[浜松ウイメンズオープン] ワイルドカード選手権 ベスト4進出者たちの、それぞれの戦い(大会提供レポート)

齊藤唯&神鳥舞:いずれも進学。しかし進む道は異なる。それでも、目指す地点は同じ

神鳥舞(桜田倶楽部)(写真提供◎浜松ウイメンズオープン実行委員会、撮影◎てらおよしのぶ)

 ベスト4に勝ち進んだ齊藤唯(Club MASA)と神鳥舞(桜田倶楽部)の二人は、いずれも早稲田実業の3年生。既に二人とも、早稲田大学への進学を決めている。

 神鳥が今回のワイルドカード予選の準々決勝で対戦したのは、その早稲田大学テニス部新キャプテンの、清水映里(早稲田大学)。清水は1年生時からエースとして活躍してきた、大学テニス界のトップ選手だ。

 その大先輩相手に神鳥は、左腕から繰り出すフォアで攻め勝った。終盤には、試合を決めるチャンスを逃し悔しがる場面もあったが、気持ちは引かなかった。「気持ちが下がるとプレーも消極的になる」という「私の悪いクセ」も、チャレンジャーとして向かうことで乗り切る。

 失うものなく、「楽しんでできた」がゆえの、殊勲の星だった。

 その神鳥は、準決勝の朝に体調を崩して棄権したため、残念ながら齊藤との同期対決は実現せず。この二人は進学先こそ同じ早稲田大学だが、チームメイトとしてプレーする機会は無いかもしれない。なぜなら齊藤には、大学の体育会系でテニスをするつもりはないからだ。

「日本史が好き。それも、幕末時代が」という“歴女”の齊藤は、大学で勉強しながら、プロの大会に参戦していくつもりだという。この1年ほどはITFツアー(国際テニス協会主催の国際大会)や、日本国内の賞金大会に参戦し、年長者相手に経験も積んできた。

 プロ大会の参戦当初は、自分の持ち味である攻撃力が出せないままに負けることが多かった。なぜだろうと考えたとき、コートに立つその前に、既に「気持ちで引けていた」ことに気がつく。序盤で大きく離され、落ち着いた頃には、もはや挽回不可能なまでに差は広がる……そんな試合を繰り返した。

 その弱点を克服すべく、この夏頃からは、最初の1ポイント目から無理にでもガッツポーズを繰り出し、自らを盛り上げることを心がけた。あるいは時には、誰が相手だろうと淡々と、自分のペースを乱すことなく戦うことで、力を出せることもある。そのようなスタイルは、昨年の浜松オープン優勝者であり、同じ所属先の清水綾乃(Club MASA)を見て学んだことでもあった。

「何かをつかんだ」

 そんな手応えを携えて、齊藤は今回のワイルドカード選手権で決勝へと歩みを進めた。

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