンドがネットにかかったとき、アルカラスはベースラインの後ろで背中からコートに倒れ込んだ。

 この日は敗れたが、初のグランドスラム準決勝に進出したティアフォーも自らの殻を破ることになったこの大会を謳歌した。

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写真◎Getty Images

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