大坂とクビトバが優勝と世界1位の座をかけて決勝へ [オーストラリアン・オープン]
「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・メルボルン/1月14~27日/ハードコート)の大会11日目、女子シングルス準決勝。
大坂なおみ(日清食品)はグランドスラムにおけるキャリア最初の10大会で、一度も4回戦を超えたことがなかった。ところが今、まだ21歳というときに、彼女は突然、もう少しで2大会連続のグランドスラム優勝というところにまでこぎつけたのだ。
そして、世界ランク1位までもう少し、というところまで。
木曜日にカロリーナ・プリスコバ(チェコ)を6-2 4-6 6-4で倒した試合の間、大坂は持ち前のスムースなパワーを15本のサービスエースとグラウンドストロークのウィナーを生み出すことに使い、4ヵ月半前のUSオープンで手に入れたトロフィーにオーストラリアン・オープンのそれを加えるところまで、あと1勝と迫った。
「第3セットで私はただ、体勢を立て直し、ただ力の限り懸命にトライするのよ、と自分に言い聞かせたの」と大坂は振り返った。
彼女は最終セットで4つのブレークポイントをセーブし、試合を時速185kmのサービスエースで締めくくった。
「セカンドサーブを打つのがすごく怖かったわ。私は『オーマイゴッド、どうか!』という感じだった」と大坂はそのときの心境を明かした。
「何とかやってのけたわ、経験のおかげなんじゃないかと思う」
プリスコバは、準々決勝の第3セットで4つのマッチポイントと1-5の劣勢を覆してセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)を驚かせた翌日、同様のカムバックを生み出すことができなかった。
その代わりに、土曜日の決勝で2度ウインブルドンを制したペトラ・クビトバ(チェコ)と対戦するのは、グランドスラム大会のシングルスで優勝した唯一の日本選手である大坂となった。
決勝の勝者は、WTAランキングで初めて世界1位の座に上昇する。大坂が現在4位、クビトバは6位だ。
1年前のメルボルンでの大坂の4回戦進出は、決勝でセレナを倒した昨年のUSオープンまで、グランドスラム大会で最高の成績だった。もし今大会決勝でクビトバを倒せば、大坂は2つのグランドスラム大会を連続で制した、2014年と2015年のセレナ以来の選手となる。
2年前、クビトバはチェコの自宅で不法侵入者によりナイフで手にケガをさせられた数週間後、オーストラリアン・オープンを欠場した。
彼女が『第2のキャリア』と呼んでいる復帰後のキャリアで、ベストの状態に戻ったクビトバは、40度近くにまで至った暑さを理由にロッド・レーバー・アリーナの屋根が閉じられたあと、世界35位のダニエル・コリンズ(アメリカ)に対して7-6(2) 6-0で勝利をおさめた。
クビトバは、ナイフによりケガをさせられた2016年12月の事件以来、初となるグランドスラム大会決勝進出を決めた。
彼女はその暴行事件でラケットを持つ手に傷を負わされ、何時間にも及ぶ修復手術を余儀なくされていたのだ。厳密にいえばそれは、2度目のウインブルドン優勝を遂げた2014年以来のグランドスラム大会決勝進出だった。
「当時の私は、ふたたびテニスをプレーすることができるのかさえわかっていなかった」とクビトバは語った。
「(ここまで)長い旅路だった」
この日のクビトバの相手で、バージニア大学時代に2度NCAAチャンピオンとなったコリンズは、この大会までグランドスラム大会での成績が0勝5敗だった。しかし今回の彼女は、アンジェリック・ケルバー(ドイツ)らのシードを破って勝ち上がった。
コリンズに対してクビトバは、左利きのパワフルなフォアハンドとタイミングのよいネットプレーを組み合わせた攻撃により、ウィナー数で30対9と相手より上回り、試合を通してよりアグレッシブだった。
しかしこの成績のカギは、35分のプレー後の4-4の場面で起きたことだった可能性がある。それが、その1万5000人収容のスタジアムで、ついに屋根を閉じようという決断が下された瞬間だったのだ。
あまりに暑かったために、この決断が告げられると、日差しに焼かれていた観客たちから賛同の歓声が沸き上がったほどだった。
おそらくクビトバも、拍手したかったことだろう。
「屋根が閉じられたとき、私は観客たちよりも喜んでいたわ」と試合後にクビトバは明かした。
「私はインドアのプレーが好きなの。屋根を閉じたことが、ちょっぴり助けになったと思う」
彼女はここ何年にもわたり、息詰まるような暑さの中でプレーするのはあまり好きではないことを隠そうとはしていなかった。もちろん、そんなことが好きな選手はそう多くはないが、コリンズにとって暑さは問題ではなく、彼女は屋根は開いたままにすべきであったと考えていた。
「私はフロリダで育ったから、常にすごく暑いということに慣れているの。だからある意味で、暑さに喜んで応じているわ」とコリンズは言った。
「インドアのテニスは、また別物よ。間違いなく、ある影響を及ぼした」
5分間の待ち時間のあとにプレーが再開されたとき、形勢はまったく互角だった状態からクビトバに有利な方向に傾いた。クビトバはタイブレークと第2セットを支配し、このところの連勝記録を「11」に伸ばした。
一方の大坂は、グランドスラム大会での連勝記録を「13」に伸ばし、プリスコバの10勝0敗だった今季初めの連勝をストップさせた。
この試合での大坂はウィナー数で56対20とプリスコバを大きく上回り、逃せばすべてを失ってしまっていたかもしれない大事なポイントで、踏ん張り抜く強さを見せた。
第1セットを取ったときまで、大坂は明らかに主導権をその手に握っていた。しかし、プリスコバが第2セットの終わりにブレークし、第3セットの出だしに2-0とするための3つのブレークポイントを握ったときには、危機にさらされているように見えた。
それでも決意に満ちた大坂は、最初のそのピンチをパワフルなフォアハンドで回避すると、2本目もダウン・ザ・ラインへのバックハンド・ウィナーで退けた。3つ目のブレークポイントでは、またも素晴らしいバックハンドを放って相手のネットミスを引き出し、プリスコバは悔しさを隠せずにラケットを青いコートに打ちつけた。
プリスコバが時速133kmのセカンドサービスに対するリターンをネットにかけて1-1となったとき、大坂はピンクのサンバイザーの端をぐいっと引き、大きく息を吐き出した。
試合はさらに28分続いたが、基本的に勝負はそこで決まった。大坂の9ポイント、3ゲーム連取がきっかけとなり、彼女はいい軌道に乗ったのだ。
大坂は、4-3から最後のブレークの危機にさらされたが、時速174kmのエースでそれを凌いだ。(C)AP(テニスマガジン)
※写真は決勝進出を決めた直後の大坂なおみ(日清食品)
MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 24 : Naomi Osaka of Japan celebrates during the semifinals on day 11 of the Australian Open on January 24 2019, at Melbourne Park in Melbourne, Australia.(Photo by Jason Heidrich/Icon Sportswire via Getty Images)
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