ニュージャージー出身の17歳、アニシモワがサバレンカを破る殊勲 [オーストラリアン・オープン]
今年最初のグランドスラム「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・メルボルン/本戦1月14~27日/ハードコート)の女子シングルス3回戦で、今週までグランドスラム本戦で1度も勝ったことのなかった17歳のアマンダ・アニシモワ(アメリカ)が、最初の強い印象を与えた。
アニシモワは壮観なショットを次々に生み出し、第11シードのアーニャ・サバレンカ(ベラルーシ)を6-3 6-2で下す番狂わせを演じて4回戦に進出し、なぜ彼女のことを未来のスターとみなす者がいるのかを正確に示して見せた。
「私はこの大会で優勝したいの」とアニシモワは試合後の記者会見で、強調するために右の人差し指でテーブルを叩きながら言った。
「今すぐに」
彼女は、1993年のジェニファー・カプリアティ(アメリカ)以降のメルボルンパークでここまで勝ち上がったもっとも若い選手となった。また、どのグランドスラム大会を対象としても1998年のセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)以来の最年少選手となる。かなりすごい顔ぶれである。
「非現実的なフィーリングだわ。これが今起きているなんて信じられない」とアニシモワは心境を語った。
信じてしかるべきだ。彼女は、前年度覇者で第3シードのカロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)が2008年の優勝者で第30シードのマリア・シャラポワ(ロシア)に4-6 6-4 3-6で大会からはじき出されたこの大会5日目に、大きな注目を集めた。
また、世界ランク35位のダニエル・コリンズ(アメリカ)は第19シードのカロリーヌ・ガルシア(フランス)を6-3 6-2で下してグランドスラムで初の16強入りを果たし、同胞のアニシモワに合流した。
コリンズは次の4回戦で、グランドスラム優勝歴3回のアンジェリック・ケルバー(ドイツ)と対戦する。第2シードのケルバーはロッド・レーバー・アリーナのこの日最後の試合で、ワイルドカード(主催者推薦枠)で出場した世界240位のキンバリー・ビレル(オーストラリア)を6-1 6-0で片付けた。
19歳のときに臨んだ2006年USオープンを制したシャラポワを最後に、10代にしてグランドスラムで優勝した選手は出ていない。
アニシモワは、シャラポワを応援して育った――ふたりは今、同じ代理人の下にいる。そして今、彼女は20歳になる前にグランドスラム大会で優勝するという、シャラポワと同じ偉業を果たしたいと願っている。
「彼女には敬意を払っているわ。彼女は若いけど、素晴らしいテニスをしていると思う。彼女は自分に何ができるかを、本当に証明して見せている」と昨年代理人の結婚式でアニシモワと同じテーブルに座ったというシャラポワは言った。
「彼女の前には明るい未来が待っているわ」
ニュージャージー生まれでフロリダにベースを置いているアニシモワは、多くの専門家が最後の方まで勝ち上がると予想していたハードヒッターのサバレンカを含め、すでにふたりのシードを倒した。しかもそれだけではない。彼女はこの3試合を通し、合計17ゲームしか落としていないのだ。
世界87位のアニシモワは――WTAのトップ100に、彼女より若い選手はいない――それを、鮮やかなショットと非の打ちどころのないコートカバリング能力でやってのけている。
この試合最高のショット、あるいは大会最高、今季ここまでで最高とさえいえるショットをひとつ挙げるなら、彼女はそれを第2セット3-0の15-15から生み出した。
それは、サバレンカがほぼ常に優位に立ち、アニシモワを片方の角から別の角へと振り回していた12本のラリーの終わりに出た。
アニシモワの右へのダッシュとフォアハンド、それから左へのダッシュ後のバックハンドに続き、またも方向転換をして右に駆け戻った際に、そのラリーはクライマックスを迎えた。走った勢いでダブルスのアレーに駆け込みながら、アニシモワが「一体どうやってやったのか?」とコメントしたスカッシュのようなフォアハンドを生み出した。
ショットはループ状の軌道を描いてサバレンカの頭上を抜くと、コートの角に着地してウィナーに。マーガレット・コート・アリーナの観客席から騒々しい喝采が沸き上がり、アニシモワの顔に笑みが浮かんた。
「コート上で、本当にいい感じを覚えていた」とアニシモワは振り返った。彼女は父と、9歳のときから一緒に働いている人物をコーチとしている。「今、私は本当にいいテニスをしているわ」と彼女は言ったが、それは控えめな表現だろう。
彼女は21対12とサバレンカよりも多くのウィナーを決め、アンフォーストエラーは9対13で相手より少なかった。彼女は8度あった自分のサービスゲームをすべてキープし、1度だけ許したブレークポイントをきっちりセーブした。彼女は、その威力でも知られるサバレンカのサービスゲームを4度ブレークした。
これはアニシモワにとって初めてのオーストラリアへの旅であり、グランドスラム大会では3度目となる本戦出場だった。
今、2週目に歩を進める彼女は、2度ウインブルドンを制した強豪のペトラ・クビトバ(チェコ)と対戦する。第8シードのクビトバはこの日、べリンダ・ベンチッチ(スイス)を6-1 6-4で下していた。
3つのメインコートで屋根が閉じられ、小さなコートでは進行の遅れが起きたその雨模様の午後、前述のとおりシャラポワはウォズニアッキを破り、4回戦で第15シードのアシュリー・バーティ(オーストラリア)と対戦することになった。
一方、2017年USオープン覇者のスローン・スティーブンス(アメリカ)は第31シードのペトラ・マルティッチ(クロアチア)を7-6(6) 7-6(5)で下し、アナスタシア・パブリウチェンコワ(ロシア)との4回戦に勝ち進んだ。(C)AP(テニスマガジン)
※写真はアマンダ・アニシモワ(アメリカ)
MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 18: Amanda Anisimova of the United States celebrates winning match point in her third round match against Aryna Sabalenka of Belarus during day five of the 2019 Australian Open at Melbourne Park on January 18, 2019 in Melbourne, Australia. (Photo by Julian Finney/Getty Images)
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