「私はテニスを愛しており、一生離れることはない」フェデラーの引退メッセージ全文

2022年7月3日、ウインブルドンのセンターコート100周年イベントで登場したロジャー・フェデラー(スイス)(Getty Images)


 ロジャー・フェデラー(スイス)が自身のインスタグラムを更新し、世界中のファンに引退のメッセージを発信した。その全文をお届けする。

親愛なるテニスファミリー、そしてその先にいる皆へ

「何年もの間、テニスが自分に与えてくれたすべての贈り物の中でもっとも素晴らしかったものは、間違いなくこのキャリアの中で出会った人たちです。友人、対戦してきた選手たち、そして誰よりもテニスに命を吹き込んでくれたファンの皆。今日は皆に伝えたいニュースがあります」

「多くの皆さんがご存じのように、この3年間はケガや手術との戦いでした。私は完全な状態に戻るために並々ならぬ努力をしてきました。しかし同時に、自分の体のキャパシティや限界も知っています。そして直近で体から発せられるメッセージは明らかです。私は41歳。24年間で1500試合以上を戦ってきました。テニスは、私が夢見てきたよりも寛大に私をもてなしてくれました。そして今が、私の競技生活を終えるときだと気付かないといけないのです」

「来週、ロンドンで開催されるレーバー・カップが私にとって最後のATPの大会になります。もちろん、私は今後もたくさんテニスをしますが、その舞台はグランドスラムやツアーの大会ではありません」

「これはほろ苦い決断です。何故なら、ツアーが自分に与えてくれたすべてのことが恋しくなるからです。しかし同時に、お祝いすることもたくさんあります。私は自分が地球上でももっとも幸運な人間の一人だと思います。私にはテニスをプレーするための特別な才能が与えられ、自分が想像していたより遥かに長くプレーしてきました」

「私の素晴らしい妻、ミルカには特別に感謝したいです。彼女は私とともにすべての瞬間を分かち合ってくれました。彼女は決勝前の私を温かく励ましてくれました。数えきれないほどたくさんの試合を観てくれて、妊娠8ヵ月を過ぎているときでも観てくれました。私のチームとともに20年以上もツアーでは、私のおっちょこちょいな面にも耐えてきてくれました。私の美しい4人の子供たちにも感謝したいです。いつも応援してくれて、新しい場所に行くといつも探索しようという意欲に満ちており、数々の素晴らしい思い出を作ってくれました。スタンドから家族が私を応援している姿を見るときの気持ちは、一生大切にしたい宝物です」

「そして私の愛する両親と姉にも感謝を伝えたいです。彼らなしには何も達成できなかったでしょう。私をいつも正しい方向に導いてくれた、歴代すべてのコーチにも感謝しています。あなたたちは本当に素晴らしい! そして、まだ若い選手だった自分を信じてくれて、理想的なスタートを切らせてくれたスイス・テニスもありがとう」

「私の素晴らしいチームにも感謝を伝えたいです。イバン、ダニ、ロランド、特にセベとピエールはいつも私に寄り添ってくれて、最適なアドバイスをくれた。トニは17年以上に渡り、いつも私の仕事をクリエイティブに管理してくれました。みんな最高で、皆と過ごしたすべての時間が最高でした」

「いつも誠実に私を支えてくれたスポンサーは本当に私のパートナーのような存在でした。ありがとうございます。一生懸命なチーム、ATPツアーの大会はいつも私たちを優しく、最高のホスピタリティで迎えてくれました」

「コート上で戦ってきた選手たちにも感謝しています。多くの名勝負を皆と戦うことができて幸せでした。一生忘れません。いつもフェアに全力で戦い、情熱と強度のある試合をしました。私はいつもテニスの歴史をリスペクトして、全力を尽くしました。本当に感謝の気持ちで一杯です。私たちはコート上でお互いを成長させ、ともにテニスを新たなレベルに導きました」

「そして誰よりも最高のファンの皆には、特別に感謝したいです。皆が私にどれほどの強さと信じる力を与えてくれたのか、きっとわからないでしょう。満員のスタジアムやアリーナに足を踏み入れるときの気持ちの高ぶりは、私の人生の中でもとてつもなくワクワクさせてくれる刺激的なものでした。皆がいなければ、私の成し遂げた多くの成功は素晴らしい喜びやエネルギーに満ちることもなく、とても寂しいものだったでしょう」

「ツアーでの24年間は信じられないような冒険でした。ときに、たった24時間で過ぎてしまったようにも感じられますが、同時にとても深く、魔法のような時間にも感じられ、まるで一生をかけて経験してきたもののように長くも感じられます。40ヵ国以上の国々で、皆の前でプレーするという素晴らしい幸運に恵まれました。私は笑い、泣き、喜びや痛みを感じ、そして何よりも生きているという実感が物凄く感じられました。私は多くの移動を通して多くの一生の友人とも出会いました。彼らは忙しい中、スケジュールを調整して私が世界中でプレーする姿を見て、応援してくれました。ありがとう」

「私のテニスに対する愛が始まったとき、私は地元バーゼルでボールキッズを務めていました。私は羨望の眼差しで選手たちを見ていたものです。彼らは私にとって巨人のような存在で、私はそこから夢を見始めました。私の夢はより一層努力するエネルギーとなり、自分自身を強く信じられるようになりました。いくつかの成功が私に自信を与えれくれ、今日という日まで素晴らしい旅路に導いてくれました」

「心の底から世界中の皆に、スイスの若いボールキッズの夢を叶える手助けをしてくれたことに感謝します」

「最後にテニスへメッセージ。私はあなたを愛しており、一生離れることはないです」

ロジャー・フェデラー

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写真◎Getty Images

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