U16の松田絵理香がU12、U14に続く3度目の全日本制覇、U18は木本海夢夏と山口瑞希が決勝へ [2019全日本ジュニアU18&U16女子]
日本テニス協会(JTA)などが主催する「DUNLOP SRIXON 全日本ジュニアテニス選手権 '19 supported by NISSHINBO」(大阪府大阪市・ITC靱テニスセンター、江坂テニスセンター/8月8~17日/ハードコート)は大会9日目となる8月17日、U18のシングルス準決勝とダブルス決勝およびU16、U14、U12の単複決勝が行われた。
U16シングルス決勝は、第3シードの松田絵理香(狛江インドアジュニアATPチーム)が第4シードの森岡きらら(奈良国際TC)に6-0 6-2と快勝。U18では第1シードの木本海夢夏(トップランAIOI)と第12シードの山口瑞希(城南学園)が決勝に進出した。
◇ ◇ ◇
2年前にはU14で、その2年前にはU12で優勝している松田。昨年はU15の全国選抜ジュニア(中牟田杯)も制している。世代のトップを走り、国内大会など自信満々で臨んでいるのかと思いきや、まったくそうではないようだ。
「自分に変なプレッシャーをかけてしまって、弱気なプレーをしてしまったり、緊張で足が動かなくなったり、殻を破れないでいます」
今年、U16のナショナルメンバーに選出されたことによって、プレッシャーを感じる材料が増えた。
「負けられない、負けちゃいけないって思う気持ちが前より強くなって、勝てない大会が続くと焦りとか不安が大きくなる」
そういう不安は拭えないまま臨んでいた今大会だった。
それでもたどり着いた決勝戦。対戦する森岡は同じくナショナルメンバーで、2年前のこの大会では決勝を戦った相手でもある。その年は2人でペアを組んだダブルスでも優勝した。これまで何度も優勝を争ってきたライバル同士であり、ともにトロフィーを掲げた友人同士。そんなふたりの決勝は、思いがけない展開を見せた。
第1セットは1ゲームも与えずに松田が先取。しかし、森岡は準決勝でも第1セットを0-6で落としてから逆転勝ちしており、心配性の松田の警戒レベルは相当高かったという。開き直って攻めてきたときの怖さはよく知っている。
実際、第2セット最初のゲームは森岡がラブゲームでキープ。2-2まで競り合ったが、そこから松田が5-2まで突き放す。森岡は質の高いショットで4-5まで追い上げたが、反撃はそこまでだった。
最後は森田のフォアハンドがベースラインを越え、松田が歓喜の声を短く発した。
敗れた森岡は、あとで敗因をこう分析した。
「誰でも決勝になると気持ちの入り方が違う。私も絶対勝ちたいと思っていたけど、向こうのほうがその気持ちが強かったのかも」
本心ではそれを認めたくないというニュアンスをうかがわせながら。
一方、「不安でしょうがなかった大会なので、これまでの優勝とは全然違う気分」と松田。自分の弱さを見つめつつ、不安やプレッシャーと葛藤してきた時間がこの舞台で勝ちきる力を生んだのだろうか。少し肩の荷を下ろして、大きく次のステップを踏み出すきっかけにしたい。
U18では第1シードの木本がインターハイ・チャンピオンの照井妃奈(札幌啓成)に6-4 6-4と快勝し、全国では初の決勝戦に駒を進めた。この大会のU12や全国選抜ジュニアのU14など、これまでの好成績は準決勝止まり。今回は第1シードながらベスト8が目標だったというチャレンジャー精神で壁を突破し、一気にタイトルへ王手をかけた。
最後の相手は、高校選抜個人戦優勝、インターハイ・ベスト4と安定している山口。ノーシードの勝見幸璃(MAT TA)を6-1 6-0と寄せつけなかった山口も、今年2つ目のビッグタイトルに向けて絶好調だ。
(ライター◎山口奈緒美)
※写真は16歳以下女子シングルスで優勝を果たした第3シードの松田絵理香(関東/狛江インドアジュニアATPチーム)
撮影◎毛受亮介 / RYOSUKE MENJU
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