雨模様のパリで新設された開閉式屋根が存在意義を証明 [フレンチ・オープン]

今年最後のグランドスラム「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦9月27日~10月11日/クレーコート)が開幕し、初日は男女シングルス1回戦が行われた。
 
 パリが時折雨が降るあいにくの天気に見舞われた中、5500万ドルをかけたフィリップ・シャトリエ・コートに新設された開閉式の屋根はこの上なく便利なものとしてさっそく存在価値を証明している。これでフレンチ・オープンは、屋根付きのスタジアムを導入した最後のグランドスラム大会となった。

「ずっといいわ。雨が全然降り止まなかったけれど、プレーができた訳だから」と第1シードのシモナ・ハレプ(ルーマニア)は評価した。彼女は日曜日のセンターコート第2試合でサラ・ソリベス トルモ(スペイン)を6-4 6-0で下し、このところの連勝記録を「15」に更新した。

 スザンヌ・ランラン・コートではUSオープン準優勝者で第10シードのビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)が、雨が降り始めたあとにロッカールームに引き上げずに雨が止むか見るためにしばらくコートで待つように言われたことに不快感を露わにした。

 結局試合にはストレートセットで勝ったものの、彼女は雨による中断の際に「凍り付きそうよ」と言い、「いいえ、寒いから私はここで数分待ったりはしないわ。8度なのよ、8度!私はフロリダに住んでるの。暖かい気候に慣れているのよ」と喚いた。

フレンチ・オープン2020|トーナメント表

 今回の大会では、多くのことが通常と違っている。

 コンディション、ほとんど空の観客席――第21シードのジョン・イズナー(アメリカ)は「観客がいないというのは最低だ」と言った――、新しく採用された重いテニスボール、大会に臨む選手たちの試合不足…。

 これらのことは、いくつかの結果に影響を与えたかもしれない。

 19歳のヤニク・シンネル(イタリア)は開閉式屋根のお披露目となったセンターコートのオープニングマッチで第11シードのダビド・ゴファン(ベルギー)を倒し、USオープンで8強入りした第24シードのボルナ・チョリッチ(クロアチア)と第25シードのアレックス・デミノー(オーストラリア)、第32シードのダニエル・エバンズ(イギリス)がシードダウンを喫した。

 女子のほうでは、第17シードのアネット・コンタベイト(エストニア)と第24シードのデヤナ・イエストレムスカ(ウクライナ)が早くも姿を消した。

 初日のもっとも一方的な試合のひとつは、第16シードのスタン・ワウリンカ(スイス)がアンディ・マレー(イギリス)を6-1 6-3 6-2で下した試合だった。

「非常にいいプレーをしたとしても、僕がこの試合に勝てる保証はなかった」とマレーは肩を落とした。「その上僕は、いいプレーができなかった」。

 16歳のコリ・ガウフ(アメリカ)に敗れた第9シードのジョハナ・コンタ(イギリス)も、同じことを自覚していた。ガウフの最初の15ポイントのうち10本は、コンタのミスのおかげだったのだ。形勢を有利にできそうだったときに揺らいだのは経験豊富なコンタで、鋼の決意を見せたのは少女のほうだった。

「彼女が何歳かなんか関係ない。それはあなたたちメディアや観衆、スポンサーなどにとって興味深いことなんだと思うわ。でも競技者として、コートで戦う私たちにとってはまったく関係ないことよ」とコンタはコメントした。(APライター◎ジェローム・パグマイア&ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

※写真はダビド・ゴファン(ベルギー/手前)とヤニク・シンネル(イタリア)の1回戦が行われたセンターコートの様子
PARIS, FRANCE - SEPTEMBER 27: General view inside Court Philippe Chatrier during the Men's Singles first round match between David Goffin of Belgium and Jannik Sinner of Italy as the roof is shut for the first time and no spectators are allowed in due to COVID-19 during day one of the 2020 French Open at Roland Garros on September 27, 2020 in Paris, France. (Photo by Shaun Botterill/Getty Images)

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