ATPツアー公式戦「スルプスカ・オープン」（ATP250／ボスニア ヘルツェゴビナ・スルプスカ共和国バニャ ルカ／4月17～23日／賞金総額63万705ユーロ／クレーコート）の男子シングルス2回戦で、第1シードのノバク・ジョコビッチ（セルビア）が苦労の末に2021年全仏ジュニア優勝者で18歳のルカ・バン アッシュ（フランス）を6-7(4) 6-3 6-2で退けベスト8に進出した。

　上位4シードは1回戦がBYEで免除されており、ジョコビッチはこの試合が初戦だった。同大会は2021年と22年に開催されたベオグラード（ATP250／クレーコート）が移転して初開催が決まり、チャレンジャー大会から昇格した。

　第1セットでのジョコビッチは18歳とは思えない落ち着きを保ちながらカウンターパンチを食らわせてくるバン アッシュの戦いぶりと自らのミスの早さに苦しめられてフラストレーションを露わにしていたが、第2セットに入って持前の勝負強さを取り戻すと軌道を修正して若者の挑戦を押し返した。

「簡単ではなかった。これは恐らくもっとも遅いカテゴリーに入るコートだ。僕がこれまでプレーした中でもっとも遅かったかもしれない。僕はコートを貫くことができなかった。彼を抜き去るボールを打つことができなかったんだ」とジョコビッチは試合後のオンコートインタビューで語った。

　序盤にフォアハンドのミスが多かったジョコビッチは第1セット4-5からブレークバックに成功したが、もつれ込んだタイブレークでは勇敢に挑んでくるバン アッシュに対して先にミスを犯して最後はフォアハンドのリターンミスでセットを献上した。この時点でジョコビッチは相手のミスで雄叫びを上げるなど苦しんでいる様子を見せていたが、試合が進むにつれて徐々にレベルを引き上げていった。

「僕がリズムに乗るまでの1セット半の間、彼はすべてのボールを返してきた。しっかり勝ちきることができてうれしいよ。もちろんもっといいプレーをすることもできるけど、勝利は勝利だ」とジョコビッチは試合後にコメントした。

　チャレンジャー大会で3勝を挙げるなどして世界ランク自己最高の87位で今大会を迎えたバン アッシュは現時点でトップ100の中で最年少の選手であり、19歳の誕生日を迎える前にチャレンジャー大会で3つ以上のタイトルを獲得したのは2016年以降ではカルロス・アルカラス（スペイン）、フェリックス・オジェ アリアシム（カナダ）、ヤニク・シナー（イタリア）、ホルガ・ルーネ（デンマーク）と彼しかいない。

　敗れはしたが印象的な戦いを見せたルカ・バン アッシュは、「今は少しがっかりしている。僕はファイターだから、負けたときは当然落ち込むよ。とは言え、非常に興味深い試合だったと思う。世界1位の選手と彼を応援する地元ファンの前でプレーするというのは常に素晴らしい経験だ。負けた悔しさは当然あるけど、このような選手と競り合えると感じたことは大きな自信になる」と手応えを口にした。

　ジョコビッチは次のラウンドで、第8シードのグレゴワール・バレール（フランス）とドゥサン・ラヨビッチ（セルビア）の勝者と対戦する。同日に初戦を戦ったバレールは、ワイルドカード（主催者推薦枠）で出場したハマド・メジェドビッチ（セルビア）を7-6(6) 7-5で振りきった。

　この日は2回戦があと2試合行われ、勝ち上がったアレックス・モルチャン（スロバキア）とラスロ・ジェレ（セルビア）が準々決勝で顔を合わせることになった。モルチャンがアレクセイ・ポプリン（オーストラリア）に7-6(4) 4-6 7-5で競り勝ち、ジェレは第3シードのボルナ・チョリッチ（クロアチア）を6-4 6-7(1) 6-4で倒す番狂わせを演じた。

　そのほかの試合では第6シードのイリ・ラフェチュカ（チェコ）がワイルドカードを得て参戦したガエル・モンフィス（フランス）を6-4 6-3で、フアン パブロ・バリーリャス（ペルー）がユーゴ・ガストン（フランス）を7-5 6-3で、ワイルドカードで出場したダミアー・ジュムホール（ボスニア・ヘルツェゴビナ）はラッキールーザー（予選決勝で敗れたが欠場者が出たため本戦出場権を得た選手）のリアム・ブローディ（イギリス）を6-3 6-0で下してそれぞれ2回戦に駒を進めた。

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