バーティがプリスコバを倒してプレミア・マンダトリー初制覇 [マイアミ・オープン]

WTAツアー公式戦の「マイアミ・オープン」(WTAプレミア・マンダトリー/アメリカ・フロリダ州マイアミ/3月19~30日/賞金総額903万5428ドル/ハードコート)の女子シングルス決勝で、第12シードのアシュリー・バーティ(オーストラリア)が第5シードのカロリーナ・プリスコバ(チェコ)を7-6(1) 6-3で下し、優勝を遂げた。

 この日15本のサービスエースを決めたバーティは、各大会で違った優勝者が生まれている今季の現象の例にもれず、今年の男女ツアーの33大会においてタイトルを獲得した33人目のプレーヤーとなった。

 つまり今年は、男女を通して2度優勝した選手がまだ出ていないのだ。

 今季のテニスツアーの予想のつかない現象の渦の中で、バーティはスライスバックハンドやドロップショット、見た目以上に強いサービス、攻撃的テクニックを巧みにミックスし、そんなふうにしてマイアミ・オープンのタイトルを勝ち獲ったのである。

「驚くべきことだと思わない?」

 今季すべての大会で違った優勝者が生まれていることについて、バーティはこう言った。

「女子の側で言えば、実力は大いに拮抗しており、ここ数年で層は非常に厚くなってきていると思う。ドロー中にいる皆が、大会に勝つ正当なチャンスを手にしている。そのことを最大限に生かすよう努めるだけよ」

 このマイアミで、バーティはそれをやってのけた。世界ランク11位の彼女は、キャリア4度目にして最大のタイトルを獲得し、今季の戦績を18勝3敗とした。22歳にして、彼女は来週の新ランキングでキャリア最高の9位に浮上することになる。

 ここ5年のマイアミ・オープンが輩出した5人目の女子チャンピオンとなったバーティは、2019年にツアー大会を制した14人目の選手でもある。

 もし日曜日の男子決勝でロジャー・フェデラー(スイス)がジョン・イズナー(アメリカ)を下して優勝すれば、彼は今年に複数回優勝を遂げた最初の選手となる。フェデラーは今月初頭のドバイで、キャリア通算100勝目を挙げた。

 多彩なショットを繰り出すバーティのプレーは、見ごたえがあると同時に効果的でもあった。彼女は41本ものウィナーをオープンコートに打ち込みながら、プリスコバのバランスを崩し続けた。

「私は常に、コートにできる限り多くのバラエティを持ち込もうと努めてきた」とバーティは自身のプレーについて語った。

「それは、対戦相手がやろうとしていることを無効化しようと努めることでもある。女子テニスにはビッグパワーと先制攻撃が主流の時期があったけれど、テニス界におけるフィジカル的強さは成長し、より多くの選手が強力な先手のボールを無効化し、ポイントを取るための道を切り開けるようになった」

 テクニックを駆使するバーティだが、スピーディに叩くこともできる。身長186cmのプリスコバは166cmのバーティより身長が20cmも高かったにも関わらず、この決勝でのバーティのサービスはプリスコバよりも上だった。

 14本のストロークによる長いラリーを巧妙なドロップショットでものにしたバーティは、タイブレークで2-1とリードし、その後は常にリードを保った。

 彼女は第2セットの出だしに20ポイントに及ぶ長いゲームでブレークを果たすと、3本連続でサービスエースを奪って3-1とリードを広げ、最後の9ポイントのうち8本を獲得した。

 世界7位のプリスコバは、自分の力がしおれていったのは疲労のせいだと言った。

 雨による遅延のせいで、第2シードのシモナ・ハレプ(ルーマニア)を下した彼女の準決勝の試合は、金曜日の明け方にまで食い込んでいた。そのせいか決勝での彼女は、ややエネルギー不足であるように見えた。

「走って、走って」とプリスコバのコーチであるコンチタ・マルチネス(スペイン)は、コートチェンジの際に懇願した。

「私は疲れていた。ものすごく疲れていたの。もし、もう少し活力があったなら、結果は違ったものになっていたかもしれない」とプリスコバは振り返った。

 バーティは、プリスコバに復活のチャンスを与えないよう、コートのいたるところから厳しいショットを打った。彼女が放ったもっともアクロバティックなショットの中には、ロブを負って後退しながら打ったジャンピング・オーバーヘッドのウィナーがあった。観客は大喜びし、彼女自身も同様だった。

「これほど重要な舞台で、あのようないい試合をプレーできたというのは、かなり素敵なことだわ」とバーティは試合後に語った。

 15歳だった2011年にウインブルドン・ジュニアで優勝したバーティは、その後テニスから離れた。それからブリスベンでプロのクリケット選手としてプレーしたあと、2016年にテニスツアーに戻った。

 今年、シドニーの決勝で敗れた瞬間を、バーティはキャリアでもっとも辛い瞬間に挙げた。しかしそれから3週間もたたないうちに、彼女はオーストラリアン・オープンでキャリア初のグランドスラム8強入りを果たしたのだ。

「だからこそ、私はこのスポーツが好きなの」とバーティは言った。

「これらの素晴らしい瞬間があり、胸が張り裂けるような瞬間もある。でもこの現在進行中のこの旅は、とんでもなく素敵なものよ」(C)AP(テニスマガジン)

※写真はアシュリー・バーティ(オーストラリア)
MIAMI GARDENS, FLORIDA - MARCH 30: Ashleigh Barty of Australia celebrates at match point against Karolina Pliskova of Czech Republic in the final during day thirteen of the Miami Open tennis on March 30, 2019 in Miami Gardens, Florida. (Photo by Julian Finney/Getty Images)

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