危険行為で失格のジョコビッチ、ポイントと賞金25万ドルは没収 [USオープン]
今年ふたつ目となるグランドスラム「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月31日~9月13日/ハードコート)の男子シングルス4回戦で、第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)が線審にボールをぶつけてしまったため危険行為で失格処分を受けるという異例の事態が起きた。
彼の行為はもちろん故意ではなかったが、全米テニス協会(USTA)はジョコビッチを「グランドスラムのルールブックに則って失格にした」と声明を発表した。決定を下した大会レフェリーのソーレン・フリーメル氏はジョコビッチの行為が、『コート内で意図的または無暗に危険なボールを打つ、結果を無視して不注意にボールを打つ』という失格対象となる危険行為に当てはまると判断したのだ。
この規則違反の行為について徴収される罰金に加え、ジョコビッチはこの大会で得たランキングポイントおよび賞金25万ドルを剥奪されることになるとUSTAは付け加えた。
「ノバクは怒っていました。彼はボールを無鉄砲に、怒りに任せて後方に打ちました。そしてすべてを考慮に入れても、酌量の余地はありませんでした」とフリーメル氏は説明した。
「グランドスラム大会で選手を失格にするというのは、非常に重大なことです。これは非常に辛い決断でした。そしてその理由から、それがアッシュ・コート(アーサー・アッシュ・スタジアム)だろうがナンバー1コートだろうが他のどんなコートのどんなプレーヤーであろうが関係なく、正しいことを行わなければならないのです」
これはジョコビッチがテニス界最高のリターンや正確なグラウンドストローク、体をしなやかに使った鉄壁の守備力以外の理由でテニス界の注目の的となった最新事例だった。
プロツアーが休止している間の6月ににセルビアとクロアチアで自身が主催したチャリティ大会でプレーしたジョコビッチは、彼の妻やコーチのひとりであるゴラン・イバニセビッチ(クロアチア)らとともに新型コロナウイルス(COVID-19)の検査で陽性と判定された。その大会はソーシャルディスタンスなどコロナ関連の予防措置が取られておらず、複数の陽性者を出して非難された。
それから彼はUSオープンの直前に、自らが共同会長となることを意図している男子テニスプレーヤーのための新しい協会の設立に尽力していた。
そしてもちろん、コート上での覇権がある。
今シーズンのジョコビッチは公式戦で無敗のまま今大会を迎え、2019年最後の3試合から続いた連勝記録を「29」まで伸ばしていた。ここ7回のグランドスラムのうち5大会で優勝を遂げたジョコビッチは四大大会タイトル数を「17」とし、ロジャー・フェデラー(スイス)の持つ最多記録「20」とラファエル・ナダル(スペイン)の「19」に迫りつつある。
ディフェンディング・チャンピオンのナダルがパンデミックの中での渡航に関する不安を理由に、フェデラーは2度に渡る膝の故障からの回復過程にあるため今年の大会でプレーしていなかった。そのため33歳のジョコビッチは絶対的優勝候補としてニューヨークで4度目の栄冠に輝き、彼らにさらに迫るものと見られていた。
しかし日曜日、そのすべてが唐突に崩れ去った。ジョコビッチのラケットがボールを打ったとき、彼は線審のほうを見ていなかった。そして何が起こったかに気付いたとたん、彼の顔は瞬く間に不安に染まったのだった。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
※写真はノバク・ジョコビッチ(セルビア)
NEW YORK, NEW YORK - SEPTEMBER 06: Novak Djokovic of Serbia looks on after being defaulted due to inadvertently striking a lineswoman Laura Clark with a ball hit in frustration during his Men's Singles fourth round match against Pablo Carreno Busta of Spain on Day Seven of the 2020 US Open at the USTA Billie Jean King National Tennis Center on September 6, 2020 in the Queens borough of New York City. (Photo by Al Bello/Getty Images)
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