ルードを倒したアルカラスがグランドスラム初優勝と同時に史上最年少の世界1位に「子供の頃から夢見ていたこと」 [USオープン]
今年最後のグランドスラム大会「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月29日~9月11日/ハードコート)の男子シングルス決勝で第3シードのカルロス・アルカラス(スペイン)が第5シードのキャスパー・ルード(ノルウェー)を6-4 2-6 7-6(1) 6-3で下し、19歳にしてグランドスラム初優勝を果たした。
この試合には世界ナンバーワン争いがかかっており、勝者となったアルカラスが1973年に発足したATPランキング史上最年少で1位の座に就くことが確定した。これまでの記録はレイトン・ヒューイット(オーストラリア)の20歳9ヵ月で、20歳10ヵ月のマラト・サフィン(ロシア)と21歳1ヵ月のジョン・マッケンロー(アメリカ)が続いている。
勝利の瞬間にアルカラスはまず背中からコートに倒れ、それからうつ伏せになって肩を震わせた。そのあと彼は立ち上がって観客席によじ登り、ファンの大歓声を浴びながら自分のボックス席にいる家族や友人、そしてコーチのフアン カルロス・フェレロ(スペイン)と抱擁を交わして喜びを分かち合った。
「これは僕が子供の頃から夢見ていたことだった。世界1位になること、グランドスラム大会でチャンピオンになるために僕は本当に懸命に努力を積んできた」とアルカラスは表彰式のスピーチで話した。
「多くの感情が込み上げてきて、今は話すのは難しい。これは僕が成し遂げようと努力してきたことであり、僕がチームや家族と一緒に行ってきたすべてのハードワークが報われた。僕はまだ19歳だ。両親やチームと一緒にすべての難しい決断を下してきた。これは僕にとって、本当に特別なことだ」
大きなものがかかっていたその決勝で、アルカラスは持ち前のパワフルなショットでルードを圧倒すると同時に絶妙なタッチのロブなども織り交ぜながらチャンスがあれば積極的にネットに詰めて76%という高い確率でネットプレーによるポイントを奪った。またこの日はサービスも非常によく、重要な場面で彼を窮地から救い出した。
何よりセットポイントに直面しながらその危機を切り抜け、タイブレークの末にもぎ取った第3セットでアルカラスが見せたメンタル的な強さは彼の真骨頂だった。春の躍進でトッププレーヤーの仲間入りを果たしてからここまでの過程でときに10代らしい脆さも垣間見せてきた彼だが、この日はあらゆる意味で王者に相応しい資質を持つことを改めて証明して見せた。
ここ3試合連続で5セットマッチを戦ったアルカラス決勝までの6試合で20時間19分をコートで過ごしていたが、この日は終盤に向けて勢いを上げこそすれ、疲労にその足を止められることはなかった。
「グランドスラム決勝で疲れている暇はない。準備万端で臨み、持てる力をすべてを出し尽くさなければならない。僕はこのために多くの努力をつぎ込んできたのだから」とアルカラスはコメントした。決勝の3時間20分と合わせ、彼は合計23時間と39分を費やして栄冠を勝ち獲ったことになる。
19歳4ヵ月のアルカラスは19歳と2日で2005年フレンチ・オープンを制したラファエル・ナダル(スペイン)以降でもっとも若いグランドスラム大会の男子優勝者となり、USオープンでは1990年に19歳と28日で成し遂げたピート・サンプラス(アメリカ)に次ぐ同種目で2人目の10代チャンピオンとなった。
一方で6月のフレンチ・オープンに続くキャリア2度目のグランドスラム決勝に臨んだ23歳のルードも、世界1位になる可能性を手にしていた。フィットネスレベルの高さと堅固なプレーを武器とするルードはこの日、アルカラスの規格外の才能と攻撃力を抑え込むことができなかったが、随所で目覚ましいショットと粘りを見せて対抗して試合を見応えあるものにした。彼は今大会での活躍により、月曜日には世界2位に浮上する。
「このところ、物事は非常にうまくいっていた。今日は特別な夜だった。僕とカルロスはともにお互いが何を目指してプレーしているのか、この勝負に何がかかっているのか知っていた。僕たちは明日、世界1位と2位になる。それが相応しいと思うよ。もちろんナンバーワンになれずがっかりしているけど、2位も悪くはない」とルードは表彰式で語った。
「僕はそのナンバーには満足しているし、今後もグランドスラム初タイトルと世界1位の座を追い続けるつもりだよ」
写真◎Getty Images
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