ジョコビッチの覇権に終止符を打った20歳のアルカラスがウインブルドンの新チャンピオンに「人生でもっとも幸せな瞬間」

写真は2度目のグランドスラム制覇を果たしたカルロス・アルカラス(スペイン)(Getty Images)


 今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦7月3~16日/グラスコート)の男子シングルス決勝で第1シードのカルロス・アルカラス(スペイン)が第2シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)との頂上決戦を1-6 7-6(6) 6-1 3-6 6-4で制して新チャンピオンに輝いた。

 2018年から続いた長きに渡るウインブルドンでのジョコビッチの覇権に終止符を打ったアルカラスは、1968年のオープン化以降で21歳になる前にグランドスラム大会で複数のタイトルを獲得した5人目の男子選手となった。

 1ゲームしか取れずに第1セットを落としたあとじりじりと体勢を立て直してその潜在能力の高さを示したアルカラスは、のちにジョコビッチが認めた通り第2セットをタイブレークで制した瞬間から著しくレベルを引き上げた。

 表彰式で「これは僕にとって夢の実現だ。20歳の僕がこれほど早くこのような状況に到達するなんて驚くべきことだ。自分自身とチームを誇りに思うよ」と喜びを語ったアルカラスは、試合後の記者会見で「僕の人生でもっとも幸せな瞬間」とその気持ちを表現した。

「それは今後も長いこと変わらないだろう。絶頂期にいるノバクをこの舞台で倒して歴史を刻み、そのコート(決勝のセンターコート)で10年間に渡って無敵だった彼に勝ったなんて本当に素晴らしいことだ。僕はこのことを決して忘れない」

 これまでも将来的に王者になる器であるところ垣間見せてきたアルカラスだが、「あまりに緊迫した試合のプレッシャーで全身がつってしまった」というジョコビッチに対するフレンチ・オープン準決勝での敗戦によって今年のウインブルドンで彼が優勝する可能性には疑問符が付いていた。

 しかしそこからの1ヵ月はアルカラスを成長させるに十分な時間だったようだ。サーブ&ドロップショットをやってのけるテクニックと度胸や重要ポイントでネットに出る果敢な姿勢に至るまで、最後まで揺るがなかったその闘志とパフォーマンスには目覚ましいものがあった。

「僕はロラン・ギャロスのときとはまったく違うプレーヤーだ。あの瞬間から僕は大きく成長し、大いに学んだ。決勝前にも言ったけど、僕はあの試合から教訓を得たんだ。僕は試合前にいつもとは少し違うメンタル的な準備をした。ロラン・ギャロスのときよりもプレッシャーや緊張にうまく対処することができたよ」とアルカラスは自身の成長ぶりについて話した。

「グラスコートとクレーコートは明らかに違うけど、ここで頑張り抜けたことが本当にうれしい。僕は気落ちせず、諦めなかった。最後の1球まで戦った。すべてが素晴らしいラリー、素晴らしいポイントだったと思う。凄く長い試合だった。5セットを戦い抜くことができたのは精神的な部分だったと思う」

 実際に試合はちょっとしたきっかけでどちらに転んでもおかしくない接戦だったが、第3セット第1ゲームをブレークして勢いに乗ったアルカラスはふたたび流れを変えようとするジョコビッチの絶え間ない試みを押し返し続けた。

「試合前はノバクに勝てないと思っていた。でもこの凄い試合をしたあとはノバクについての考え方が変わると思う。別の大会やほかのグランドスラム大会で、この瞬間を思い出すだろうね」とアルカラスはこの試合がこの先にもたらす影響について言及した。

「僕は自分が彼と5セットを戦う準備ができていると感じるだろう。いいラリー、いいポイント、本当に長い試合を戦うフィジカル面もメンタル面も含めテニス全般についてね。この試合のあとは少し自分のマインドが変わると思う」

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写真◎Getty Images

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