[浜松ウイメンズオープン] ワイルドカード選手権 ベスト4進出者たちの、それぞれの戦い(大会提供レポート)

澤柳vs齊藤。大会本戦への切符を手にしたのは……

齊藤唯(Club MASA)(写真提供◎浜松ウイメンズオープン実行委員会、撮影◎てらおよしのぶ)

 齊藤が課題とし、克服しつつあると感じていた試合への入り方だが、経験豊富な澤柳も、その重要性を誰より深く理解していた。齊藤の強打を広い、スライスやロブなどの多彩な技を繰り出しながら、澤柳は主導権を掌握する。6ゲーム連取のスタートダッシュに成功した澤柳が、最後は豪快にスマッシュを叩き込み、本戦への切符を力強くつかみ取った。

 約1年ぶりの試合を戦った澤柳は、翌朝に目が覚めたときには、「試合翌日独特の疲労感があった」と笑みをこぼす。それでもウォームアップのときには、全身を駆け巡るアドレナリンのためか、疲れはもう感じない。決勝戦では「ラリーも思ったよりできるじゃん!」と、自分のプレーにうれしい驚きを覚えてもいた。

 今の自分に、全盛期と比べて足りないものがあるとすれば、それは「フィジカル」だと彼女は言う。一方で技術面に関しては、落ちたという感じはない。むしろフォアは、「前より当たりがよくなっている」と感じるほどだ。

 それはなぜか……と考えたとき、クリニックや試打会でジュニアや愛好家相手に打つときには、自分の持ち味であったスピンの効いたボールは、抑えていたことに思い至る。そうしている内に、スピンと、ボールをクリーンに打ち抜く感覚のほどよいバランスを、見つけることができたのだった。

 今の彼女は、競技テニスから距離を置いたことで獲得した新しい視座と、新たな武器すら携えている。

「すべてのポイントが楽しめてるし、下手くそな自分も受け入れられている」という澤柳が、浜松オープン本戦のステージに戻ってくる。

レポート◎内田暁(大会オフィシャルライター)

※トップ写真は澤柳璃子(リンクス・エステート/左)と齊藤唯(Club MASA/右)
写真提供◎浜松ウイメンズオープン実行委員会
撮影◎てらおよしのぶ

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